ここは震災の避難住宅のひとつ。
四人が互いに助け合って暮らしています。
それぞれ本名で呼んでいません。
失った家族を思い出すのが辛いんです。
姫婆さんは大企業の奥さまでしたが震災で
娘の家族とはぐれここに来ました。
かーちゃんはもと八百屋のおかみさんで
旦那さんと震災で生き別れました。
教授はその名の通り大学の教授でした。
奥さんと息子夫婦を津波で失いました。
シュリちゃんはまだ二十代の女の子。
おとうさんと妹を津波で失いました。
彼女はお母さんの位牌を抱き締めて見つかりました。
シュリちゃんは明るいムードメーカーで三人の面倒をよく見ていました。
車がないとここでは不自由と姫ばあさん、かーちゃん、教授がお金を出しあって
シュリちゃんがみんなの運転手。
買い出しや通院と自分の仕事にも頑張っています。
ある日シュリちゃんが元気が無い。
かーちゃんは姫婆と教授に相談しました。
失恋でもしたんだか?誰に?お金に困っている?
仕事の行き詰まりだべか?
おらたちではたよりになんねのか?
シュリちゃんが仕事から帰ってきました。
姫婆が食事のあとシュリちゃんなんか悩みがあるんだべか?
おら達で力になれることねえべか?
姫婆ありがとう。
みんなに話があるの。
実はこの避難住宅なんだけど五年目になるし
姫婆もかーちゃんも教授も元気だから他の人たちと替わって欲しいって
役場から言われているの。
おら達は血の繋がりはねぐても家族だぁ。
それにね。姫婆の親戚の人が見つかりそうなんだって。
姫婆にはいいことだよ。
わたすに親戚?
シュリちゃんそげなもんいねぇ。
にせもんだがや。
わたすは岩手の山奥の百姓の生まれで口減らしで
仙台さ奉公にきたんだ。
でも飢饉が続いて親兄弟みんな死んだ。
貧乏で葬式も出せねかった。
終戦後旦那と知り合って必死に働いて
娘を育てたんだ。娘の家族が生きているんだば
親戚なんていわね。
シュリちゃんおら達は家族だ。
シュリちゃんが嫁さいぐまで一緒にいてぇ。
ここにいられんなら貸家探して暮らせばいい。
シュリちゃんには悪いが私たちだけなら家を貸してくれないかもしれないが
シュリちゃんがいれば借りれるだろ。
あたし、一人にならなくてもいいの?
おら達は老い先みじけえかもしれんがお父ちゃんが迎えに来るまでは
シュリちゃんと一緒がええ。


先日読んだ漫画からこんなお話を書いてみました。
そのお話は同じ避難所にいた人たちが別れ別れになったけど
ラジオの投稿が読まれる度に元気をもらい避難所に残った
お婆ちゃんに避難所を出た人たちからメッセージが届く
話でした。
お年寄りのほうが今の若い人たちより助け合っていきることが
受け入れやすいのかな?
でも避難所のストレスは高齢者のほうが多かったかな?