米国は50の独立州からなる合衆国である。そして連邦政府が全体を統治するが、EUも26か国の合衆国と考えれば分かりやすい。史上最大の領土を誇った英国さえも、4か国の合衆国だ。EUは独英仏を中心として経済圏を維持し、共通貨幣ユーロを発行してヨーロッパの結束を図ったが、各国の格差是正と経済力の違いを埋めることは難しかった。シェンゲン協定によってヨーロッパ家族の自由旅行を可能としたが、オランダを拠点とする麻薬組織はシェンゲン協定を悪用して、麻薬を全EUに拡散している。何事も長所と短所を併せ持つものである。中でも労働力の自由な移動は国により対処が違ってくる。経済基盤が固く、労働力不足に悩む独英仏などは当初移民、難民の受け入れに寛容であり、特に独仏は他の同盟国を無視して労働力不足の補充に移民と難民を利用した。経済基盤の弱い国々、東欧諸国は裕福な国へ職を求めて移動し、安い賃金で労働力不足を補填していたのである。それでも尚、労働力不足に悩む独仏は「人権」お「人道上の支援」の大義の下に、中東やアフリカなどから難民、移民を積極的に受け入れた。衣食住に困る人々は安い賃金をさらに下回る賃金で雇用されることになり、東欧などの労働者を圧迫した。

 雇用される人々はまだよいが、言語の壁に阻まれ技術を持たぬ人々はどうなるのか。難民キャンプで保護され、職業訓練を受けEUに適応する人材を目指すのである。その間、滞在するすべての費用はその国の社会保障費で賄われることになる。

※明日に続く