どうする家康第23回あらすじ&感想前編 | NobunagAのブログ

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どうする家康第23話

「瀬名、覚醒」前編





長篠、設楽原で見事に

勝利を収めた織田・徳川

連合軍であったが、

その後も武田の侵攻は

続いていた。


「岡部元信よ、

お主がかつて仕えた今川の領地、

取り返すがよい」


勝頼は岡部元信に命じる。


今川から武田に鞍替えした

岡部元信は今は勝頼の

家臣となっている。


その武田軍は小山城に迫り

家康と信康が抵抗している。


戦況を見守っていた家康は


「退くぞ」


と命令した。


「なぜ引き上げるのですか!

勝頼の首を取る好機でござる!」


若く血気盛ん…なだけではない、

いくさに取り憑かれたように

躍起になっている信康が

家康に意見する。


だが、すでに歴戦の将と

なりつつある家康は、

冷静に分析している。


「勝頼本軍が来たとなれば

我らが不利」


「寄せ集めの兵でござる!」


「勝頼を侮るな!」


家康が叱った。


その通りだ。


設楽原であれだけの

手痛い敗北をしても、

勝頼の心は折れていない。


二人のやりとりを聞いていた

大久保忠世も家康に賛成する。


「若殿、功を焦るは禁物。

殿に従ってくだされ」


信康はまだ納得しない。


「なら…私が殿軍を務めまする。

父上は先に引き上げてくだされ!」


興奮する信康に家康は


「お前から退け」


と命じた。


「子が親を置いて逃げるなど

できましょうか!」


信康はくいさがる。


「訳のわからぬことを言うな!」


家康はついに声を荒らげた。


「戦わせてくだされ!」


「いいから退け!」


「…戦いまする…!!」


信康は家康を残すと、

自ら槍を手に取り


「敵兵を撫で切りにするぞ!

続けえ!!」


と兵たちに号令し、

戦場へと向かっていった…


いくら若いとはいえ、

いくさの才もあるとはいえ

これでは危険すぎる。


様子を見ていた石川数正が

懸念を口にする。


「血気盛んなのは

悪いことではござらんが

近頃は気が荒ぶるのを

抑えられぬことが

おありのようで…」


家康は眉をひそめる

しかなかった。





「その時の信康様の勇ましさよ!

しかも信康様御自ら槍を振るって

武田勢を寄せ付けなかったので

ございます、のう!」


縫い物をしている女たちに

平岩親吉が信康の活躍を

話してやっていた。


話を振られた山田八蔵も


「はい!」


と嬉しそうだ。


五徳はそれを聴きながら


「なんと勇ましい。

父親になると殿方は

変わるものであるな」


と笑った。


五徳のお腹には、

信康との子、

新しい命が宿っている。


「されど…総大将である

殿に従わず、というのは

如何なものか…」


瀬名はその危うさを指摘するが

五徳は


「それくらいのほうが

頼もしいというもの。

お腹の子は若殿に似た

猛々しい男の子だと

ようございます!」


と答えて縫っていた、

男の子を模した人形を

嬉しそうに見せた。




猛々しい男の子…


瀬名は見てしまった。


真夜中に築山に、

一人でやってきた信康が

ムカデの死骸を見つめて

涙を流していたことを。



返事のない瀬名のほうを

五徳が不安げに見た。




遠江の浜松城では、

家康の側室であるお葉が

身の回りの世話を

してくれている。


お万との一件もあり、

浜松でのことは

お葉が取り仕切るように

なったのかもしれない。


性的なこともあって、

お葉は夜の相手からは

もう遠ざかっているが、

その他の面では気が利く

側室である。


「憂い事が多うございますよね。

肩がコッチコチ…」


「相変わらず肩を揉むのが

上手いのう」


「側室の身でありながら

こんなことしか

できませぬゆえ」


生真面目なお葉。


家康は笑う。


「差し出がましいようですが

そろそろ、殿のお慰みになる

側女を迎えられては?」


お葉は万とのこともあってか、

家康を気遣っている。


「…まぁ、そのうちな」


気のない返事をすると家康は


「何か甘いものはあるか?」


と尋ねた。


台所に干したイチジクが、

と聞いた家康は自分で

持ってこようと、

立ち上がった。




美味そうにイチジクを

頬張っている家康。


と、いきなり尻を

バチーンと叩かれた。


「またつまみ食いして!

