光る君へ第18回あらすじ&感想前編 | NobunagAのブログ

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光る君へ

第18話「岐路」前編



長徳元(995)年。


筑前守兼大宰少弐であった宣孝が

4年ぶりに都に戻ってきた。


「ああ…変わった味だな、

唐の酒は」


宣孝の土産の酒を口にして

為時がそんな感想を漏らす。


「戦人の飲む酒だ。

我らは戦を致さぬゆえ

口には合わぬが…

おかしなものも一興であろう?

まひろも味わってみるか?」


「はい」


「やめとけ」


と為時は止めたがまひろは

好奇心旺盛であるし宣孝も


「何事も経験だ」


酒を汲んでやった。


「頂きます」


まひろは酒を口にする。


「どうじゃ?」


「カッといたしますね。

まさに戦の前に己を鼓舞する

酒でございますね」


「そのとおりだ。

まひろは打てば響く

よい女になったのう」


宣孝は真顔で言った。


「年を重ねて色香を増した」


「お戯れを。

そんなことより宋の国のことを

お聞かせくださいませ。

博多の津には宋の国の人が

商いに来ているのですか?」


まひろは異国のことが

気になっている。


「ああ、商人も役人も来ておるぞ。

薬師もおる。

宋には科挙という制度があり

これに受かれば身分が低くとも

政に加われるそうだ」


「まことでございますか?

身分を超えて機会が与えられる

国があるなんて。

行ってみとうございます」


さすがに科挙でも、

女性は登用されなかったのだが

まひろの夢は膨らむ。


「行くのは難儀じゃが…

ああ宋のものなら手に入るぞ。

これは宋の国の薬で

切り傷に驚くほど効く」


宣孝は軟膏を取り出した。


「太宰府ではこの薬で

ボロ儲けした。

国司のうまみを味わい尽くしたわ」


楽しそうに語る宣孝。


そしてひとつの小瓶を取り出す。


「これは唐物の紅だ」


開けると真っ赤な紅の粉が目に入る。


「美しゅうございますね」


「まひろのために買ってまいった」


いつの間にやらこの親友が、

ずいぶん自分の娘を

気に入っているようで…


為時は目を丸くする…。


「さしてみよ」


宣孝はそれを渡す。


まひろは紅を手に取り、

唇に塗ってみる。


「よいではないか!」


宣孝はよろこんだ。


「ハハハ!思い描いたとおりじゃ!

