認知症を知ろう10 | NobunagAのブログ

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■認知症を知ろう10■

認知症介護をしている
家族の気持ちを理解する

いや、もう表題からして
おこがましい話ではあります。

こればかりはやってみないと
わからないでしょうし、
そういう意味では僕自身が、
認知症の親を介護した経験が
ありませんからね。

親のかたち、家族のかたち。

それはその家庭それぞれであって
これが正解なんてものはありません。

でもそうすると講義にもなりませんので、
とりあえずテキスト上でよく言われている
話をします。

まず認知症の方を介護している
家族の気持ちというのは、
以下の4つの経過をたどると言われます。


①とまどい・否定

異常な言動にとまどい、否定しようとする。
他の家族にすら打ち明けられず悩む。

②混乱・怒り・拒絶

認知症への理解の不十分さから
どう対応していいかわからず混乱し
ささいなことに腹を立てて怒ったりする。

精神的、肉体的に疲労困憊、
拒絶感、絶望感に陥りやすいもっとも
つらい時期。

③割り切り

怒ったりイライラしてもメリットはないと
思い始め、割り切るようになる。
症状は同じでも介護者にとっても
「問題」としては軽くなる。

④受容

認知症に対する理解が深まって
認知症の人の心理を介護者自身が
考えなくてもわかるまでになる。

認知症である家族のあるがままを
受け容れられるようになる時期。


どうです?

おこがましいでしょうw

人間の感情がこの4つの通りに
移行するのだ!
だからそれに沿って支援して
やってくれい!
というのがテキスト上の教えなんですね。

では僕が出会った多くの家族、
たぶん1000組くらいは見てると
思うのですが、
そこで出会った方々がみんな同じ経過を
辿ったのでしょうか?

いいえ。

全然違います。

ある人は①と②を行ったり来たり、
またある人は②と③を。

①~④をひたすら
繰り返している人もいました。

僕自身は家族ではないのですが、
いち介護者としてどうかといえば、
おそらくは③と④を10年以上、
行き来しているのが本音です。

だからもしこれを読んだあなたが、
この通りの経過をたどれなくても
そんなことはまったく
恥ずかしいことではありません。


介護というのはつらいもの


これまでいろいろな
対応法を書いていますが、
それらを駆使したら
介護はラクになるでしょうか?

まぁ、ほんの少しは。

だけどたぶんつらいだろうと思います。

これが現実です。

つらいことがあったらどうですか?

イヤですよね?

逃げたいですよね?

そう感じてもいいんです。

そのほうが普通なんですよ。

そういう感情は無理に抑える必要は
ないんです。

「でも親を見捨てるようで、
そんな感情を抱く自分が許せない」?

いえいえ、許してあげてくださいね。

そして最終的に見捨てないであげてください。

結果として見捨ててないのなら、
あなたはちゃんと立派に介護しています。


割り切れたらラクだろうけど


僕も認知症ではないですが、
心の病気を持つ身内がいる関係で、
病気の方のする言動には
いまだにずいぶん振り回されます。

たとえ病気だとわかっていても、
どんなに経験があってもそうなのです。

それだけ人間の心はもろいというか、
少なくとも鋼鉄にはなれないということですね。


介護の記事だとか、
講義というのはまず認知症への
差別をなくすという意味合いもあるので、
基本的には認知症の本人の味方として
話をしているつもりです。

認知症の本人は
好きでやっているのではない、
本当は本人も苦しんでいる、
周りの理解が必要なんだ。

これは本当に真実なんです。

でもその一方で、
そんな認知症の人をうまく受け容れられない、
だってさんざん周囲を振り回すくせに、
都合が悪くなればごまかして、
他人には良い顔をして…!

わかってあげたくても、
わかってあげられない、
そんな家族の感情というのも、
本当に理解できます。


ケアマネはまず本人の味方であれ、
そのように僕も習ってきてはいますが、
どうしても家族の味方をしてあげたい
気持ちも強く持っています。

ケアマネ失格なのかもしれませんねw

ただ、人間としてはそれが当然かなとも
思うのです。

どっちの気持ちもわかるからこそ、
僕自身は苦しい面があります。


認知症介護の一番のつらさとは?


とりあえずこれまで述べてきたような
対応を心掛ければ、
ある程度までは症状は抑えられると思います。

簡単じゃん!

と思う人がいるかもしれません。

自分が元気なうちはね。

認知症に限らず心の病気も含めて、
脳に関連した病気への対応でつらいことは、

「相手はこちらの状況など
理解も考慮もしてくれないが、
一定の対応が求められる」

ことだと思います。

たとえば自分も自分の家族も
みんな元気だったら
一生懸命、
認知症のおじいちゃん、
おばあちゃんの言動に付き合って
おだやかに介護できるかもしれません。

でももしあなたの子供、
つまりはおじいちゃん、
おばあちゃんの孫が
病気になったら?
それも命に関わるような重い病気に
なってしまったら?

当然、あなたはその子のことも
看病しなくてはいけないでしょう。
正直言って認知症どころじゃない
でしょう。

だけど、だからといって
認知症の行動は止まるでしょうか?

いいえ。

まず止まりません。

それどころかまともに相手を
してもらえなくなると、
さらにエスカレートしたりもします。
子供みたいですが、
そういう病気なのです。

そしてもしあなたがついに耐えきれず
涙ながらに

「お母さん、私だってこんなに
大変なのよ!
頼むから困ることはもうやめて
ちょうだい…
このままじゃ私、死んじゃうよ…」

と訴えたとします。

こうするとどうでしょう?

認知症の方でも
わかることはわかるんです。

だから

「ごめんね、もうしないよ…
私が悪かったよ」

って涙を流したりするんです。

ついに通じた!って
思ってしまうでしょう?

でもこれが一番の苦しみを生むんです。

なぜならその認知症のお母さんは、
娘が自分のことで何やら泣いているぞ、
そのことしかわかっていないのです。

「(何のことかわからないけど)
ごめんね、(とりあえず)もうしないよ…
私が悪かったよ(だから泣かないで)」

という感情だけの発言であって
そこに内容の理解はありません。

娘のことはなんとかしてあげたい。
泣かせたくはない。
そういう親としての感情は
認知症の人にもあるんです。

でもその娘が言ったことの
中身を理解することが
難しいんです。

だからすぐに同じことをします。

そんなときあなたはついに

「あれだけ言ったのに、
お互いに涙を流して本音をぶつけた
はずなのに裏切られた!!」

となってしまうのです。

自分が元気なとき、
万全なときにはできることでも、
いつでもそうとは限りません。

僕自身もたとえば自分の家族が
行方不明で自殺するかもしれない、
必死で探しまわっているときに

「認知症の利用者さんが徘徊していて~…」

なんて呼びだされたりして、
すごく苦しい思いをしたりしました。

仕事だからそれも良いんですが、
これが家族ならたまらないでしょう?

認知症介護の一番のつらさは、
これです。

時をまったく選ばないことです。

つづく