招きの麗人を初めてみたのは夏の終わりだった。
小さな四角の中、凛とした姿で三つ指をついていた。
「主がお待ちです」
強い眼差しがそう告げているようだった。
後を追えば其処は人の想いが形をまとう迷宮
四角く切り取られた世界に住まう同胞たち
その一隅に彼はいた。
淡い闇の中 幻のように浮かぶ白い蓮の花
その蓮よりも妖しく静かにたたずむ
しなやかな身体を華麗な衣装に包み
ほっそりとした指から黒い手袋を外していた
白い額に細い眉 耳にかかる髪の流れ
視線の先には何があるのだろう
艶が漂う秘めやかな世界
月の夜に目覚めた彼には花や月の光が似合った
紫や青の薔薇、モノクロームの牡丹
モダンクラシカルな壁紙 丸い縁の鏡
深く内省していく彼の傍で黒白の蝶が舞う
濡れた髪、瑞々しい身体
シャワーの飛沫が輝く
背後から差し出されるタオル
《愛されること》に自然に身をゆだねる
素直なのびやかさを感じさせる
抱き留められ背を預けながら本を読む
抱きしめられながらこちらに眼差しを向ける
迷宮の中、切り取られた瞬間が
いくつもの物語を織りなしている
清冽な冬木立の中 彼がいた
愛する存在を腕に抱き 時を止める
思い惑う指がシャツの背を握る
髪を愛撫され閉じた瞼の端に涙が滲む
別離は切なく美しく…甘い
冬枯れの色調の中、彼の唇だけが色を放つ
花開く時を身の内に宿しているかのように
