移植手術後、2日目の朝。
6時に検温で起床する。

その後、洗面所の鏡で自分の顔を見る。

昨日に比べると、目の周りの青痣は随分薄くなった。
しかし、左目の目尻・目頭には相変わらず黄色い目やにがびっしりついている。
乾いた目やにではなく、なんだかネバネバした感じの目やに。
白目も充血したままだが、昨日よりは充血が軽くなった感じである。

綿棒で目やにをそっと取りながら、この目やに術後何日くらい続くのかな、とふと思う。
見え方は昨日よりはるかにいい。
昨日は真っ白の視界だったが、今日は霧の中にものの形や色が現れてきた、という視界である。
少しずつ、視力も向上していくのだろう。

やがて、朝食の時間がやってきた。
術後、麻酔が切れて感じた痛みも今は感じることなく、手術した左目以外は元気いっぱいなので、お腹も一人前にすく。
そのあたりはよく考えられていて、昨日より食事の量も種類も増えている。
残さず平らげたあとは特にすることもなく、ぼんやりしていた。
活字中毒が活字制限を受けると、本当に時間を持て余してしまうなあ、と妙に実感をする。

目の手術をしたばかりだから、読書はムリ、もちろん携帯ゲーム機なんて使えるわけがない。
同室の患者さんたちも同様で、昼寝するかおしゃべりをするか、という感じである。

私の術前に「角膜移植の患者さん、手術を何度もやり直すんですってよ~」とベラベラ喋っていた他科の入院患者さんが目に薬品が入って角膜移植で入院している人に、「私、今日手術なんですよ~」と話しかけていたが、私は話の輪に加わらず、CDを聞く準備を始めた。
昼過ぎに、他科のおしゃべりな患者さんは看護師さんに連れられ、手術室に行った。
術後、病室に戻ってこなかったのでそれとなく看護師さんに聞いてみた。
口腔外科の入院患者さんで、事情があって個室に移ったのだそうだ。
「あの人うるさいんですけど」という苦情でも、他の患者さんや家族の方から出たのかもしれない・・・。

そんな会話をかわしつつ、看護師さんは私の点滴を外した。免疫抑制剤の点滴は今日まで、だそうだ。
今後は、抗生物質と免疫抑制剤の点眼薬、手術創が感染症を起こさないための抗生物質と抗炎症薬を食後に服薬するだけになる。