普段、韓流のドラマはあまり・・・というか、ほとんど観ない。
唯一、ハマったのが「宮廷女官チャングムの誓い」。
それも、ストーリーにすっぽり、というより・・・。
食材の薬効、というか効能・・・に心奪われていた、のが大きかったのだけれど・・・。
主演のイ・ヨンエ扮するチャングム、とってもひたむきだったなぁ・・・。
その、主演女優が演じた真逆の役。
「え、この女優さん、こんな作品もやってたんや~~!」とビックリした記憶が。
そして・・・その、鬼気迫る演技に圧倒された。
2005年、パク・チャヌク監督、ヴェネチア国際映画祭コンペ部門ノミネート作品。

幼児誘拐・殺人の罪で、懲役刑を受け、服役中のクムジャ(イ・ヨンエ)。
刑務所内で他の服役囚にもにこやかに親切に接するクムジャ。
模範囚として「親切なクムジャさん」と慕われていた。
しかし・・・。
腹の底で、彼女は復讐を誓い、その心を燃え滾らせていた。
実は、クムジャは・・・判決を受けた幼児誘拐・殺人の、真犯人ではなかった。
自分の娘を人質に取られ、我が子を助けるために・・・。
やむなく、真犯人の要求を呑み、やってもいない罪を被り、服役したのだった。
必ず、あの男に復讐してやる・・・。
そう心に決めたクムジャは、出所後、服役していた時の囚人仲間に会いにいく。
皆、刑務所内でクムジャに親切にしてもらい、恩義を感じている者ばかり。
クムジャの頼みなら、何でも聞き入れるのだった。
そうして、仲間の手助けで、自分を刑務所送りにした憎い男の居所をついに突き止める。
その男ーぺクは、子供相手の英会話教師をしていた。
クムジャの出所を知り、人を使ってクムジャと娘を襲わせるが・・・。
クムジャはそれを撃退し・・・仲間の手を借り、逆にぺクの拉致に成功する。
こうして、復讐の時がやってきた・・・と思ったその時。
ぺクの携帯に、着信が。
その携帯には、子供の好きそうなモノがストラップになってぶら下がっていた。
クムジャは、自分が被った誘拐・殺人事件の被害者以外にも・・・。
ぺクの餌食にされた子供達がいたことを悟る。
他の被害者遺族を探し、皆で一緒にこの男に復讐してやる・・・。
クムジャは決意を新たにし、遺族を探すことにした・・・。

観終わって、ず~んと心に重いモノがのしかかる。
ひたむきなチャングムとは真逆の、女の底知れぬ恐ろしさを秘めたクムジャ。
イ・ヨンエの演技に心底、ぞ~っとした・・・。


クライマックス、他の被害者遺族も一緒になり、ぺクへの復讐が始まり・・・。
でも、この男に復讐を果たしたあとに、残るモノは・・・?
誰ひとりとして、救われないんじゃなかろうか・・・と思う。
パク・チャヌク監督の復讐3部作の最後を飾った映画、とのこと。
他の2作は未見やけど・・・。
多分、後味、悪いんやろうなぁ・・・と思う。

監督は、この復讐3部作を通して、何を訴えたかったのだろう・・・?と考えてみる。
深作欣二監督が、暴力を描くことで逆説的に暴力を否定したように・・・。
復讐を描くことで、それを果たしたあとに残るのは、虚しさ・やるせなさだけ。
だから、復讐なんて愚かなことだと・・・否定していたのかも、と思う。

グロテスクな描写の復讐場面など、ニガテなヒトは結構いそうな気もする。
積極的にオススメはしないけど・・・。
興味のある方は、どうぞ・・・。
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