僕は全盲で車いす。


いよいよ自己破産に向けての準備が始まった。


弁護士さんから指示された書類を


いくつか提出するのだけれど


僕たちが最初にぶち当たった問題が


「家計収支表」の提出だった。


その「家計収支表」は弁護士事務所から


僕の両親宛てにすでに送られていた。


8月と9月の家計の収支を記入して


提出するのだが、この記入をするのは


家の家計管理をしている母親だったガーン


とりあえず8月分を9月に入ってから


弁護士事務所へ持って行くことになっていた。


9月に入り母親から「家計収支表」を


預かった僕は彼女に内容の確認を頼んだ。


その「家計収支表」を見た彼女は言葉を失い


開いた口が塞がらない状態だったようだ。


そこには事前に提出していた書類をもとに


弁護士事務所の方で収入の項目に


両親と僕の年金がすでに印字されていた。


僕の両親は二人とも元公務員だった。


そのため両親がもらっている年金は


結構な額だろうという予想はついていた。


しかし両親がもらっている年金は


僕たちが予想していたよりも


はるかに上をゆく高額なものだったびっくりびっくりびっくり


にもかかわらず、8月に入ったはずの


高額な年金は翌月への繰り越しどころか


赤字になっているのだ。それもかなりのガーンガーンガーン


「家計収支表」の注意事項の中には


実際にあった収入、支出を書いてください


(1円単位まで記入)とあるが


全く指示どおりには書かれていなかった。


合計の計算すらも合っていない。


ある程度予想はできていたが


もう呆れるしかない。


たぶん家族にとって僕の自己破産は


僕だけの話で済むことだと思っていたのだと思う。


僕の自己破産に自分たちの収支が


関わってくることなど誰一人考えもせずに


自己破産を提案してきたのだろう。


『考えが甘すぎでしょえー』byさち


彼女 「の、のぶくんタラーこれだけの年金をもらっているのに8月末には赤字って、9月はどうやって生活していくの???? 年金が入ってまだ半月だよガーン


のぶ 「わ、わからないアセアセ


そして令和4年9月7日、それを持って


僕たちは弁護士事務所へ向かった。


「家計収支表」を確認した弁護士事務所の人は


「これではちょっと・・・」と呆れている。


弁護士事務所の人と色々話し合って


いくつかの提案をもらい


その日は弁護士事務所をあとにした。


僕たちは無言のまま彼女は車を走らせ


公園の駐車場に車を止めた。


彼女は大きなため息をついたあと


彼女 「今日、家族と話し合いをしよう。これじゃ自己破産どころの話じゃないし、ちゃんとした家計収支が出てこないと免責なんてとれないよ」


のぶ 「そうだね」


こうして僕たちはこの日、僕が一緒に住んでいる


家族全員を集めて話し合いをすることを決めた。


両親と弟夫婦、僕と彼女の6人だ。


僕たちは家に帰り全員が揃うのを待っていると


弟がいきなり僕の部屋のドアを開け


弟 「なんで?話し合いする必要ある?話し合いするにしても○○(弟の奥さん)を入れる必要ないでしょ!」


と僕に向かいすごい剣幕で言ってくる。


それを見ていた彼女は


彼女 「ちょっとごめんね。これは一緒に住む家族全員が知らないといけない問題なの。だから○○(弟の奥さん)ちゃんにも参加してもらいたいの」


弟 「○○(弟の奥さん)には、俺があとから話せばいいことでしょ」


彼女 「知られたらまずいことでもある?」


弟 「俺は○○(弟の奥さん)に全部話してますよ。話してないとでも思ってるんですか。心外だな」


弟は納得できない様子で色々と言ってくる。


彼女 「ごめん、言っちゃったら私は他人。人の家の家計なんて見たくない。私は自己破産も反対だし、あの時○○(弟)くんが責任を持って最後までサポートするって言うから、私は任せたの。でも今は状況が違う」


弟 「俺が悪いんですか?自己破産するって決めたのは、のぶくんでしょ!」


と・・・


『はぁ?ムカムカだよ』byさち


それでも何とか彼女は冷静に話をし


なんとか全員で話し合うことになった。


このとき弟は全く気づいていなかった。


彼女を本気で怒らせてしまったことに・・・


『くわばら、くわばらお願い』byのぶ


『私は悪霊か!?』byさち


弟が体調不良で離脱したことは


仕方のないことだし彼女も理解していた。


それなのに自己破産を提案し


責任を持って自分がサポートすると


言った言葉に対して何の責任もないどころか


何の言葉もなかった。


このあと話し合いは行われるのだが


弟はこの話し合い以降


僕の自己破産に関して関わってくることも


状況を聞いてくることも一切なかったのだ。


『提案しておいて何でだよえー』byさち



次回へつづく

※このお話はノンフィクションです。