この話は
中途障がいになった僕の20年の歩みです。


僕は全盲で車いす。


2月下旬、僕は栃木の病院を退院した。


埼玉の国立職業リハビリセンターへの入所は


順番待ちのため、一度実家に戻ることになった。


実家に戻ってからは、1週間に一度


病院のリハビリに通っていた。


実家に戻ってからのリハビリの送迎や外出


僕の介助(入浴、トイレ誘導、車いす移動など)を


主にしてくれていたのは、一緒に住んでいた


幼なじみだった。そこに時々、弟が加わる。


両親や弟以外のきょうだいが


僕の介助をすることは、ほとんどなかった。


そんなある日


母親が僕に信じられないことを言ってきた。


それは僕が実家に戻って3ヶ月を過ぎた頃だった。


僕には排泄障害もある。


尿意や便意はあるものの、それを感じても


我慢するということがなかなか難しい。


そのため状況によっては


トイレに間に合わないこともよくある。


だから僕には、リハビリパンツとパットが


欠かせなかった。


それは母親と二人でいるときだった。


「ねぇのぶ、リハビリパンツなんて履いてて恥ずかしくないの?もう履くのやめたら?」


と母親に言われたのだった。


僕は返す言葉もなかった。


この人は僕の障がいを何も理解していない。


僕は悔しくて悔しくて仕方なかった。


まだ若かった僕には、母親に言われたその言葉が


悔し過ぎたのだろう。


見返してやりたかったのかもしれない。


僕はその日から、


リハビリパンツを履くことをやめた。


そのことが、このあとどれだけ自分にとって


ダメージになるのかも考えずに・・・。


悔しい気持ちだけでの行動だった。


今ならわかる。


僕が恥ずかしいのではない。


自分の息子が若いのに


リハビリパンツを履いていることを


母親が恥ずかしいと思っていたのだ。



つづく