ハハハハハ…」


「太宰府は魚もうまいのであろう?」


「玄海の海のイカ、エビ、

タイがそれはそれはうまい。

されどなま物は持って帰れぬゆえなあ」


「ああ、いやそのようなことを

申したのではない」


まひろはまだ異国のことが

気になっている。


「太宰府から宋までは

どのくらい時間が

かかるのですか?」


「海を渡って10日、

それから宋の都まで

陸路でふたつきはかかるそうじゃ」


「遠いのですね…」


「行こうなどと考えるでないぞ」


為時が釘をさした。


「伺っただけにございます」


「行くならわしが一緒に

行ってやろう。

ついでに商いもできるゆえ」


宣孝はすっかり商いに

ハマってしまったようだ。


「やめてくれ、

その気になったら困る」


まひろのことだから、

行きたいとなったら

何をするかわからない。


為時は必死に止める。


「心配性な父上」


3人は楽しそうに笑った。



「関白様が身まかられて

早10日。

帝は何故次の関白を

お決めにならないのかなぁ」


道綱がぼやくと、

平惟仲が答えた。


「中宮様が兄の伊周殿をと

せがんでおられるに

決まっておる」


「出過ぎ者の中宮だ!」


相変わらず生真面目な

実資が大きな声で、

それを非難する。


道綱はそんな実資を見ると


「伊周様は若すぎるよね。

帝も若い、関白も若いでは…」


機嫌を取るようにそばに座る。


「しかり!時には的を射たことを

言うではないか」


「時にはね」


と道綱はニコリとする。


「若いだけではない。

道兼殿は帝の叔父だが

伊周殿はいとこにすぎぬ。

どう考えても次の関白は

道兼殿になるのが順当だ」


そんなやりとりを、

隙間から見ている者がいる。


当の帝本人、一条天皇である。


「好きではないがな。

全く好きではないが

関白は道兼殿であるべきだ」


こういうところで

私情を挟まないのは

実資の良いところである。


帝はそれを聞き、

迷っていた…。



帝は伊周を招くと、

正直に告げた。


「こたびは右大臣、

道兼を関白といたす」


予想外の言葉に伊周は固まる。


定子はそんな兄を見つめた。


「右大臣を差し置いて

内大臣を関白となせば

公卿らの不満が一気に

高まるは必定。

公卿らが2つに割れることを

朕は望まぬ」


苦しそうに言う帝。


定子は目を伏せた。


「すまぬ、伊周」


「お上がお決めあそばされたことに

誰が異を唱えましょうか」


伊周はこらえるように頭を下げる。


「では…」


帝が去る。


が、その姿が見えなくなると

伊周は本音をこぼした。


「これでは亡き父上も

納得されぬ!」


伊周は妹でもある定子に

辛辣な言葉をぶつけた。


「そなたは何のために

入内したのだ」


だが定子は帝も悩んできたことを

理解している。


「このところお上は

夜もお休みになっておられませぬ」


「迷うからだ。

私を選んでおればよいものを」


定子は、そういうところだ、

というふうに冷たく言った。


「兄上が関白になるのが

お上は不安なのです」


「私に何の不安があると申される」


「もっと人望を得られませ」


「人望?」


「次の関白にふさわしい人物だと

思われるために精進していただきたく

思います」



伊周が肩を落として去ると、

入れ替わりにききょうが

やってくる。


「中宮様…」


「私はどうしたら

よいのでしょう…」


気を張っていた定子も、

ききょうの前では弱みを見せた。


「帝も兄上も私にとっては

どちらも大切なお方なのに…」


ききょうは定子のそばに行くと


「少し横におなりくださいませ」


そう優しく声をかけた。



関白は道兼、と決まった。


「正二位、

右大臣藤原朝臣道兼をもって

萬機をあずかりもうさしむ」


帝の声が響く。


一条天皇は道兼を関白とする

詔を下した。


道隆の死から17日後の

ことだった。



道兼は道長をまねくと、

あらためて礼を述べた。


