私が自分の天職に気づいたのは、50代になってからだ。
10回も転職(そのうち2回は50代)できたのは、天職を見つけたからだと思う。
もちろん、50歳までの経験が積み重なってのことなので、いきなり天職が降ってきたわけではない。
なので、20代、30代の方は色々なスキルを身につけて天職に辿り着くことを目指して欲しいと思う。
せっかくジョブ型で転職しやすい時代になったのだから、良いキャリアを築けるようチャンスを活用して欲しい。
40代の方はすでにある手札の中で、微調整しながら天職を見つけて欲しい。
50代の方は、いきなり転職をして試すようなことはおすすめしない。ここまでやってきたのだから、今やってることが天職と思うようするのが良いのではないだろうか。引退までリスクを取らずに頑張って。
孔子曰く、
三十にして立ち、四十にして惑わず、五十にして天命を知る、六十にして耳従(したが)う、
七十にして心の欲する所に従いて矩(のり)を踰(こ)えず。
得意なことを仕事にする
そもそも、天職って何だろう。
やりたい仕事、好きな仕事と考えがちだが、決してそうではない。
得意な仕事。楽にできる仕事のことだと思う。
楽にできるから余裕あるので、結果、楽しめる。そして、優秀である必要はない。いや優秀じゃないからこそ、生き残るには天職を見つけるべきなのだ。優秀な人と違って何でもこなせないから、自分の得意で押すしかない。
注意が必要なのは、やりたい仕事や好きな仕事を選ばない方がいい。それが得意な仕事である可能性は否定しないが低いだろう。
好きなことを苦労してやるより、得意な仕事を選ぶ、これが私のポリシーだ。
私の場合は英語でECの新規事業立上げの仕事なら楽に結果が出せる。
海外との調整、国内の部署の巻き込み、全体スケジュールとタスク管理、進捗スピードとリスクのバランスを見ながら納期通りにプロダクトを立上げる。これを英語でやる。会社や業界によって、プロダクトは違うけど、大筋は同じ。だから、業界は選ばない。ただしECであること、これだけが絶対条件。優秀じゃないのでEC以外はできないのだ。そして英語じゃなくてもいいんだけど、日本語だとできる人が多すぎるから、あえて50代なんて選んでもらえない。
レアキャラになる
英語×ECコンサル(新規事業立上げ)
これが私のレアキャラだ。
スキルの掛け算でニッチを目指すと、供給が少なくなり採用確率が爆上がりする。
アイドル×ヘビメタ=ベビーメタルである。
どちらか片方だと市場に溢れてるので優秀でないと戦えないが、掛け合わせるとレアキャラになれて簡単に戦えるようになる。
ただし、レアな組み合わせであることが大事だ。何がレアかはプロに聞いてみるのが良いだろう。
得意に気づくには、
エージェントとキャリアを棚卸ししよう
私は40代後半くらいから、何社かの人材エージェントとキャリアの棚卸しをしていて自分の得意に気づいて、自分のスキルがレアだと知った。
得意なこと=自分では普通にできると思っていることなので、なかなか気づきにくい。
第三者の目で分析してもらうのが良いだろう。そして彼らは人材の強みを見出すプロなのだから。
仮に転職しなくとも、自分の強みを整理できるし、自分の市場価値を知ることもできる。良い転職先が見つかれば、転職を検討しても良いし、見つからなければ、今の会社が良いと再確認できたりもする。
エージェントの選び方
エージェントは会社と担当者との相性が有るので、自分を適性に評価してくれる(と思える)人と会うまで選ばずに何社も会うことをオススメする。ただし、外資か日系か、自分の経歴と目指すキャリアに合わせないと、箸にも棒にも引っかからないのでご注意を。
(日系でずっと働いてきた40代は外資エージェントから返信こない確率が高い)
私は20代に日系のJACリクルートメントで半外資に入り、40代以降は外資系のロバート・ウォルターズで転職している。個人の経験では、新人の担当者ほうが当たりが多い気がする。なぜなら、かなり丁寧に自分のキャリアの棚卸しをしてくれるからだ。