どうせまた若いおなごを

かどわかしに来たんじゃろ!

いい加減にしなされよ!

女ったらし!!」


家康の尻を叩いた娘が、

説教を始め家康は

目を丸くする…


後からついてきたお葉が

その様子を目にして、

驚いて娘に駆け寄り

耳打ちする。


「殿…!殿…!!」


「…殿!?」


娘は家康に近づいて

まじまじと顔を見つめると


「あー!!」


と悲鳴をあげて、

頭を下げた。


すかさずお葉が

擁護してやる。


「お許しくださいませ。

この者はひどい近眼で

ございまして…

よう見間違えを」


「申し訳ございませぬ…

てっきり…万千代かと!!」


娘が詫びた。


「万千代はそのようなことを

しておるのか…

叱らねばならんなぁ」


家康は娘を怒ることなく

そう言うと立ち去った。


万千代からすれば

さんざんではあるが

自業自得である。


娘は許されてため息をついた。


娘の名は於愛といった。




千代は再び瀬名のもとを

訪れている。


門番の男が


「しばし待たれよ」


と声をかけたが、

瀬名は直接現れ


「よい」


と通してやる。



千代は占いを行うと


「まあ!徳川様と武田とのいくさ、

まだまだ続くそうな」


と言った。


「それは占いではなく

あなたの願望では?」


と瀬名が指摘する。


「長篠では多くのご家臣を

失われたそうで。

和議を結ぶべきでは

ないかしら?

武田様が和睦を申し入れれば

このいくさは終わりましょう。

さもなければ武田は

ますます追い詰められ…」


珍しく直接的なことを

口にする瀬名。


もちろん信康のことが

あってのことだろう。


「ご心配には及びませぬ。

ただ一度いくさで負けたぐらいで

どうこうなる武田では

ございませぬ。

勝頼様はますます

意気軒高…

お困りなのはそちらでは?」


千代が鋭く切り返した。


「織田様の手先となってから

いくさ、いくさ、いくさ、いくさ…」


花を千切りながら言う。


「岡崎はずっと盾にされて

おりますもの。

和睦をしたいのは、

お方様ではございませぬか?」


瀬名は黙って茶を飲むと、

ため息をついた。


「いつまで織田の手足となって

戦い続けるおつもり?

岡崎と信康様を救えるのは

あなた様だけと存じますよ?」


千代は真顔でそう言った。


瀬名は笑った。


「…お千代さんって

お話を作るのが上手」


「お方様はお心を隠すのが

お上手」


そう言うと千代も

笑顔になった。


瀬名はまたため息をつく。


そんな様子を築山の門番が

密かに見ていた。




門番はそんな瀬名と千代のことを

報告し褒美を得ている。


雇い主は…五徳だった。


五徳は信長の言葉を思い出す。




「この家の連中をよーく見張れ…

決して見逃すな」



知りたくはない、

書きたくもない秘密…


義母である瀬名、

築山殿が武田の者と

密会をしている…


父に報告しなくてはいけない。


浮かない顔で筆を取る五徳。


その瞳からは涙がこぼれていた。




五徳からの文を読んだ信長も、

ため息をつくしかなかった。


「佐久間信盛、参りました。

…上様?」


返事のない信長に

佐久間信盛が声をかける。


「見逃す訳にはいかん…

裏で武田とコソコソ

やってる奴を…」


まるで自分に言い聞かせるように

信長はつぶやいた。


「どこの不届き者で

ございましょう!?」


佐久間は問いかけるが、

信長は答えなかった。


そのまま文に火をつけ

燃やした。




「上様に隠し通せるとでも

思うたのか!

