和田義盛が館に戻ると、
義盛の帰りが遅いことを
疑問に感じた息子たちは
すでに軍勢を差し向けて
しまっていた…
小四郎を裏切ったことになる、
と悔やむ義盛だったが
もう事態は動いてしまっている。
こうなれば一戦は
避けられない。
それでも、たとえ討つとしても
その相手は小四郎。
間違っても実朝に
危害を加えることはできない。
「鎌倉殿に指一本でも
触れたらただじゃおかねえぞ!」
と息子達に厳命する。
義盛は平六が裏で小四郎と
繋がっていることは、
しっかり見破っていた。
途中で寝返られるよりは
さっさとやってくれと
裏切りを促す。
「お許しが出た」
と平六は八田知家らに告げ、
北条につくことを決めるが、
問題は起請文のことだ…
八田知家は良い考えがある、
と言うのだが…
それは指を突っ込んで
一味神水の儀式で
飲み込んでしまった
起請文を吐く、
という単純明快な方法…
大河ドラマで
「オェェェッ!!」
という嘔吐の音が
響き渡るのも珍しすぎる…
シリアスな回だが、
毎度こうして笑えるシーンは
入れてくれることは
救いでもある…
義盛と共にいくさに出ると
訴える巴だったが、
義盛は戦わないでほしいと
頼み込む。
なにせあの巴御前だ。
女とはいえ名のある武者。
彼女が戦場に出れば
多くの者が標的にするだろう。
「俺は生きて帰る。
そんときにお前がいなかったら
困っちまうよ」
そう言われてしまえば、
家人ではなく妻として、
夫のために残らざるを得ない…
小四郎は和田勢の進軍に対し
実朝らは鶴岡八幡宮に移し、
各々の布陣を決める。
西門の総大将は、
息子の泰時に任せることを決めた。
しかしその泰時は、
酒が祟って酔いが抜けずに
ひたすら寝ていた。
初が「太郎!太郎!」と
呼ぶも起きない。
(兄妹のように育っているせいか
太郎殿、とかではなく
太郎呼びなのがなかなか良いw)
鶴丸改め平盛綱が、
顔を引っぱたくが
まったく起きない。
(これも主従関係どころか
友達同士、の感じが良い)
泰時の態度に呆れた
朝時は
「期待されて生きるのが
そんなにつらいんですか」
と問いかける。
そして
「誰からも期待されないで
生きてる奴だっているんだ!
そいつの悲しみなんて
考えたこともねえだろ!」
と怒った。
朝時は小四郎と比奈の子。
だが、若い頃から
小四郎は八重との
初めての子である
泰時をずっと大切に
育ててきている。
厳しくしているのも
そのためだろうし、
衝突できるぶんだけ
朝時からすれば
羨ましいのかもしれない。
朝時の女癖の悪さも、
おそらくはぶつけどころのない
虚しさからきているのだろう…
それでもラチがあかない
泰時に対して、
初がタライの水をぶっかけ
たたき起こすのだった…
怖い…が、立派な女だ…
泰時はこれくらいしないと
動かない奴なんだろう。
鶴岡八幡宮に避難している
実朝や政子たち。
実朝は御所に鎌倉殿の証の
髑髏を忘れてきてしまっていた…
取りにいかねば、
という実朝だったが
あまりに危険である。
実際のところ、
和田義盛は実朝には
手を出さないように
厳命はしているのだが
そこはもういくさ場。
実朝の顔などは
よく知らない兵士も
いるだろうし、
そんなところへ行けば
討たれる可能性が高い。
話を聞いていた
大江広元は、
裏道を知っているから
自分が取ってくる、と
志願する。
心配する政子…
そして手を握り合う二人…
おいおい、何を見せられて
いるのだw
が、お似合いではあるんだよな…
御所に忍び込んだ大江広元だが
そこにはすでに和田の兵が
侵入していた。
それをバッサバッサと
斬り伏せていく広元…
強い…!!!!
なんてこった…
単なる知性派の文官ではなく
戦闘力もこんなにあるとは…
しかしこれは、
ドラマ上の演出かというと
意外とこの大江広元という人は
文官でありながらも、
けっこう好戦的なタイプではある。
後の承久の乱においても
慎重派を抑えて、
京への出撃を推進したのが
この広元なのだから。
もちろん、軍の動かし方と
個人の武勇とはまた別の話だが、
広元自身がこれまでに
多くの御家人たちの
粛清にも関わっていたわけで
いざとなれば自分の身を
守るくらいの剣術は
使えてもおかしくはない。
これまでのイメージを
覆す面白いシーンだった。
広元は見事に髑髏を持ち帰る。
御所に実朝の姿がないことを知り、
和田勢はいったん由比ヶ浜へ
引き上げて態勢を立て直す。
そこには巴も来ていた。
巴と語らいながら、
いっそのこと自分が
鎌倉殿になってしまうかと
話す義盛。
羽林様はどうするのかと
尋ねられると
「大鎌倉殿」
になっていただくのだと。
あくまでも義盛は、
実朝に弓を引いている
つもりはなく、
北条と戦っているだけ。
その和田勢には
周辺各国からの援軍が
集結しつつあった。
この事態を危惧した小四郎は
和田への加勢を止めさせるよう、
実朝に命令を下してほしいと頼む。
しかしこれには、
三善康信がこれはそもそも
北条と和田のいくさであり、
鎌倉殿がどちらかに
手を貸すべきではないと
正論を述べる。
苦々しく思う小四郎は
このまま放置すれば
それはさらなる大いくさを