いずれにせよ、こちらから担当を指名できないので、数を打った方がいい。何社も登録すると、面白いことに同じ案件が何社からも来たりする。その場合は、案件先に一番入り込んで情報を持ってるエージェントを選ぼう。
天職が見つかると、採用率は跳ね上がるはずだ。
そして、雇用側もこちらもお互いハッピーな転職になるので、良い条件でサインできる。
納得できなければ転職するな
採用が決まった後でも、気になることがあれば条件交渉前に確認すること。
条件面だけではない、カルチャーやチームについて、面接では聞けなかった事をクリアにしよう。チームメンバーと話しをさせてもらうのも、とても有益だ。お願いすると意外と聞いてくれるものだ。そこを納得して、最後に条件交渉だ。
転職を繰り返してきた私がもうひとつ大事にしていたのは、年収の下がる転職はしないということ。下がるオファーは、会社が自分を評価していないという事だし、自分自身の評価を下げることになるからだ。そして、自分を評価してくれる会社は必ず今より高い年収を提示してくれる。
業界によって給与レンジが違うかもしれないが、全く同じ職務内容ならば、経験上そこまで年収は変わらない。良い人材を獲得したい会社は、市場価格に合わせるからだ。
違う職務への転職は年収が下がる可能性もあるが、そういった転向は若くて年収が低いうちにするべきだろう。正直、30過ぎたら、いきなり転向するより、自分のキャリアを軸にピボットを繰り返すほうがいいと思う。
給与と同等に大事なのは、有休を初日から欲しい、副業を許可して欲しいなど、お金ではない価値のある条件を引き出すことだ。私は副業禁止の会社で、個人でやっていたコンサルの契約期限までという条件で副業を許可してもらったことがある。とにかくダメ元で聞いてみよう。ダメなら諦めれば良いし、譲れないならその会社を辞めれば良い。一度、通勤に関する条件交渉で、採用通知後に破談になったことがある。これは、その会社には行かなくて良いというサインと捉えて、行かなくて良かったと思っている。
不採用になっても諦めない
ご縁がなかった会社も、行かなくて正解だったと思うこと。
どんなに行きたい会社でも、求められていない会社に行って良いことはない。
ただ、転職は水ものなので、タイミングによって結果が違う可能性は多いにある。
実は私が働いた10社のうち、2社は一度面接で落ちて、数年後に紹介されて採用された。
どちらも、採用担当が違ったのだ。外資では、結構あるあるだが、組織が3-5年で変わることが多いので、一度不採用でも諦める必要はない。ご縁があれば、また声がかかる。
こちらも会社を選んでることを忘れずに!
面接はこちらも判断する場であることを忘れないこと。こちら側もサインするまでは、いつでも断る権利がある。
なので、採用後もサインするまでは納得するまで話すことが大事だと思う。
私も最後の2社は、サインする前に納得するまで何度か話をした。
一方でここまで慎重に選んでも、組織が変わった、採用者が転職してしまった(これが非常に多い)、など状況が大きく変わる場合がある。こればかりは予測できないので、まあ、そうなったら、プロジェクトを終わらせて、ダッシュで次に転職すれば良いのだ。
逆もありきで、入社したらチーム全員が辞めて、突然社長直轄になったこともあった。これは一気に仕事がやり易くなって、年収もバンバン上げてもらえてラッキーだった。
それも含めて、自分でコントロールできないことは、そのまま受け入れて柔軟に対処することも大事。
私はこのポリシーでやってきて、50代でもなお転職のたびに年収は上がり続け、人生最高年収で引退する事ができた。
こんなに幸運なことはないと思っているし、評価してくれた会社には感謝しかない。
これは結果論だが、ドット=スキルを繋いで行くと、天職が見つかり、
会社から選ばれるのではなく、こちらが会社を選ぶ側になれる。
転職がよりやりやすくなった時代、せっかくのチャンスなのだから、
そんなことを考えてキャリアパスを形成してもらいたいと思う。
春、新年度を迎えて、少しでも幸せに仕事ができる人が増えますように🌸