「公任の屋敷で荒れていた俺を

救い上げてくれたお前のおかげだ」


道兼は…ずいぶん、変わった。


あれだけ仲が悪く、

道長につらく当たってきた

道兼ではあったが、

その道長のおかげで

人の温かみに触れたのだ。


「そのようなことも

ございましたね」


昔のことなど気にしなくていい、

とばかりに道長は答える。


「お前を右大臣にするゆえ

これからも俺の力になってくれ」


決して身内びいきではなく、

道長の才能を頼りにしている

政治家としての、

道兼の判断である。


道長は代わりに、とばかりに


「救い小屋のこと公の仕事と

してください」


別の兄、道隆に却下された

民のための救い小屋のことを

道兼に頼む。


「もちろんだ」


当たり前のこと、とばかりに

道兼は即答した。


民の苦しみは道兼も

実際に目にしている。


「兄上ならよき政ができましょう」


道兼は少し恥ずかしそうに微笑む。


「父上にもはや恨みはない」


道長が顔を上げる。


「されどあの世の父上を

驚かせるような政をしたいものだ」


凛とした声で道兼は言う。


「まずは諸国の租税を減免し

新規の荘園を停止しよう」


民のことを一番に考えた政治…


これが道兼がたどり着いた、

道長と同じ理想の政の姿だった。


「兄上なら必ずや。

ではこれで」


「ああ」


帰っていく頼もしい弟を

見送るように道兼は

立ち上がったが…


ふと目眩に襲われた。



道兼を筆頭に公卿たちが

後に続いていく。


この日、道兼は関白就任の

慶賀奏上の後、

清涼殿に向かった。


…が、先頭を行く道兼の

顔色は悪く真っ青である…。


帝が御簾の向こうから、

新しい関白、そして

公卿らを、見つめる。


「恐れ多くも関白に拝されたる

鴻恩に謝しまつり

臣道兼、その務めに身命を賭して

当たる所存にござりまする」


「朕が意を奉じ、

国家万民のためその力を尽くすべし」


道兼は頭を下げた。


そしてゆっくり立ち上がる。


皆がその道兼を見送る。


踏み出す道兼だったが…


突然、床に倒れ伏した。


道長が驚き、

他の者たちも心配そうに

見つめる。


立ち上がろうとする

道兼であったが、

その唇が痙攣したように

震えている。


思わず道長は駆け寄る。


兄上、と呼びかける道長。


伊周はその様子を

じろりと見た。



「兄上、薬師を連れて

まいりました」


急いで道長が部屋へと

駆け込もうとする。


「ちかづくな。

俺は疫病だ」


御簾の向こうから、

道兼はそう止めた。


「悲田院で見た者たちと

同じである」


「ご無礼」


構わず道長は入ろうとする。


「やめろ!」


道兼は声を張り上げた。


「お前が倒れれば我が家は終わる。

二度と来るな」


「疫病でも治る者もおります」


道長はまひろが治ったことを

知っているがゆえに、

諦められない。


「出ていけ!早く」


道兼は上体を起こし、

あらためて止めた。


「俺を苦しめるな」


道長を見つめる道兼。


この状況で後をたくせるのは

道長しかいない。


いや、それ以上に…

弟にまで疫病をうつしたくない。


「行け!」


涙声で道兼は道長を拒絶する。


そんな兄の意を汲むように

道長は部屋を後にする…


道兼の読経の声が

道長の耳に聴こえてくる…。


道兼はふと読経を止める。


「俺は…浄土に行こうとしておるのか?」


この期に及んで、

思わず読経など唱えてしまった

自分に対して乾いた笑いが

こみ上げてきた。


「ハハ…ハハハ…」


道兼はわかっていたのだ…


ずっと前から。


「ぶざまな…こんな悪人が」


さんざん幼い道長をいじめ、

それどころか見知らぬ女性に

八つ当たりでその命を奪った。


それがまんまと関白の座に

座ろうとし…


それがたった数日で露と消え、

死ぬのが怖くて読経など

唱えている。


「ハハ…ハハ…ハハハハハハハ…」


涙の混じった、

自嘲気味な笑いが響き

咳き込む。


