光る君へ第10回あらすじ&感想後編 | NobunagAのブログ

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光る君へ

第10話「月夜の陰謀」後編




道長とまひろはひとつになった。


まひろがふと見上げると

天井の隙間から満月が

こちらを見ている…



事が終わると道長は

まひろの涙を見て


「振ったのはお前だぞ」


と言う。


「人は幸せでも泣くし

悲しくても泣くのよ」


道長はまひろの頬を伝う

涙を拭った。


「これはどっちなんだ?」


「どっちも」


まひろからして見れば…


道長と結ばれたのは嬉しい。


でも、きっと自分が

これだけの高貴な方の

嫡妻にはなれないだろうし…


父にとっての高倉の姫のように

いつか道長の足を引っ張って

しまうかもしれない。


「幸せで悲しい」


道長にはそんな女心はわからない。


「送っていこう」


答えないまひろに道長は

名残惜しそうに


「また会おう」


と誘った。


「これで会えなくなるのは嫌だ」


まひろは少し笑うと、

道長はいとおしそうに

その頬に顔を近づけた。



六月二十三日。


運命の陰謀の日が、きた。


「お呼びでございましょうか」


道兼が花山天皇に呼ばれている。


「今宵のこと義懐らに

言うておいた方が

よいであろうか?」


帝は迷っている。


「それは…おやめになった方が

よろしいかと存じまする」


ここまできて失敗する

わけにはいかない。


道兼は慌てて止めた。


「そうかな…」


「もしお告げになれば

お上のご決心は

妨げられましょう」


彼らは反対するに決まっているし

このようなことを考えるのは

藤原右大臣家の企みだと気づく…


道兼は帝の弱点をうまく

ついて語る。


「それはすなわち忯子様の

浄土への道が阻まれると

いうことでございます」


「ああそうだな…

言うのはよそう」


道兼は頷いた。



夜。


詮子は懐仁を膝に抱き、

さすがに兼家も険しい顔で

策謀の時間を待っている。



「見えぬ」


女物の着物を羽織った

帝が道兼に先導されながら

ひっそりと歩いている。


「私は夜目が利きますので

私におつかまりくださいませ」


「あっ、忯子の文を持って

まいるのを忘れた。

取りに戻る」


帝は知らないが兼家にとっては

時間との勝負だ。


「お文は全て元慶寺にお移し

いたしました」


慌てて止める道兼。


「そうなのか?

お前が文箱を開けたのか?」


帝は素朴な疑問を口にするが


「いや…急ぎませぬと…さあ」


道兼はごまかす。


帝は一瞬訝しんだが、

そのまま後をついていく。


庭に出ると思いのほか、

月明かりが彼らを照らす。


「外は明るいのう」


「月明かりでございます」


今度は帝のほうが、

困り始めた。


「これでは誰かに見られそうじゃ。

別の日にいたそうか」


そんなことを言っていると、

廊下を女官が歩いてきた。


道兼は慌てて帝を抱き寄せ、

口づけをしているように

見せかける。


女官の位置からみれば、

きっと誰かが夜中に

逢引しているのだ、と

思うだろう…


案の定、女官は怪しまず

去っていった。


思わず帝を抱き寄せてしまい


「お許しくださいませ」


と、詫びる道兼。


「さあ」


2人は用意していた

牛車に乗り込んだ。


車が動き始める。



「丑の一刻でございます」


時を告げる者の声が、

兼家ら一家のもとにも

聴こえてきた。


道隆、道綱が神器を

運び出すべく動き始める。


兼家は声をひそめながら


「これより全ての門を閉める」


と告げる。


詮子は祈るように目を閉じ

道長も事の経緯を見守る。



牛車は順調に進んでいく。


「揺れるのう」


何も知らない帝は、

のんびりと言う。


「夜明けまでに剃髪なさらねば

忯子様は救われませぬ」


道兼は念押しした。



道隆と道綱は皇位継承の証、

天叢雲剣と八尺瓊勾玉を手にし

廊下を進んでいく。


「おおっ」


躓きそうになった道綱が

声をあげてしまう。


「相すみませぬ」


「声を出すな」


と、道隆は叱った。




やがて神器は懐仁のもとへ…


「行ってまいります」


と、道長は立ち上がった。


兼家は頷く。



馬を飛ばす道長は、

関白である藤原頼忠の屋敷へ

たどり着いた。


突然の夜中の来訪に、


「何事じゃ」


と、頼忠が問う。


「ただいま帝がご退位され

剣璽は梅壺に移り

東宮が践祚あそばされました」


「なんと…」


「関白様も急ぎ内裏へ」


「ああ…」


もはや何かを怪しむ暇すらもない。


頼忠は着替えに向かった。




安倍晴明が月を睨んでいる。


従者の須麻流が


「ただいま、牛車が

屋敷の前を通り過ぎてゆきました」


と告げた。


成功、したか…


晴明は安堵する。




牛車が動いていく音は、

まひろの屋敷にも聴こえていた。


この夜中に何事だろう?


まひろは起き上がり、

不思議そうに車の音を聞いていた。



読経が響く中、

帝の髪が剃られていく。


「おめでとうございます。

ご剃髪、相成りましてございます」


「道兼、次はお前の番だ」


帝はそう声をかけた。


道兼は冷たい声で答えた。


「私はこれにて失礼いたします」


帝は驚いて振り向く。


「お前も出家するのであろう」


「御坊、あとはお頼み申す」


「おい…待て、道兼!」


立ち上がる帝を、

道兼の命を受けた男らが囲む。


もはや、帝ではないのだ。


道兼は


「おそばにお仕えできて」


といつもの声音で言ったが、


「楽しゅうございました」


恐ろしい顔で帝を見て、

頭を下げた。


「お前は朕をたばかったのか!

