☆知値社会の組織と帰属、そして好縁社会の予兆 (堺屋太一 著 文明を解く東大講義録 より 抜粋)☆
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ところが、知値社会になると価値が変動的です。設備や生産手段、つまり「財団」の価値も可変的です。「財」よりも、むしろ経営者の能力や技術開発力が重要になってくるわけです。
ここで組織が一挙に変わります。従来のように、固定したポストに適任者をはめ込んでいく「フィルハーモニー型」組織から、はじめに人がいて、次に人がいるから組織があるという「ジャズバンド型」に変わり出した。これは1980年代から目立ち出した現象です。
フィルハーモニー型の組織とは、例えばNHKフィルハーモニーなら指揮者が替わっても、コンサートマスターが替わっても、NHKフィルハーモニーです。
人が替わって演奏が良くなれば「最近のNHKフィルハーモニーは素晴らしいね」、悪くなったら近頃のNHKフィルハーモニーはダメだね」と言われます、しかしNHKフィルハーモニーでなくなることはない。
ところが、ジャズバンド型の組織は、例えばルイ・アームストロングとそのクインテットなら、ルイ・アームストロングがいなければ解散です。
仮にその名前を残したとしても、別のものになるでしょう。
同様にこれからの組織は人間にまつわりつくように組織が存在する「ジャズバンド型」に変わっていく。組織の原理が変わるのです。
[ 組織はヒエラルキーからネットワークに変わり出しました ]
規格大量生産型の組織は、必ず上が小さくて下が大きいヒエラルキーです。1人の社長が10人のの専務・常務を監督する。各常務は10人の部長を監督する、各部長は10人の課長を監督する。
各課長は10人の係長を監督する。各係長が10人の平社員を監督する。
そして下へ行くほど狭くて深い知識を持っている。
つまり、「詳細は下が、全体は上が」把握している仕掛けです。
「地位が人をつくる」という言葉があります。
あんな頼りない人だと思っても、この職に就いて3 、4年たつと、だんだんそれらしき能力と風格を備えているものだ、という意味です。組織ヒエラルキーの上にいくほど、より広い知識を浅く持つからです。
10人の係員が持っている情報が1人の係長に上がってくる。係長は10人分の広さの情報をより薄く知る。10人の係長から1人の課長に上がってくるから、課長はより広い範囲の情報をより薄く知る。
そして部長になり、常務になってもまた、より広いことをより薄く知る。
そして、社長になると全体的な情報を薄く広く知っている。
そうであれば、ある課長が社長に対して「あなたの判断は間違っています」と言ったとでも、「君は君の範囲だけを見ているから、そのように思うだろうが、私は全社的な情報を持って判断している。君の範囲だけでそんなことを言っては困る」といえます。
近代組織は「直訴はご法度」、課長がいきなり社長に物を言ってはいけない。料金は権限と地位の段階を一つ一つ踏んで順番に上がっていくわけです。従って、情報は必ず上に広く伝わり、下にhs深く存在します。
続く…次回は、ネットワーク組織についての部分です☆