道長は聴いていられなかった。


哀しくて。


立ち去ろうと思ったが…


次の瞬間には道長は

もう一度部屋へとかけこんでいた。


そして道兼…兄の身体を

きつく抱きしめる。


疫病におかされた体、

まひろの母の仇でもあった男。


だが、道長にはもう

嫌悪感などなかった。


血を分けた大切な兄、

孤独に死のうとしている

道兼を一人にはさせられない。


道長は兄を抱きしめる。



関白の慶賀奏上から7日、

道兼は35歳で世を去った。



道兼の死は道長にとって

痛恨の極みであったが

政敵となってしまっている

亡き長兄の家、

中関白家にとっては

願ってもない逆転劇である。


「七日関白とは情けないな」


道兼も叔父であるのに、

隆家はその死を馬鹿にするように

笑った。


「よくぞ死んでくれたものだ」


伊周も本音を隠さない。


「父上がお守りくださったのですよ」


さすがに神妙な様子で

貴子は息子たちを諭した。


「母上、私が関白になれば

我が家の隆盛は約束されたも同然。

私には跡を継がせる息子も、

帝に入内させる娘もおりますゆえ

どうぞご安堵なさいませ」


伊周が、胸を張ると

貴子は微笑んだ。



一方の道長はまるで

抜け殻のようになって

床に寝転んでいる。


倫子は柱の陰から

心配そうに見ていたが、

ついぞかける言葉は

見つからなかった。



道兼に妻を殺された為時、

母を殺されたまひろも

その表情は冴えなかった。


「敵とはいえこれで

よかったとは思えぬのう…」


為時がつぶやく。


道兼は一度だけこの屋敷に

訪れたことがあった。


兼家の命令で、

為時の心を掴むために

やってきたわけだが、

どこか寂しそうな道兼のことを

為時もまひろも覚えている。


「さぞや…無念であったろう」


父の言葉にまひろは

黙り込んでいたが、

母の形見…あの日、

道兼にも聴かせてやった

琵琶を手にした。


「あのお方の罪も無念も

全て天に昇って消えますように」


そんなまひろを為時が見る。


あれだけ幼い頃から、

ミチカネを恨んでいたまひろが

今はその男の死に哀しみを

抱いている。


まひろの、爪弾く琵琶の音が

夜の庭に響いた。



道兼が死んでから僅かひとつきの間に

道長、伊周を除く大納言以上の、


公卿は死に絶えた。



夜も更けて道長は

倫子もつれて詮子のもとにいた。


「遅いではないの」


詮子は苛々しているようだった。


「内裏の仕事が長引きまして

申し訳ございませぬ」


詮子はすぐに本題を切り出す。


「分かっていると思うけれど

次はお前よ。

私には務まらないとか

言わないでおくれ」


「姉上…私は関白になりたいとは

思いませぬ」


「お前がならなければ

伊周になってしまうのよ」


だが道長は誰がなろうと

興味がない…


「それがよいと存じます」


「女院様、私たちは

今のままで十分なので

ございます」


元々、権力への執着がなく

相応の暮らしさえできれば良い

倫子も道長に同意する。


「そなたは黙っておれ!」


詮子は怒りを込めて言った。


「ご無礼いたしました」


倫子は頭を下げるが


「倫子の言うとおりでございます。

帝はまだお若いながら果断にして

お考えも深くまこと、

ご聡明におわします」


他人事のように差し障りなく

帝を褒める道長。


「伊周が関白になったら

私たちは終わりよ。

それでもよいと思うの?

道長は」


「それも世の流れかと…」


せっかく和解して

踏み出そうとした道兼の死は

道長の気力を完全に

奪っていた。


「うつけ者!」


詮子は叫んだ。


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宣孝おぢさんが、

まひろに急接近…


生年が不詳なのだが、

劇中では為時と同じくらいの

年齢として描かれているので

貴様はロリコンか!

と思われてもやむなしだが…


とはいえ、まひろも

20代中盤(道長が20代後半)