招くだけであり、
止められるのは鎌倉殿だけ、と
これも正論を並べる。
和田を追いつめたくない
実朝であったが、
大江広元も小四郎と共に
我々にまかせてほしい、と
述べたことで、
実朝は和田への援軍を
止めさせることを決める。
あくまでもいくさを
これ以上広げないため…
援軍が来ないことを知った
和田義盛はこれは、
実朝自身の意志ではなく
小四郎のしわざだと理解し
さらに怒りを募らせる。
義盛の軍勢を迎え撃つ泰時。
朝時は負傷したふりをして、
民家を壊して大きな戸板を
盾にして戻ってきた。
これを見た泰時は、
兵士たちに命じて
同じように民家を
打ち壊して、
何枚もの盾で陣を覆う
という作戦に出る。
よく、三国志などで
目にするような
盾で密集隊形を作る布陣。
若い泰時の思い切った作戦に
和田勢は退却を余儀なくされた。
泰時の活躍もあり
ほぼ大勢が決したことを知り、
小四郎は実朝に陣頭に立ち、
義盛を説得してほしいと
願い出る。
鎌倉殿が最前線に立つなど、
危険すぎると政子も実衣も
反対はするのだが…
小四郎はあくまでも
義盛説得のため、と
主張する。
政子もそれには理解を示す。
何より実朝本人が、
義盛を救いたい。
実朝は
「命だけはとらぬと
約束してくれ」
と義盛の身の安全を
約束させたうえで、
自ら陣頭に立つ。
実朝の姿を見た義盛は
当然、弓を収めるしかない。
「義盛、お前に罪はない」
だからまた側にいてほしい、
それが実朝の願いだ。
その言葉を聞いた義盛は
「鎌倉一の忠臣」
と胸を張る…
が、小四郎は平六に
無言で合図をしていた。
警戒を解いた和田勢に
三浦軍から無数の弓が
放たれ義盛を貫いていく。
「鎌倉殿に取り入った
御家人の末路だ」
と小四郎は冷たく告げる。
「小四郎ォォ…!」
憎しみの目を向ける義盛に
さらに何本もの矢が撃ち込まれ…
「ウリン…」
とつぶやき義盛は死んだ。
和田勢は次々に討ち取られる。
実朝はあまりの酷さに、
嘆くしかできなかった。
泰時も父のあまりの非情さに
怒りの目で睨みつけるしかない…
小四郎は和田一族の死を
最後まで見ることなく
背を向けて去っていく。
その目には涙が浮かんでいた。
本当は討ちたくなかったはず。
鎌倉殿に取り入った?
そうではないことも、
一番知っていたはず。
それなのに、討ってしまった。
今回の戦いの被害の大きさに
衝撃を受ける実朝。
小四郎は力があれば
皆が恐れ、従うのだと
実朝を諭す。
それが頼朝から教わったことだ、と。
しかし今回のやり方、
そしてこの言葉は
義盛を失った悲しみに満ちた
実朝の心に火をつけた
だけであった。
「心を許せるものは
鎌倉にはおらぬ」
実朝は力のある者は西…
すなわち上皇と結ぶことを示唆し
小四郎を下がらせた。
政所の別当に加え、
和田義盛が就任していた
侍所別当も小四郎が
兼任することになった。
政子は結局、
あなたの思い通りだと
冷たく言うのだが、
小四郎は苦笑する。
思い通りでは、ない。
実朝は頼家や頼朝をも
越えようとしている。
…そしてそれが、
近い将来、小四郎にとって
またもや滅しなくては
いけない敵になるだろうと
予感していた。
力をつけることを髑髏に誓う
実朝…そこへ大地震が襲う。
その後、上皇の元には
実朝からの歌が届けられた。
「山はさけ海はあせなむ世なりとも
君にふた心わがあらめやも」
自分は上皇に逆らうつもりはない、
そう詠んだ歌であった。
和田義盛のことを
「鎌倉殿に取り入った」
などと罵り、
討ち取るというのは
小四郎にとっては
かなりつらかっただろう。
それはあの涙を見ればわかる。
が、であればこそ
彼は和田一族の最期を
ちゃんと目に焼き付けなくては
いけなかったんじゃないだろうか…
発端は和田の側にも
非があったとはいえ
実朝まで持ち出して
騙し討ちにしたのは
他ならぬ小四郎。
これは彼が糾弾した、
あの時政が畠山重忠を
討ったのと同じだ。
あのとき、重忠の首を
見ることができなかった
時政のことを小四郎は
あんなに責めたじゃないか…
目的のために人を殺すも
やむを得ない。
でも、だからこそ
その相手のことをしっかり
受け止めるべきだ、
それが上に立つものの役割だと。
明らかに今の小四郎は、
何かに憑かれて迷走している…
兄・宗時は
「坂東武者の世を作る、
そのてっぺんに北条が立つ」
そんな世を夢見て託した。
それはいくさには強くても
政治工作などできない
坂東武者たちが、
源氏や平家に利用されない
そういう世を作る、
それを守るために北条が
上に立つことを意味していたはず。
が、現実にはそんな
坂東武者の象徴ともいえる
和田義盛が
「坂東武者らしい」
という理由で粛清され、
「鎌倉殿に取り入る」
などという政治的な知恵など
なかったはずの義盛を、
そういう謀反人なのだと
汚名を着せて葬ってしまった。
そしてそのことが、
鎌倉殿である実朝を
敵にするきっかけに
なってしまっている…
この先起きることは、
全て小四郎の身から出た錆、
ということになりかねない…
希望は泰時と、政子だ…。
あの純粋だった小四郎が
こうなってしまうことが
とてもつらいとは思う。

