彼女いない歴=年齢の土肥は
なぜだか太った女性にばかり好かれる
それが元で仕事も失い、やむなく叔母のダイエット教室の手伝いをするハメに
そこで、そもそもの元凶:小百合を筆頭に
数々の肥満女性に出会うことになる。
女たちはどうして痩せたいのか!?
太ってる人。恋人のいたことのない人。頭髪が少ない人。
見た目が麗しくない人。
そういう人間を、これでもかとばかりに辛辣に下品に描写していて
思わず笑ってしまうんだが(プレデターに似てるとか)
このブラックジョーク的笑いと人間観察だけの一冊だったらキツイなとはじめは思った
しかし読み進めていくうちに、
「自身を解放し見つめ直す」といういう人生の課題に気づかされた。
どうして痩せられないんだろう
そして
どうして痩せないといけないんだろう
その答えは深いところで繋がっているように思う
結局は、今の自分をわかっていないから。目をそらしているから。
本当に欲しているものや、本当は憎んでいるものから。
自分の価値は自分が決めていい!!
他の誰にも私を値踏みさせない!!
覚醒した女たち+小百合+土肥は、毎回めちゃくちゃハイカロリーな食べ物を貪る
フライドポテトのバニラアイスのせ
から揚げラーメン+ライス
山盛りのトーストに山盛りのバター
金魚鉢に盛ったパフェ
etc …
その貪欲さは読んでいてゲンナリするほどなんだけど、
自身を解放し、いらないものを捨てて
本当に欲しいものを貪欲に追い求める姿が
だんだんうらやましくなってくる
土肥は、彼女できたこともないくせに
ちゃっかり女たちを値踏みして、醜い女は内心見下しまくりの浅はかな男なんだが、
毎回出会う醜女たちに
なんとなく心惹かれてしまったり
なんとなく一緒になる未来を妄想してしまうところが面白い
理想のタイプと好きになるタイプが違うように、
脳で分析する情報と五感で得る感覚にズレがあるように。
土肥の浅はかさもまた他人に値踏みされた価値観に捕われているからだが、
目には見えない女たちの魅力を感じられるところは見込みがあるといえる
そして小百合。
主人公のひとりであり、圧倒的強さと凶悪さを持つキャラクター。
最終章は小百合の話である。
私はこの最終章を読んで震えた。
(つづきます)