今日、Twitterで黒澤監督の話題が出ていて・・・。
というワケで、今日のネタは、黒澤映画。
とってもベタな選択で・・・「羅生門」。
1950年公開、黒澤明監督、主演は三船敏郎、原作は芥川龍之介。
原作小説は「藪の中」だけれど、「羅生門」からもモチーフを得ている。

平安時代。
京の都は、荒れ果てている。
雨宿りのため、羅生門に、ひとりの下人(上田吉二郎)がやってくる。
そこには、杣売り(志村喬)と旅法師(千秋実)の先客が、呆然と座っていた。
下人は、退屈しのぎに、先客2人の話を聞き始めた・・・。
ある日、杣売りが山の中を歩いていると、武士(森雅之)の遺体を発見する。
その傍らには市女笠、踏みにじられた烏帽子、切られた縄。
杣売りは、検非違使に届け出る。
旅法師は検非違使に呼び出され、武士が妻(京マチ子)と二人連れだった、と証言。
やがて、武士を殺した、として盗賊(三船敏郎)が捕まる。
だが、盗賊は、武士の妻を手篭にしようと、武士を木に縛り付けたが・・・。
妻が、勝った方の男のものになる、というので、武士と勝負した。
しかし、その間に武士の妻は逃げてしまった、と証言。
生き残った武士の妻も検非違使の元に連れてこられた。
だが、その証言は、盗賊のものとまるで違った。
自分は盗賊に手篭にされたが、盗賊は武士を殺さずに逃げた、と。
そして、夫の眼前で手篭めにされた妻を軽蔑の眼で見る夫の視線に耐え切れず・・・。
殺してくれ、と懇願したあと、気を失い、気づくと夫が死んでいた、と証言。
死んだ武士の証言を得るため、検非違使は巫女を使って、彼を降霊する。
すると武士は、手篭めにされた妻が、盗賊に情を移し、自分を殺せ、と言ったという。
だが、盗賊は妻を殺すか、お前を殺すかどちらか決めろ、と言い・・・。
それを聞いた妻が逃げ出し、盗賊も姿を消した。
自分は、無念のあまり自害した、と証言。
3人とも、証言内容がまるで異なる。
しかし、杣売りは、事件の一部始終を見ていた。
杣売りは「3人とも、嘘をついている」と、下人に言う。
果たして、藪の中で、一体何があったのか・・・。

チビッコの頃に観たときは、ワケがわからない・・・という感想だった。
大人になった今は、人間の浅ましさ・・・というか、そういう醜いものを描きつつも・・・。
最後は、少しだけ人間も捨てたもんじゃない、という希望を抱かせる映画やな、と思う。
ワケがわからない、と思ったのは、映画会社(大映)の社長もそうだったようで・・・。
この映画がヴェネチア国際映画祭でグランプリを受賞後に、手のひらを返すように・・・。
自分の手柄のように、語りだし、黒澤監督に呆れられたらしい。
「まるで羅生門の映画そのものだ」と。

人間の浅ましさを正面から観てみたい方、ゼヒ。
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この映画の主要な出演者で、存命中の方は・・・京マチ子さん、お一人やなぁ・・・。