いい加減白状せい!!」


佐久間信盛が糾弾しているのは、

意外にも瀬名ではなかった。


水野信元。


家康の伯父にして、

信長の家臣。


佐久間とはよく共に

行動していた間柄でもある。


「なぜそれがしが…

一体何のことやら。

全く身に覚えのないことで」


「今村城の武田勢に

こっそり兵糧を送っておられよう」


「まさか!誰がそのようなことを。

言いがかりでござる」


水野は呆れたように答えた。


「往生際が悪い!

全て調べはついておる!」


佐久間は水野を責めた。


「誤解である!

…どうか申し開きを…」


「水野ォ!!!」


と信長が吠えた。


「水野…水野下野守信元!

追って沙汰を申し渡す。

岡崎で待て」


信長はそう言うと去った。


なぜ、岡崎で…


水野は首をひねった。




「我が、伯父が?」


遠江の浜松城には、

信長の命を受けた佐久間が

訪れている。


「いま、岡崎城におられる」


「如何なるご処断を?」


石川数正が尋ねると、

佐久間は答えた。


「徳川殿にはしかと

御成敗いただく」


「私が…成敗を?」


自分の手で伯父を

処断せよと言うのか…


「上様のお下知でござる」


と、佐久間は信長を

真似するように手を振った。




家康は仕方なく、

水野処断のため

浜松から岡崎へと戻った。


しかし水野信元は、

危険を察したのか

岡崎城にはいない。


「出て行った?どこへ?」


何やら不服げな信康に代わり

平岩親吉が答える。


「大樹寺です。

あそこも岡崎には

変わりないと。

久松殿のお世話になるそうで」


「勝手なことを…」


大樹寺は徳川、松平家にとって

大切な寺である。


寺内であれば安全だと

考えたか…


それに久松は家康にとっては

母である於大の夫。


水野にとっては、

義理の弟にもあたる。


久松まで巻き込めば

家康も手が出しにくいと

考えたのかもしれない。


黙って聞いていた信康が

口を開いた。


「父上!まさか水野殿を…?」


「おまえは関わるな」


家康は直接答えず、

察しろとばかりに言った。


「卑劣な…父上の伯父御で

ござろう?!

…なんでもかんでも

信長様の言いなり…

情けない!」


信康は怒りを口にする。


「なんだと…」


信康の言葉は正論だろうが

それが通じるならそもそも

信長に臣従などしていない…


「やるなら水野勢と

正々堂々いくさをして

討てばようござる!

騙し討ちにするなど

まるでならず者の所業じゃ!」


「もういっぺん申して見よ!」


家康は怒り立ち上がった。


「父上は臆病で卑怯じゃ!!」


信康も激昂する。


「何が卑怯なんじゃ!!」


取っ組み合いになりそうな

親子を家臣たちが必死に止めた。


そこへ瀬名と五徳が通りかかる。


「お方様!!」


その声に家康も信康も

我にかえった。


信康は無言で立ち去る。


「信康様…!」


五徳が声をかけたが

信康は戻ってこない。




大樹寺。


久松長家が静かに

経を唱えている。


「おう!ここにいたか!

ちょうどいいや!

おい!一丁やろうぜ!

ここだったら坊主共に

口うるさく言われなくて済むわ、

おい!久松、こっちこいよ!」


水野信元が酒を持って

やってきた。


久松はこない。


「何やってんだよ?」


水野が声をかけると、

そこへ多数の家康家臣たちが

押し寄せて刀の柄に

手をかけた…


そこへ家康が現れる。


「…おお!甥っ子!

お前も墓参りか?」


水野はわざとらしく

明るく声をかけた。


「俺の疑い晴れたか?ん?

帰してくれんだろ、

なあ久松?」


水野はそう声をかける。


「義兄殿…申し訳ござらん…

許してくだされ」


水野は悟る。


久松長家はこうして

水野と二人きりになるように

仕向けて家康を招いたのだ、と。


「家康よう、上様の誤解なんだって」


「すでに断は下っております」


数正が冷たく告げた。


「…ハッ…馬鹿馬鹿しい。

なぜなんじゃ?

