なぜ怒らず介護できるか | NobunagAのブログ

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■なぜ怒らず介護できるか■

介護の仕事をしていて
家族の方によく言われるのですが

「認知症の人を何人も
怒らないで介護できるのを
尊敬します、
私はおばあちゃん一人でも
イライラして怒ってしまうのに…」

という言葉。

確かになるべく怒らずに
介護をしてはいます。

理由があるとすれば、
一番はやっぱりプロだから、
ということにはなるでしょう。

認知症の方の行動というのは
簡単にいえばですが、
病気でそうなっているので
病気の方の行動に
怒っても仕方ないです。

お医者さんや看護師さんだって
病人に対して怒ったり
することはほとんどないでしょう。

たまには怒るかもしれませんが、
たとえば患者に暴力をふるって
医師が逮捕された!
なんて話はほとんど聞きません。

もちろん直接、患者さんに
携わる時間が少ないから、
ということもあるでしょうが、
やはりプロ意識もしっかりと
していると思います。

たまに介護スタッフが
利用者さんに暴力をふるい、
逮捕されるのは
志が低くプロ意識がなく
甘ったれていて、
頭が悪いからと言わざるを得ない…

もちろん、そうじゃない人もいます。

というか大多数はそうじゃない。

それはやはりプロだからですよね。



もうひとつあげるとすれば

「他人だから」

というのも大きいです。

家族に代表される、
いわゆる身内の方が
怒ってしまう理由というのは

「昔はこんな人じゃなかった!」

という思いがあって、
歯がゆいからだと思います。

先に述べたように、
認知症の方の行動というのは
病気が原因です。

だから「昔は…」と
元気だったころの姿と
比較することに意味はないのですが、
そんなことは頭でわかっていたって、
そう思うのをやめろというのは
僕だって身内なら無理です。

利用者さんに腹が立たないのは
その元気なころを知らないから。


そして家族が感じる、
もうひとつの怒りの原因は

「こんなことでは、
親戚や近所に対してみっともない」

という感情。

もっとしっかりしてほしいと
思えば思うほど、
イライラが募るものです。

これも僕らは感じずに済みます。


そしてこれも家族だからこそ、
きっと感じると思うのですが

「一生懸命やっているのに
なぜこの思いが届かない…!」

という悲しみだったり、
喪失感が怒りの原因にも
なります。

さらに

「もっとちゃんとしてあげれば
なんとかなるかもしれないのに」

あるいは

「あの時違う対応をしてあげたら
こうはならなかったはずなのに」

という後悔や自分への
怒りのはずの感情も、
ついついその相手に
向いてしまうこともあるでしょう。


このように家族の持つ、
怒りの感情というのは
結局は身内である、
ということに大きく起因します。

僕らはそれを背負っていないから
耐えられる部分が大きいです。

自分もあくまで介護職員としてなら
利用者さんには怒らずに
過ごすこともできますが、
身内が認知症になれば
いくらプロでも別だと思います。



しかし難しいのは、
突発的な怒りですかね。

これを抑えるのはけっこう難しい。

たとえば突然殴られたり、
罵声を浴びせられたとします。

こういう瞬間というのは
人間は冷静になれないもの。

利用者さんに殴られても
殴り返しはしませんが、
ときにスタッフの誰かが
反射的にそうしてしまったとしたら
そこには同情できる部分も
当然生まれます。

やってはいけないとしても、
どこまで我慢したらいいのか、
と問われればそれは難しいのです。

先日、学校の先生が
生徒に何発も蹴られて
耐えている動画が、
ネットに出回りました。

自分ならやり返して
ボコボコにしますw

が、きっと先生だから、
耐えたんでしょう。

もっともあれは生徒が
わざとふざけてやっていて、
認知症の方のように
病気というわけではないから
悪質にも程があるってもんですが。

ただ、「病気だから」という
理由が存在していて、
毎日のように暴力をふるう人も
中にはいますから、
他人事でもないです。



僕もイライラはします。

人間なので。

ブチ切れはしませんが、
軽く怒ることくらいはあります。

注意をしなきゃいけないことも
あったりはします。

本来なら病気であっても
自分より年上、
目上の方に対して
自分などが行動を
注意するというのも
おこがましいとは思いつつ、です。

それも結局は役割であるから
しているという側面は
大きいんですけどね。


どちらかというと、
イライラするときには
無理にかかわらず距離を置く、
他の人に代わってもらう
くらいのほうが、
正しい方法です。


ともあれ仕事として、
介護をするというのと
身内を介護するというのは
まったく別物です。

だから介護職員を見て、

「自分は身内なのに
ちゃんとできてない」

なんて思わなくていいです。

むしろ

「身内だからできないことがある」

という感じでいいんです。

わかる介護職員は、
そういう家族の気持ちも
じゅうぶん理解してくれます。