何を尊重するべきか | NobunagAのブログ

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◆何を尊重するべきか◆
 
介護の仕事というのは本人の意志を尊重し、
その意志に基づいた生活を実現していくことが求められる。
 
それはたとえ認知症という病気を抱えている人に対しても
例外じゃないと思う。
 
だけど、実のところ本人の意志を尊重しすぎると、
よくない方向に進んでしまうこともある。
 
簡単な例でいえば
デイサービスを利用する予定の人が
 
「デイサービスに行きたくない」
 
と訴えているからといって、
連れていかないようにしてしまったらそれで終わりだ。
 
もっとも、こういうケースに関しては、
ものすごい強固な意志でデイサービスに行きたくないと思ってる方に、
デイサービスに行くというケアプランを作ってしまうケアマネもどうかって部分はあるんだけど。
 
もうちょっと判断が難しい例で言うなら、
施設での帰宅願望。
 
特に、認知症が重い方ではなくて、
ごくごく軽度の方の帰宅願望。
 
症状が重い方の場合には「また明日にしましょう」と言っておくとか、
とりあえず散歩に連れ出すとかで解決してしまうんですが(ごまかしなのでまぁ微妙ですが)…
 
軽度の方だと訴え自体がはっきりしてるぶん意外と対応が難しい。
 
で、対応につまると職員は
 
「こんなに本人が望んでるんだから、
とりあえずちょっとでも帰らせてあげればいいじゃないですか。
認知症だって軽度なんだし」
 
となる。
 
一見、本人の意志を尊重した良い方法だと思うし、
俺自身もたとえ施設に入ったって時には家に帰れるような環境のほうがいいと思う。
 
家族にも異論がなければ、だけど。
 
ここが難しいところで、家族が困ると思っている場合には
やはり本人がどんなに望んでも、
簡単に帰宅させるのはよくないんじゃないだろうか。
家族が帰ってきてもいいと思えるまでは、
施設で対応するべきじゃないだろうか。
 
この「認知症が軽度だから」というのは特に職員が錯覚しやすい部分で、
我々はあくまで他の重い方と比べて、
相対的に見て軽度だと勝手に判断してるだけの場合が多い。
 
施設に預けているということはごく一部を除いてほとんどの場合、
家族は家で看ることが大変になってしまったから入所を希望されたわけだ。
 
つまり我々から見て認知症が重かろうと軽度だろうと、
実際に家族がどれくらい困っていたかというのはその家庭ごとに違う。
 
それを、本人の意志および職員の判断で家に帰っていいとは言い切れない気がする。
 
こんなことを書くと、
じゃあおまえは本人じゃなくて家族の味方ばかりするのかと言われてしまいそうだけど、
そうじゃなくて、
 
介護に疲れた家族にその心身を癒す時間を与えてあげることで、
ちょっと悪い言葉かもしれないけど、
本人と家族との間でこじれてしまった関係を修復するための冷却期間を置くことで、
やがて家族の方から
 
「おばあちゃん、たまには帰ってきてもいいよ」
 
と言う言葉が出るようなサポートをすることこそが大事なんじゃないだろうか。
 
「帰りたいと言うから帰しました」
 
と言うのは本人の意志を尊重してるようで、
職員的にも満足感が味わえる方法なんですが…
 
重ねて言うけど、
施設に入ったって本人の意志で帰りたいときに帰れる環境のほうがいい。
俺が施設に入るなら、ぜひそういう施設に入りたい。
 
だけど誰もが一人で生きているんじゃないんだから、
いつもいつも本人の意志だけを尊重していたらいけないし、
利用者が持つ背景はそれぞれ違うのだから、
そこはちゃんと見ていかないといけない。
 
時には本人の意志に反してしまって責められたり、
対応が困難なときがあったとしても
長い目で見たときにやがて本人にとってプラスになる対応をしていくことも、
我々の役割なんじゃないかと思う。