こんなことくらい…

他にやっておる奴は

いくらでもおるわ!

なぜなんじゃ?

なぜ俺なんじゃ?

なぜ俺だけが?

しかも甥っ子のお前に…」


そこまで言いかけて、

水野もはたと気づいた。


「ん?そうか…

なるほど…お前じゃ。

これはお前への見せしめ

なんじゃ」


「…わしへの見せしめ?」


「裏でコソコソやっておると

こういう目にあうぞ、

という忠告じゃ!

ハハハハッ!!

信長のやりそうなことよ」


家康は怪訝そうにする。


「意味がわからん」


「お前も裏でコソコソ

やっておるのか?」


「わしはやっとらん!!」


「だったらお前の身内の…」


水野は家康の家臣たちを

見回した。


「誰かじゃ…

俺が岡崎へ入らされたのも

そういうことじゃろう」


「何も知らんくせに

いい加減なことを…」


「おお、俺はなんも知らん!

だが信長は知っとるぞ?

気をつけろよ、家康。

信長は全てお見通しじゃ」


そう言われても、

家康自身には心当たりがない。


いずれにせよ、

水野は処分せねば

ならないのだ。


数正が膝をついた。


「お覚悟を決めてくだされ。

切り捨てにしとうは

ございませぬ」


せめて、切腹を、

ということだ。


「わかっとるわい!!

久松!!お主がここで

介錯せい!」


水野は叫んだ。


嫌がる久松だったが


「やれい!!

お主にやってほしいんじゃ!」


と水野は頼んだ。


「義兄殿…」


「はあ…どこで

張るほうを

間違えちまったんだかな」


水野はため息をつく。


腹を切ろうと座る水野。


久松は介錯しようと、

その後ろに回った。


が、その刹那、

水野は動いた。


久松を人質にすると


「道を開けろ!!」


と命じた。


「道を開けろっつってんだ!

コラァ!!こいつが…」


語りだした水野…


だが、そこへいち早く駆け

横から刃を突き刺した

家康家臣がいた。


平岩親吉だ。


そのまま刀を切り抜き、

水野の身体は割かれた。


「あ、あぁ…!」


雄弁だった水野信元は

もう喋ることもできず、

ただ地面に倒れ伏している。


さすがに家康も、

哀れに思い側へ座った。


「伯父上…伯父上!!」


家康の声も震えている。


何か言おうとした水野だったが、

それが言葉になることはなく

そのまま息絶えた。




そんなことが

自分の兄と夫のもとで

起きているとは知らず

上ノ郷では於大が、

甲冑の手入れをしていた。


そこへ久松長家が

とぼとぼと帰ってきた。


「あら?もうお帰りでしたか!

岡崎はいかがでしたか?

今日ね、はまぐりをたくさん

いただいたの!

あなた、好物でしょ?

いくつ召し上がります?」


いつもと変わらない、

明るい於大に久松長家は


「わしは…隠居する…

もう、家康様のところに

出仕はせん…

わしを許してくれ、於大」


とだけ告げた。




殿の伯父を斬ってしまった。


自責の念にかられる

平岩親吉に


「七之助…そなたは

努めを果たしたまで」


と瀬名が声をかけてやる。


「そうじゃ…」


と信康も同意するが…


「悪いのは父上じゃ!!

