澤村伊智 著
うるはしのみにくしあなたのともだち

学校で女子だけに流行る奇妙なおまじない
級友の美醜を自由に操れる

まずはクラスで1番の美少女が犠牲となった

美しいって?醜いって?
それは十人十色の価値観だけれど

同じ年頃の少女たちを詰め込んだ教室では、その価値観は絶対的で
すべてを凌駕する。


いろんな感想があるけれどもまず


更紗ってそんなに特別な娘だったのか?



更紗は、最初におまじないの犠牲になる美少女。

クラスのカーストトップとされ、自信に満ちあふれ、他の級友を見下していた。



物語中盤まで、妬みの犠牲になっても仕方がないような

特別に恵まれて特別に邪悪な少女であるかのように思っていた



中盤あたり、更紗と級友のやり取りから
意外にも
全然自分が恵まれていることに気づいてもいない様子


むしろ、なにかしら自分の存在に虚しささえ覚えているような印象
カーストトップと祭り上げられ、勝手に期待される存在



たしかに、中学時代に醜い級友に暴言を吐き
しかもそれを更紗自身はすっかり忘れていた


でもそういうイジワルするバカな中学生ってよくいましたよね~


人って、自分が持ってない物や他人が持ってない物に目が行きがち。
自分が持ってないも物はどんどんコンプレックスになる
他人が持ってない物はものすごく異質に感じる。
持ってて当たり前だとばかりに、相手を見下したりもする。



自分がはじめから持ってる物には無頓着だったりする
更紗もそういう「未熟な人間」の一人だった 



そして、更紗を憎んでいた者たちも。
自分の容姿を憎むこと、環境を憎むことに捕われすぎて、
更紗への憎みと復讐に執着することで
すべて昇華できると思い込んでいる
そして彼女たちも、自分の持ってる物は意外と見えていない



更紗が未熟な人間であることと、自分のまわりの問題は全く無関係であるというのに。



自分が持っている物が見えなくなる。本当の自分の顔がよくわからなくなる。
それにつられて、まわりの人の顔もよくわからなくなる。


揺らぎやすい未熟な人間たちの揺らぎやすい価値観が
「おまじない」によって大きく翻弄される物語です。

丸いお目目が気に入ってるから、ボクはボクが好き