見返してよかった作品

 

体は全部知っている  吉本ばなな

 

 

現実の生活と、現実の人間と、時々そこに現れる

現実ではない世界からの不思議な力や言葉

それによって導かれたり、ささやかな道筋が見えるような短編集



この著作にかぎらず

「超越的ななにかからの啓示」が描かれる作品が多い印象

 



この短編集で特に好きなのは


「本心」



長く穏やかに続いた既婚者との不倫恋愛が相手の妻にばれ

冒頭は相手の妻からの手紙を受けとった主人公

 

妻の手紙はヒステリックでも憎悪でもなく、もはや誠実ですらある


主人公は不倫ではあるがこの恋愛に真面目に(というのも矛盾だけど)向き合ってきて

騙されたとか後悔という気持ちもない


ただ愕然とした気持ちで街を彷徨う主人公は、ある白昼夢をみる



その白昼夢とは、まっさらな知らない誰かと

誰にも気兼ねせず新しい恋に夢中で踏みだそうとする夢


その白昼夢によって、主人公は自分の本心を知る


本当は今までの恋で傷ついてきた気持ち、新しく踏み出したい気持ちに。







妻の目線で読むと

「不倫しといてなーにが傷ついたじゃ!」とか

「だいたいこんな物分かり良い妻いる?」とか思っちゃうんだが凝視



でも、不倫だけど真剣だったんだろうし、切ない思いも人一倍してきたんだろうなぁ…

と思わされてしまうのも文章のマジックだと思う真顔



それになにより私、吉本ばななの

「新しい恋が始まる描写」が大好きなんですおねがい



ものすごい必死で、スピード感で、色鮮やかで、無敵で

しかもなぜだか他人のはずの誰かと、すべてのタイミングがピッタリ合っちゃう気づき



そういうのって、恋愛の超初期にだけ確かにある奇跡の現象ですよね



そういうのが読んでてすごくリアルに蘇ってきて、

なんだか自分にも過去にあった奇跡の瞬間を思い出してキュンとしますラブラブ


宝物みたいな思い出もあるけど、新しい未来も知りたいの



 

 



 

 



 

 



でも不倫はないわニヒヒ


 

 

 

 

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