信長様の犬じゃ!!」


と怒って立ち去った。


親吉は瀬名と五徳に

頭を下げると、

信康を追いかけていった。



「我が父は裏切りは

決して許しませんから…

義母上、我らも気をつけ

なければなりませぬな…

疑われるようなことが

ないように…」


五徳はそう警告する。


「そうじゃな…」


と答えた瀬名だったが、

その瞳には何か別の

意志が宿っているようだった。




水野信元の言葉が

気にかかる家康…


信康ともうまくいかない。


眠れない夜を過ごしている。


そこに笛の音が

聴こえてきた。


「お眠りになれぬ

ご様子だったので、

笛が上手な者に命じました」


お葉がそう告げる。


「少しはお心が安らぐかと…」


しかし…だんだん、

笛の音はとんでもない音を

出し始める…


「かえって眠れんわ…」


「そなた!得意と申したろう!」


お葉に叱られて、


「子供の頃は上手かったんです、

吹いたのは久しぶりで…

出直して参ります」


そう言って現れたのは、

あの台所で尻を叩いた

娘だった。


「そなた、名を何と言ったか?」


「愛、と申します」


「もう少し聴かせてくれ」


その後も調子の外れた

笛の音が続くだけだったが…


家康は少し救われたように

微笑んだ。


そんな様子をお葉も

嬉しそうにみると

二人きりにしてやるのだった。




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まず、武田勝頼は意外と

長篠の敗戦後も侵攻の手を

緩めなかったことを

しっかり描いていることに

感激した。


やはり、強いのである。


メンタル的には

ほとんど鋼鉄だ…


もちろんその内心は

わからないけれど、

勝頼の立場としては

勝つことでしか、

家臣の信頼関係は得られない、

ということが大きい

かもしれない。


元々、正当な跡継ぎでは

なかっただけに、

勝ってこそ家臣たちに

認められるのであって、

それこそ弱い主君は害悪なり、

の思いにとらわれても

おかしくはない。


そういう勝頼も不憫ではあるが、

もっと深刻なのは、

勝った側の信康のほうが

心を病んでいることだろう。


信康はしきりと家康に対して


「信長の犬!」


と罵るようになってしまったが、

いや、信長の白兎なんだ…

はともかく。


信長の言いなりになって

しまっている、

誰よりも信長のあの

やり方を怖いと思っているのは

家康だけてはなくて

他ならぬ信康自身なのだろう…


だからその鬱屈した怒りを

誰かのせい…父親のせいに

してしまう。




これは家康にも責任がないとは

言えない部分でもある。


あの長篠合戦で、

蹂躙される武田軍を見たとき


「これはいくさでございますか?

これはなぶり殺しじゃ」


と信康はショックを受けていた。


明らかに父に助けを

求めていたはずである。


強いとはなにか、

何のために戦っているのか?


日々鍛えることに、

これでは意味がないのでは

ないか…と。


家康もあの武田には

涙を流していた。


あれは、家康の中にも

これは違う、こんなやり方は

たとえ効率的でも、

ただの虐殺ではないか?

という思いはあったはずで…


でも家康は信康に

お前の気持ちはわかる、

自分もこれは苦しい、

と、伝えてあげられなかった。


それどころか、

あのいくさ以来、

人が変わったように

好戦的になった信康のことを


「自分よりいくさの才がある」


と評価してしまった。


そんな信康の様子を瀬名が

危ぶんでも、

思い過ごしじゃないか、

というように自分の中で

うまく変換してしまい

自分の中で


「強い息子」


として勝手に理想の息子を

作ってしまっている。


これは後半の瀬名に対する

家康の考え方にも見られる部分だ。




もちろんそういう

家康を責めるのは

かわいそうだとも思う。


自分だってそうなって

しまうかもしれない。


息子を信じたい、

妻を信じたい。


出来れば都合の悪いことには

目を向けたくない、

というよりもなるべくなら

良い方向へと捉えたい。


「強い息子である」


「たおやかな妻である」


それも嘘ではなく、

ひとつの側面なのだから

自分にとって無害な

そこだけを見てしまうのは

家康の防衛本能としては

やむを得ないのかもしれない。


誰だって近い者が、

苦しんでいることからは

知らないうちに目を背けて

しまうことはあるはずだ。


そういう家康を責めるのも

また酷だろうとは思う。




千代を籠絡しようとして、

瀬名が絡め取られたのか?