おい…待て!道兼!」


追いかけようとする帝を

男達が止める。


「おい、裏切り者!

道兼!戻ってこい!道兼!」



帝がそんな目にあっている頃…


帝の側近たる義懐と惟成は

女たちを招いて夜中まで

宴会をしていた…


「殿様!」


「あ?何だ、お前、こんなところまで」


「ただいま内裏より知らせが参り、

帝がご退位され元慶寺でご出家

されたとのことでございます」


やられた…


2人の顔は固まった…。



「寅の一刻でございます」


空が白み始めている。


道兼は


「ハハハハハハハ!」


高笑いをこらえきれなかった。


万事がうまくいったのだ。


そんな父の笑いを、

詮子は暗い顔で聞き…


道隆は微笑み、

道綱は困惑し…


道長はただ感情のない

冷たい顔で耳にしている。



「おはようございます」


「おはようございます」


朝になるといつものように

蔵人たちが出仕してくる。


蔵人頭である実資、

そして帝の側近として

お気に入りの一人であった

為時も


「おはようございます」


と、席についた。


そこへ兼家と道兼が現れる。


「昨夜、帝がにわかにご退位、

そして東宮が践祚あそばされた」


実資も為時も目を丸くする。


「新しき帝の摂政は

この兼家である。

更にここに集いたる

さきの帝の蔵人は全て

習いによりその任を解く。

そして新しき蔵人頭は

藤原道兼である。

皆々、よしなに頼むぞ」


息子の道兼が胸を張って

立っている。


「蔵人頭、藤原道兼である。

ほか、新しき蔵人の名は

以下のごとし」


道兼が読み上げようとすると、

実資が


「このようなことは

おかしい!」


と立ち上がり抗議した。


「道兼殿、昨夜、一体何があったか

お聞かせいただかねば筋が通らぬ!」


かつての部下である道兼に

実資は問いかけた。


「静まりませい!」


と、道兼はぴしゃりと

実資を制した。


為時はひたすら声を失う。



まひろは庭を見つめながら

何か嫌な予感を感じていた…。



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意外と花山天皇と、

道兼とのコンビは面白かったので

ここでお別れになるのは

寂しい気持ちにもなる…


2人がまさかのキスを演じる、

(あくまでそう見せただけw)

というのはサービス的な

シーンでもあるだろうが、

道兼も女の扱いが昔よりは

手慣れた、ということか…


剣璽というのは、

今も皇位継承のときに

使われている、

天叢雲剣と八尺瓊勾玉である。


天叢雲剣は後に壇ノ浦の戦いで

義経に敗れた平家が、

海に沈めてしまった場面が

鎌倉殿でも描かれていた。


範頼がいくら探しても

見つからない、ということも

語られていたように

現代に残っているのは

その後、作られた形代(レプリカ)

なのだが…


実際のところは、

元々の天叢雲剣も形代であり

その本体自体は熱田神宮に

御神体として祀られている、

と伝わっている。


が、なにせこの神器というのは

形代であってさえも、

天皇陛下でも見てはならない、

とされている宝物である。


歴史上では見た人もいるようたが、

見たら鼻血が出たとか、

病気になって死んだとか

まるで放射能でも出てるのか、

というくらいに恐ろしいものだが、

まぁ、そういう伝説が残るくらい

絶対に見てはならないもの、

ということである。


こうした背景を考えると、

それを運び出す道隆や道綱の

プレッシャーの大きさも

わかると思う。


そこで躓いてしまうのが、

道綱の小心者っぽい

キャラクター性もよく

伝わってくるし、

道隆の冷静さとの対比にも

なっているだろう。




「おはようございます」


「おはようございます」


「えー、天皇が変わりました。

で、皆さんはクビです」



この衝撃たるや!!w


実資が怒るのも無理はない。


きっと、日記に書くだろう。





さて、それはともかく

道長は


「フラれた」


と言いながらも、

やることはやってしまった

わけなのであるが…


まひろの涙の意味は、

まだまだ子供の道長には

わからないのだろう、

とも思う。


男の子のほうが子供なのは

これくらいの年齢だと

仕方ないのかもしれないし、

まひろが普通の女性以上に

学問に詳しく賢い、

ということもあるだろう。


好きな男と結ばれるのは、

まひろだって嫌なはずはない。


が、こうして身体は結ばれても

きっと心が完全に結ばれることは

難しいことでもある。


まひろはずっと道長のことは

見つめ続けたいと思っていたが、

それは本当は距離を置いて、

だったはずで…


なぜなら、父の為時が

高倉の姫の看病で

苦労しているのを見ている

からでもあるだろう。


きっと優しい道長も、

そうなってしまう。


道長は本当は高貴な女と

結ばれなくてはいけないのに

自分と関係を持ってしまったら

自分を捨てるようなことは

できないだろう。


それは、道長が優しいからだ。


だからまひろは涙する。


自分は道長にとって

きっとどこかで足枷に

なってしまうから…


直秀のためにも本当は

道長には自分のことなんて

忘れてかまわないから

政に邁進してほしかった。


それでも、やっぱり

結ばれたこと自体は嬉しい。


道長は気軽に、

また会いたい、

これが最後なんて嫌だ…と

甘い言葉をささやくが

本当に…女性のほうが

大人だろうなと思う。



ラブシーンなのに、

いやらしいわけでもなく

むしろとても切ない、

美しい場面を描いたと思う。