■要介護率が低い地域■
要介護率、いわゆる
要介護認定を受けた
高齢者の数が多いか少ないかを
表わす数字ですが、
わが山梨県は14.2%で
全国最小だそうです。
簡単にえば元気な年寄りが多い、
介護保険は使わない人が多い、
ということになります。
ちなみに山梨のあとは、
長野、静岡と続きます。
なんか日本列島の真ん中あたりの
県ばかりですねぇ。
山梨、長野、静岡…
この3県のイメージを
他の県の方に聞いたら
おそらくは
「田舎」
だと思うでしょう。
静岡はやや都会な街も
ありますが、
そうはいっても3県とも
農業がさかんな県です。
「田舎」
という言葉には
「若者が少ない」
「高齢者が多い」
というイメージも含まれると
思います。
そうなると
「高齢者が多い」
のに
「介護保険を使っていない」
ということになります。
うん、これは素晴らしい。
一面ではね…。
「介護保険を使っていない」
理由が
「元気だから」
ならいいんです。
確かに田舎の地方ほど、
お年寄りは農業などを
日々がんばっていますから、
毎日身体を動かして、
健康的です。
農業を一人で黙々と
やっている人は少なく、
当然、仕事の合間には
近くの畑の人が集まって
お茶を飲んだりすることも多く、
こうした他者との交わりは
認知症になる可能性を減らします。
朝早く起きて太陽の光を浴び、
日中は目いっぱい身体を動かし、
他人とも交わって情報交換をしながら
楽しい時間を過ごして、
夜は早く寝る。
実に健康で理想的ですよね。
こういう人が
介護保険を使わないのは
本当に素晴らしいことです。
しかし田舎には
田舎だからこその
欠点があります。
それは
「介護は家族がするもの」
「施設に入ったら終わり」
「国の世話になるなんて恐れ多い」
というような古い考えが
いまだにまかり通っていることです。
前にどこかの記事で
介護は家族がするもの、
とそれは僕も書いたことがあります。
でもその真意としては
介護保険を使うなではなくて、
むしろ使うことによって
家族としての役割を失わないで、
という意味合いです。
介護保険は使ってください。
しかし田舎ではそういう考え方すら
邪道であると見る人も多いのです。
「ヨメが親を見るもんだ」
「デイサービスに行ってることは
近所の人にバレたら困る」
「施設になんか入れて、
親戚に知られたら一大事だ」
そんな言葉をよく聞きます。
しかし介護保険を使わずに
本当に自分たちだけで
見られるのでしょうか?
中にはそういう家もありますが、
そうではない人も多いです。
そうすると放棄するしかない。
極端なケースかもしれませんが、
僕が実際に見たケースでは
そうやって家族に見放された年寄りは
「お倉入り」
です。
もうね、文字通りの
「お蔵入り」
ですよ。
存在の抹消。
田舎も田舎、
ド田舎のほうに行くと
「お倉」
という現代風にいえば
物置みたいな建物が
敷地内にある家が多く、
動けなくなった年寄りが
そこに入れられていることが
あります。
単なる物置みたいな場所なので、
当然、日当たりも悪く
衛生的にもよくありません。
さすがに餓死させるわけにも
いかないので、
食事だけは与えられますが、
そんな環境で生活していれば
カギなんかかけずとも
次第に足腰が弱って、
お倉から出られなくなります。
ゆるやかな監禁、
いわゆる軟禁状態ですかね。
自分の親をそんな悲しい状態に
させるよりは、
介護保険を使えばいいんですが、
そうはいきません。
家族で見なくては、
周囲を頼ったらいけないと
思い込んでいる人にとっては
介護保険を使うなんてのは
敗北を意味しているからです。
田舎者だから心がおおらか、
なんてことはないんです。
田舎にしかわからない
強烈なプライドがあります。
「親を見捨てたなんて
思われちゃ困る!」
んです。
蔵にぶちこむほうが
よっぽど見捨ててるんですが、
「捨てたと思われたら困る」
ほうが先に立って、
現実に見捨ててるかどうかは
後回しになっちゃってるんです。
また当の高齢者本人が
「動けなくなっちゃったから
しょうがない」
「国の世話になったら悪い」
と思いこんでいるのだから、
もう現代版の姨捨山状態です。
「ノラ(畑)に行けなくなったら
終わりだわな」
と自分たちで言ってます。
そういう環境で次第に
生きる気力もなくし、
やがて死に至りますが
死因はいずれにせよ
肺炎か心不全ってところなので
大きな問題にはなりません。
むしろ暗黙の了解、
年を取ればそうなるんだ…
というのが田舎の人たちです。
また要介護率が低いことについて
もうひとつ心配される点としては
一人暮らしの高齢者や、
高齢者だけの世帯、
認知症の夫婦同士、
のような家庭も多いため、
そもそも介護保険の使い方がわからない、
介護保険なんて知らない、
というケースも非常に多く目にしてます。
介護保険を使うべき人たちが
使えていない現状もあるということ。
単純に要介護率を低くしようと思えば、
自治体だって、
できるだけ要介護認定を
出さないようにすればいいだけです。
よく聞きませんか?
「うちのおじいちゃん、
すごく大変なのに
いざ介護認定受けたら
要介護ではなくて
要支援になっちゃって…」
とか。
国では今後、
要支援をなくして
要介護1、2の方の介護保険利用にも
さまざまな制限を設けてきます。
これが本当に実情に
見合っているのでしょうか?
田舎では要介護率が低い、
というデータは確かに
喜ばしいことであると同時に、
介護保険にお金を使いたくない
国からすれば実に都合の良い
データなのです。
気をつけないとまた悪用しますよw