砂の上のお城のように 波が来ると 儚くあっという間に壊れてしまう
夫婦の関係ってそんなもの 所詮は他人なのだから
そうやって大波小波に打ち寄せられても少しずつ
積み上げ 作り直し 修正し 頑丈になっていく
わたしたち 結婚○周年を迎えて ようやく壊れないお城が出来上がったように思います
そんな連れ合いと『きいろいゾウ』観てきました
わたしは4回。。。。
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長回しで撮られた映像には余白と奥行きがあり 少ない台詞を補う
役者の表情が大きなスクリーンに映える
古き良日本映画を感じさせる美しい作品だった
私は好き
象徴的なシーンが多いので原作未読の人には
わかり辛い個所も多いと思うが 様々な形で夫婦愛が巧みに表現されていた
前半のほのぼのした田舎暮らしの様子から 徐々に壊れそうになっていく
ふたりの関係
天真爛漫だったツマの表情は後半は暗く翳り
大きな器でツマを受け止めていたムコさんの内面も少しずつ見えだして
重い展開になっていく それは若い夫婦が体験する試練
ドライブのシーン 蛇口のシーンで見せた主役二人の細かな表情
とても見応えがあった 特に車の中のツマ
可愛らしい夫婦を演ずる二人も良かったけれど
私はむしろ後半でのダークな部分が心に響いた
胸の奥に突き刺さるような切なさだった
植物の声は聴こえないものの 月に支配されて体調不良になったり
些細なことで情緒不安定になるツマにはるか昔の新婚時代の
自分を重ねたからかもしれない・・・
その後半にムコさんが抱える過去 緑との関係をはっきりさせるシーンが
もう少しあったらよかったのに・・・というのが残念ポイントのひとつ
背中に鳥を刻み込むほどの想いを抱いた緑との間の出来事が
さらっと流されているだけで物足りなかった
緒川さんとのお芝居をもっと観たかったという願望もあった
ムコの語り
という形での説明でもあればよかったな
所々ムコさんが向井くんになる場面があり
「あれっ?」 と思ったことはこの際ご愛嬌
東京から帰ってしらかば園で車いすを押しているのは
まぎれもなく向井くん・・・・
これは連れ合いにも指摘されましたけど
鑑賞に付き合ってくれた連れ合いの評価は
(☆5個中ね)
映画の良し悪しはわからんけど 成長したやん!とのこと
彼もまた私に影響されたのか すっかり身内目線(笑)
みっつは作品としてでなく 向井くんのお芝居に対して!の評価のようです
原作はもちろん読んでいないので
話はよくわからん・・・・ちょっと眠くなった・・・と
ノンフィクションが好きな人に
想像力を駆使することを期待してはいけませんでした(笑)
長い原作の中にはムコとツマの距離感がわかる台詞や表現がたくさんありました
小説と映画は別物として見るものかもしれません
この映画では台詞ではなく表情や間でその雰囲気を出そうとしたのはわかるのですが
話の軸になる部分ではもっと映像や台詞での説明があってもよかったと思いました
そうすれば原作を読んでいない人も
話に入っていきやすかったのではないでしょうか?
この物語の大きなテーマは「夫婦の秘密」
でもこれは隠しているものではなく
お互いが知らない部分のこと
相手のそれに自分がどう向き合うのか
ということ
ツマとムコは 大事なことは何も語らず
相手を問い詰めることもしないでいた・・・でもそこがよかった
そもそも相手のすべてを理解するなんて無理なこと
出会うまでの長い時間の出来事を全部さらしたからといって
それで相手を理解できるものでもないと思うし
ふたりは何かしら不安になったり感情を抑えきれなかったりしたものの
結局は互いに相手を大切に思う気持ちが大事なのだと気づく
絆はそうやって深めていくものだとも
夫婦の関係なんて一朝一夕に出来るものではないんですよね
ムコとツマはこれからなんです
ふたりがお互いに必要な人であるということを
再確認できた今 新たな物語が始まっています
ラストシーンに
の文字がありませんでしたから
最後に私が一番好きなシーン
それは電車の中で手を握り合った二人が見つめ合う所
あそこで流れる♪グッド・ナイト・ベイビー♪の
切なさと綺麗な映像はとても印象的
木村さんの歌は酔っぱらいにしては上手すぎるのだけれどね
ゴスペラーズの主題歌も素敵な曲ではあったけれど
あの物語の世界観には
エンディングでもグッド・ナイト・ベイビー♪
が
しっくりくる気がいたします
(オリジナルを子どもの時に聞いた記憶がある私・・・)
今宵は新月で月の光は届かない静かな夜だけれど
明日も明々後日も世界中でいろんな夫婦の
いろんな物語が作られていくのでしょう

