中島たい子 そろそろくる
中島たい子さんの小説が大好きです!

さりげない描写の中に、フフッと思わず笑ってしまうところが
この小説は、生理前のPMSがテーマ
私はこの小説、映画化したらいいのになぁと思います
なんだか映像が浮かぶんです

恋人と月を観るシーンなんか特に
著者は、脚本家としても活動されていたそうなので、そのせいでしょうか
PMSのうわぁああ!!な感じ
わかっちゃいるけど思考が悪いほうへおかしなほうへ転がりまくる感じが
ものすご共感できた
食べるつもりのなかった甘いものを猛然とほおばったり
ワシなんてもう全部ダメなんじゃ!!
みたく焦りと投げやりでいっぱいになる感じ


たまたま連絡のつかない恋人にいろいろ想像してむわぁああ!ってなる感じ
それらのちょっと引いたところからの淡々とした描写が好きなんです
キラキラでもなく、激しくもなく、ホッコリでもない恋愛
主人公の恋愛も描かれます
キラキラきゅんきゅんでもなければ、燃え上がる激しい恋愛でもなく
かといって癒しだけのホッコリした恋愛でもなく。
二人の何気ない穏やかなやりとりが描かれますが、
まあお互いそれなりに事情を抱えてるんですね
というか、誰しもみんな事情を抱えていて
それを乗り越えましょう!という感じではないけれど
お互いのそれを思いやれたらいいな、という着地の仕方に共感できます
やっぱり要所要所で笑えるポイント
PMSの主人公が、手土産のはずのクッキーをむさぼるところや
無駄にデリカシーのない両親との喧嘩や
「大晦日不幸な女ランキング」を妄想して涙するところ
NYみやげの女神チョコをならべて円陣つくるところ
さらにデリカシーのない町田さんのオヤジギャグ
彼氏が自分を裏切るという妙に具体的な妄想
昼はペンタゴンで働いて、夜はベガスで踊るという完璧さの表現
まだまだあります
淡々としたなかに、主人公の心情が伝わって来る
PMSを軸に、生き方や仕事、恋愛に対する気持ちが描かれる
主人公は三十代
今までのことをふりかえったり、この先のことを考えたりして
揺れたり途方に暮れる気持ちが描かれる。
体調の波や、気持ちの波に揺れながら、
それでも大切なものや今の自分を
見つめようとする主人公の心情がシンプルに伝わってきます
私は「そろそろ更年期」だけど
いい波に乗ってるときも自分





悪い波に翻弄されてるときも自分





上がったり下がったりしながらも生きてる自分が
少しだけ愛おしくなる小説です
ほんとに映画化してほしい…!
私が監督しようか?(駄作の予感…!)