薬が作る認知症 | NobunagAのブログ

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■薬が作る認知症■

今回はちょっとためになる
かもしれない知識のお話。

以前、ある利用者さんがいました。

その方は多少の認知症は
あるけれどそれなりに
自分の身の回りのことはでき、
周囲の方とも楽しく
暮らしていました。

ところがある日を境に
突然認知症がひどくなりました。

自分の部屋やトイレの場所が
わからなくなり、
夜もほとんど眠らなくなって
しまいました。

また被害妄想もひどくなり、
隣の部屋の方に

「私のバッグを盗んだ!」

などと言ってしまい、
仲がよかったその人との関係も
とても悪くなってしまいました。

夜中になると

「さっき小さい子供を連れてきた
はずなんだけど
どこに行きましたか?」

などと不思議なことを言い出し、
他の方の部屋にまで、
そんなことを尋ねに
行ってしまう状態です。

あまりの変わりように
他の方はもちろん、
スタッフもどうしていいか
戸惑ってしまいます。

昼夜を問わず他の方を
巻き込んでしまうので
ついにはみんなの
怒りまで買ってしまい
これまではむしろ
みんなの中心にいるような
方だったのに、
どんどん孤立してしまいました。

認知症というのは確かに
進行する病気です。

しかしそれは数ヶ月から
数年かけてのこと。

レビーやピックではそれが
やや早い面もあるのですが、
そうは言っても
「ある日を境に」
突然おかしくなるということは
なかなかありません。

その方の場合には
数ヶ月前に自宅で転倒して
頭を打ったことがあったので
僕は最初、慢性硬膜化血腫を
疑いました。

しかしスタッフから

「そういえば前回受診したとき
薬が変わったよね?」

と言われて気になったので
認知症専門の先生に
みてもらったところ…

前回パーキンソン病の薬を
増やしているようだが
それが悪さをしていると。

どういうことかというと、
パーキンソン病の治療薬には
アセチルコリンを減らす
効果があります。

そしてアルツハイマーの方は
アセチルコリンが少ない傾向が
あるのです。

つまりアセチルコリンを
減らしてしまったせいで
アルツハイマーの症状が
強く出てしまったということです。

おそらくパーキンソン専門の
先生に診てもらったときには
本人もそれなりに受け答えが
出来てしまう方なので
手足が震える、
というパーキンソンの症状を
強く訴えたのでしょう。

そして一見認知症もないように
感じられる方なので
先生もそこは考慮せずに
パーキンソンの薬を増量したの
だと思います。

「ある日を境に」
の「ある日」とは、
その薬を飲み始めた日でした。

つまりこの方は
パーキンソンを良くするために
認知症をひどくしてしまった、
ということになります。

もちろんパーキンソン病も
大変な病気ですから、
それが間違いとも言えないのですが
ご本人の年齢を考えたときに
身体面と精神面、
どちらを重要視するかは
慎重にならなくてはいけないと
思います。

たとえ多少身体の動きが
良くなったとしても
それによって認知症が悪化し
みんなから孤立してしまっては
元も子もありません。

ちなみにパーキンソンの
薬をいったん止めさせて
もらったところ、
みるみる良くなりました。

完全に元に戻った、
というわけでもありませんが
そのまま飲み続けていたら
もはや取り返しがつかなかった
かもしれません。


とまぁ、このように
もしも認知症の症状が
あまりにも急激に悪化したときは
何か別の原因が潜んでいる
場合があります。

そういう意味では
解決できるケースもまた
存在するということです。

周りが気づけるか、
そして認知症にくわしい医師が
ちゃんと診察してくれるか。

そこはとても重要です。