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Y先生は、
心臓外科専門の麻酔科医です。
手術中は、
TEE(経食道心エコー)という技術を使って、
患者さんの心臓をリアルタイムで見守る、
とても専門性の高いお仕事をしてるそうです。
私は最初、
「麻酔科のお仕事って、
眠ってもらうだけなのかな?」
なんて思っていました。
でも実際は、
心臓の状態を細かく確認しながら、
手術が安全に進むよう支える、
とても責任の大きなお仕事なんですね。
この前も、
珍しい症例の手術が次の日に控えてたので、
家に帰ってきてからも勉強。
「今日は疲れたから、もう寝よう。」
ではなく、
患者さんのために、
もうひと頑張り。
そんな姿を見るたびに、
本当に頭が下がります。
お医者さんというと、
高級車に乗って、
ブランド物を身につけて、
華やかな生活。
そんなイメージを持つ人も多いかもしれません。
だけど、
Y先生はまったく違います。
毎日、
手作りのお弁当を持って病院へ行き、
冷めたコーヒーを飲みながら、
一日中手術室で頑張って、
家に帰っても、
スクラブ姿のまま勉強。
映画を見始めても、
2分もしないうちに、
スーーーって
寝ちゃうY先生。
「勉強するって言ってたけど、
本当にできてるのかな?」
なんて、
そーっと覗いてみたら、
やっぱり寝てました![]()
でも、
夜中になるとムクッと起きて、
また机に向かって勉強。
患者さんのために努力を続ける姿は、
やっぱり素敵だなと思います。
そんなY先生の次女ちゃんが、
お姉ちゃんのいるフロリダへ、
一週間遊びに行くことになりました。
レッドアイ(夜中の便)で、
飛ぶので、
先生は仕事を終えて帰宅し、
私と2人で、
次女ちゃんを空港まで送ることに。
先生は帰宅すると、
スクラブ姿のまま、
なぜか、
靴だけ履き替えました。
履いたのは、
くまの顔が付いた、
次女ちゃんのふわふわのアニマルスリッパ。
(先生は足が小さいので、
履けてしまう)
「えっ?
それで空港に行くの?」
私は心の中で、
思わずツッコミ。
でも、
そういうところが、
なんともY先生らしいんです。
車に次女ちゃんのスーツケースを積み込んで、
みんなで空港へ。
車を降りると、
次女ちゃんが少し緊張した表情。
「大丈夫?」
・・・って私が聞くと、
「うん…
ちょっと緊張してる。」
・・・て。
14歳で、
一人で飛行機に乗るんですもの、
そりゃ緊張しますよね。
すると先生が、
「よし!
パパが出発ゲート入り口まで一緒に行こう!」
そう言って、
車の鍵を私に渡しました。
その瞬間、
次女ちゃんは、
パパを頭のてっぺんから足元まで見ました。
↑こう言う体系の人が、
↑こう言うスクラブ着て、
↑こんな感じのスリッパを履いてる。
ピタッ・・・って
視線が止まった先は、
もちろん、
アニマルスリッパ。
そして次女ちゃんは一言。
「ノクターン、一緒に来て。」
あっさり、
パパ却下。
私は思わず笑いそうになるのをこらえながら、
先生に車の鍵を返し、
次女ちゃんと一緒に、
スーツケースをゴロゴロ押して、
出発ゲート入り口へ向かいました。
手荷物検査の前でハグをして、
「楽しんできてね!」
そう言うと、
ちゃんと振り返って、
最後まで手を振ってくれました。
最近、
次女ちゃんと、
あんまり仲が良くなかったから、
なんか嬉しかった![]()
車に戻ると、
先生が少し寂しそう。
私は笑いながら、
「たぶん、
そのスリッパだと思うよ。」
と言うと、
先生は苦笑いしながら、
「次女ちゃんも成長したんだね。
喜んでくれると思ったのに。」
その一言が、
なんだかとても愛おしくて。
パパにとって娘は、
いつまでも小さな女の子。
でも娘は、
少しずつ大人になっていく。
きっと数年前だったら、
「パパ、やーだー、そのスリッパ」
って笑って、
一緒に歩いていたんでしょうね。
そんな娘の成長を、
少し嬉しく、
少し寂しく感じている先生の横顔を見ながら、
私は、
「やっぱり素敵なパパだなぁ。」
・・・って![]()