それもまた違う気はする。


千代は千代で、

瀬名に対して本心から

何か協力したい思いも

抱いているのでは?と、

思わせる感じはある。


ここは来週を観てみないと

二人の心理はわからない。




水野信元の件は概ね、

通説通りにはなっている。


元々、武田に対して

横流ししていた

事実はあったようだ。


通説ではそのことを

佐久間信盛が信長に

密告したとされている。


(そのために水野信元の

治めていた土地は、

佐久間信盛が得ている…)


そして、命を受けた

平岩親吉が水野信元を

斬ったわけだが、

君命によってやむなく

討ち果たした、

とかなり苦しんだそうだ。


また、伯父を殺した家康に

失望した久松長家は

隠居してしまった。


この一件で於大は、

石川数正を恨んだ、とか

このことによって

築山事件への影響があった、

とも言われている。


そうしたエピソードを

うまくドラマとして

一連の流れとして

集約して描いたと思う。




意外だったのは、

五徳に見張れと命じたものの

いざ、まさか家康の妻が…

となると信長自身が

困惑していたことだろう。


伯父を処罰しろ、

というのも残酷ではあるが、

信長なりにこの一件で

気づいてくれ、

早くなんとかしろ、

というのが信長の

本心だったと思う。


例えば信長が


「家康の妻が武田と通じている」


と明言してしまったら、

それこそもはや言い逃れが

出来ないことになるのである。


だから信長はそれは語らず、

手紙もすぐに燃やした。


つまりは現時点では、

五徳と自分の胸の中だけに

おさめてやった、

ということだ。


あとは家康がうまく

瀬名に注意するなり

なんらかの理由でもつけて

形だけでも何かの処分でも

してくれていれば、

それで済んだはず…


水野信元すらも


「お前の身近な奴に

何かあるんじゃないか、

だから俺がこんなことに

なっているんだぞ」


とあれだけ警告したのに…




もちろん、こういう信長は

真意がわかりにくい、

というのはある。


しかし先ほど述べたように

信長が直接


「お前の妻は武田と

密会をしている」


と断言してしまったら

その時点でもう、

謀反ということに

なってしまうのだから

信長から伝えられる手は

限られているのだ。


五徳はもちろんだが、

信長だってまさか

ここまでは知りたくは

ないはずの秘密なのでは

なかっただろうか。


まぁ、信長の気持ちについては

あくまでドラマでの話なんだが。




家康自身が成長はしていても、

こうした信長からの

隠された警告を本気で

受け止められないのは、

まだまだ政治的な立ち回りが

上手くない部分なんだろう。




五徳こそが悪女だったのか?


それもまた違うと思う。


元々、この時代は

嫁に行ったとしても

実家の権力というものは

普通にあった。


例えばお市なども、

浅井の裏切りを

信長に知らせた逸話が

残されているように、

たとえ嫁に行っても

織田家の女は織田家の女、

その役割があったことは

責めるべきではない。


瀬名はある意味特殊というか、

大名としての今川家や、

実家を失ってしまっているから

そもそも帰る家がない、

という状況にある。


ここは五徳と瀬名との

大きな違いだろう。



五徳も苦しんでいる。


瀬名にとっては

五徳だって幼い頃から

世話をしてきたはずの

ほとんど実の娘といっても

変わらない存在だったの

ではないだろうか?



ここにきて、

瀬名覚醒、などと

言われているけれども

今のところ瀬名の真意は

まったくわからない。


なかなか家康が聞く耳を

持たないとか、

都合の悪いことから

目を背けたがる面は

否定はできないのだが…


それでも本当ならば

信康のことなんかはとくに

夫と向き合って解決すべき

問題のはずだと思う。


これを国と国の問題にまで

発展させてしまい、

家臣や国そのものを

仮に窮地に陥れたら

それこそ謀反でしかない。


大名の妻であるとはいえ

そこまで国を動かす権利は

本来、瀬名にはない。


最初、千代にあったときは


「家臣に手を出されるよりは

私が相手をする」


と頼もしかったのに、

全て独断で何かをしようというのは

さすがにまずいのではないかと思う。


ただ、現時点では

瀬名の目的がまだ

ハッキリしていないので

安易に批判は出来ないだろう。


これについては、

後半の話になってくるので、

またそのときにも書くが…



もっとも苦しんでいるのは、

信康であり、五徳である、

というのもひとつの

ポイントかもしれない。


家康はなんだかんだで

図太くなってきている…