ということを考えたら

色香が増した、いい女になった、

と、思うのは普通でもある。


まぁ、幼い頃を知ってるのに〜…


というエロさはあるけど

まひろが書く源氏物語も、

そんな感じだしな。


この時代には普通なのだろう。


と言っても為時からしたら

親友が娘をそういう目で

見始めた…は気が気でない、

は親父としてあるだろうけど。


が、宣孝はそれなりに

立場もあるしお金も持っていて

実はちょうどいい相手である。


少なくとも道長よりは…



道兼の死はとてもつらいものがあった。


第一話でまひろの母を

刺し殺したときは、

こいつろくな死に方できないな、

と思わされたものだ…


史実においても道隆のあと、

関白になった瞬間に

死んでしまうので…


ドラマならばまひろと道長が

道兼を毒殺する、くらい

あってもおかしくはないなと。


しかし蓋を開けてみたら

長男の道隆のほうが

悪の道に進んでしまい、

道兼のほうが

道長の励ましもあって

民のことを考えられる

男になっていた。


元々、道兼は


「俺達の影は同じほうを向いている」


と言っていたのだが…


輝く者がいればそこには

影ができる、それは避けられないこと。


父の兼家はその役目を

道兼に求めた。


ましてや道兼は殺人、

という当時でもタブーの罪を

おかしてしまったのだから

汚れ役をさせられても

逆らうことができなかった。


しかし道兼の立場に立つと、

若い頃から優秀な兄の道隆と

比較されてコンプレックスを

感じているときに、


「弱い立場の人のことも

考えろ」


と注意してくる弟の道長が

憎くなってしまったのも

無理はなかったのかもしれない。


だからといって、

八つ当たりのように

他人を殺害していいわけがない、

これは現代も当時も同じではある。


どうする家康でも、

当主の息子だからといって

信康が僧を斬ったことは

許されないことだ、と

咎められている。


立場が上なら何をしてもいい、

という考え方は昔でも

アウトではあった。


平安時代はそこに、

穢れの概念もあるから

そんな罪をおかしたら

家族にも穢れが及ぶ。


兼家はそれを利用して、

穢れた道兼はそのまま

穢れを背負うべきだ、と

追い込んでしまった。


一方の道長は不真面目で

自由奔放で、ときには

兼家からも叱られてきたが

怒られている最中に

父上の顔に虫がついてる、

などとふざけても

許される程度に打ち解けた

父子関係を築いていた。


こればかりは道長生来の、

人に憎まれない愛嬌のような

ものがあるのだが、

きっと幼い頃から

こういうことはたくさん

繰り返されていたはずで

道兼ばかりがどうして…


という思いは、

必ずやあっただろう。



道兼が為時のもとを訪れたときも、

為時のことを利用して

花山天皇に取り入るための

行動ではあったのだが…


酒を飲む仲間がいない、

と寂しそうにしている姿や

まひろの琵琶の音に思わず

胸を打たれて涙すら

浮かべていたこと…


あれこそが本当の道兼の姿、

孤独を抱えて誰かの愛に

飢えていた本音そのもので

あったのだろう。


さすがに道兼も

自分が若い頃に殺した相手が

為時の妻、まひろの母と

までは知らなかったのは

幸いでもあったろう。


道兼の中にはずっと

罪悪感はあったはずだから。



為時やまひろも

ミチカネという人が

寂しさや孤独を背負って

生きている人だということは

理解をしていた。


だからこそ、

道兼の死を悼むことができた。



道兼が立ち直れたのは、

道長の必死の説得。


つまりは求めていたはずの


「家族からの愛」


だった。



印象的だったのは

その道兼も死の間際に

道長に来るな、と

叫んだときに


「お前まで倒れたら

我が家はどうなる」


と気にしていたことだ。


道兼の言っている我が家とは、

道兼家のことではない。


道隆のような中関白家、

自分が築いた家、ではない。


兼家が作った「藤原家」の

未来を案じていたのだ…


つまりは道兼も立派に

家の後継者であった。



あれだけヒールだった

道兼の死がこれほどに

胸に響くものになったのは

玉置玲央さんの名演もあるし、

道長役の柄本佑さんが


「最期のシーンは御簾の中へ

道長自ら入っていく」


と、台本を変えることを

提案してくれたそうだ。


確かに当初の台本のとおりに

せっかく和解できたのに

疫病のせいで御簾で

隔てられて別れを迎える…


でも、悲しいシーンには

なったと思う。


というか悲しさだけなら

そっちのほうが大きかったはず。


だけどこの兄弟が歩んだ

道のりを考えたとき、

疫病という危険があっても

抱きしめに行く道長、

その弟の愛に包まれながら

命を落とす道兼、という

場面にできたことで

少なくとも道兼にとっては

救いのある最期となった。



死の恐怖に怯えて

読経を唱え始めたとき

道兼は


「俺は浄土に行こうとしているのか…」


と自嘲した…


他人を平気で殺したくせに

自分だけが救われようなんて、

そんな自分が関白になる、

などという夢を見たこと自体が

兼家の言うとおりに

身の程知らずの振る舞いで

あったのかもしれない。


でも、道長だけは肯定してくれた。


そんな道長がいるから

道兼は


「家のため」


を考えられる男になった。


道兼は何もできないまま、

死ぬことになったが、

関白になったら

疫病対策の救い小屋を作り

租税を安くし、

新規の荘園も停止しよう、

と民のための国作りを

実現しようとしていた。


家のためを考えながらも

民のことも考えられる、

理想的な政治家へと

なれる人であった…


第一話を観た段階では、

道兼がこんなに惜しまれる

キャラになると思わなかった。


素晴らしい脚本と、

俳優の熱演に感謝!