LODとメディア(13):イギリスBBC編:抱えていた問題 | NOBUOTTO

LODとメディア(13):イギリスBBC編:抱えていた問題

イギリス放送協会(BBC)は、メディアの中でもLinked Open Data、セマンティックWEB技術の利用が最も進んでいます。
 これまで「LODとメディア」では、イギリスの報道機関のLinked Open Data Cloudへの興味、報道機関としてLinked Open Data Cloudも利用した「オープン戦略」を進めるニューヨーク・タイムズも、このBBCを大きな成功モデルとしています。

1.莫大な番組(コンテンツ)を保有するBBC

 BBCは世界の中でも最も大規模な放送局で「情報、教育、エンターティメント」により国民の生活に豊かにするという使命を掲げている公共の放送局です。
 BBCには8つの公共放送局と地方局、10つのラジオ局と40のローカルなラジオ局が存在します。
 と同時に世界32言語の国を対象に海外サービスも行っています。(
(公共ということもあり、日本からBBCのオンラインサイトにいっても閲覧できないサービスは多々あります)
 1920年にラジオ放送を開始し、1930年にはテレビ放送、そして1994年からオンラインサービスを開始しました。
 既述のように、沢山放送局ラジオ局を保有しているBBCには莫大な番組があり、また日々これらは更新されています。こうした状況でBBCのオンラインサービスは開始されました。

2.孤立したオンラインサイト
 しかし、オンラインした時、各番組のサイトは人手で作成され、それぞれ孤立していました。一日に1000から1500の番組があるので、人手ではカバーできません。ある番組のサイトが作成されても更新することもできず、ほったらかしのまま、またサイトの削除、古いURLの使い回しという状況になりました。
 これは利用者にとっても不便であるだけでなく実際に発生するコストも大きく、そしてBBCサイトに不満をもって利用者が去っていくという機会損失にもなりました。

3.新しいオンラインプラットフォームの構築へ
 こうして状況を打破する目的で、BBCは新しいオンラインプラットフォームを構築することになりました。
 目指すのは次のことです。
i)パソコンだけでなくモバイルからゲームのコンソールからも利用可能なオンラインプラットフォーム
ii)これまでの孤立したサイトではなく、あるページから次のページ、そのまた次のページへとBBCのオンラインサイトで旅ができるような魅力的なサイト
iii)全てのBBCの番組に対して最低限の整合性と高い品質をもつオンラインサイト
 このための手段としてBBCの全てのエピソード(一回一回の放映分)にURLを付与するして管理することにしましたが、これまでの経緯から各部署は異なるシステムで番組は管理されている、また各部署で番組コンテンツの作製工程も異なるという問題にぶつかります。
 この問題を解決するために、BBCはMichael Smethurstを中心にドメインドリブンデザイン(Domain Driven Design)という手法を開発し、この手法によって、これまで孤立していたサイトの各番組の統一的な管理を実現しました。本手法の詳細は[2]に書かれていますがポイントは番組の個々のコンテンツやコンテンツ間の関係を専門家とともに分析していったということです。
 こうした地道な努力によって各ページはBBC/Programmesとして整理されました。
 


参考サイト:
[1]BBCとLinked Data 「Linked Data On BBC」Patric SinClair 2009/11/23
[2]そうやってWebサイトを構築したか「How we make websites」2009/1/29 Michael Smethurst