序の2 Guardian ― お庭の守護者 ―
「伝説の庭」に関しては結局、分かったのか分からないのか… あの日は、アドバイザー同士でなんか語り合ったあと、結局ただ和やかなお茶会になってしまって、とりとめのない話に終始してお開きになってしまった。まぁ、楽しかったから、それでいいと言えばいいんだけれど。
あれから、みっちょんさんはティオさんと一緒にやってくるようになって、お茶会も時間が空いていれば時々。話題は「伝説の庭」よりは、マルシェにあるレストランのノラさんから頼まれた 「お手伝い」 に関してが多くなっている。
このお手伝い、レストランメニューに追加されたお芋のメニューのための材料確保とお料理の手助けなんだけれど、アルバイト料(?)がお芋の賄いメニューだったり、「落ち着いたらお楽しみのプレゼントがある」からってノラさんが約束してくれたりしていて、私には結構楽しいんだけど、文句ぶーぶーなのがうちのアドバイザー氏で…
「なんだよ、今日もイモかぁ~!? 来る日も来る日もイモばっか… お茶会メニューまでイモサラダってありかよ!? 」
「だって、たくさんあるし、ノラさん直伝だから美味しいじゃない。」
「確かに味は悪くないけど、イモばっかり… クッキーとかプリンとかないのか~… お茶の時ぐらい」
「あまり時間無いからお菓子作れないときもあるわけでさ~」
「誰のための庭だよ。手伝いって、ほどほどにしておけよ… お茶くらいゆっくりして、のんびり美味しいお菓子とか食べて… ってないのかよ」
「ホント、誰のための庭でしょう… 私は楽しくてやってるんだけど~!? 」
「ちぇ~… へいへい、あんたが楽しけりゃいいよ。」
っと、まぁ、こういう会話が最近のルーティーンになっていたりする。
今日も今日、ルーティーンの会話が始まりかけた時、庭を覗いた人がいた。
よく来てくれる水友さんじゃない、見慣れない、背の高い… 初めてのお客様?
と、その人は、私の方を見てビックリしたような顔をしてアドバイザー氏の表情をうかがった。
「… あ、っと、失礼。オーナーさんいらっしゃる~… 出直した方がいいかねぇ!? 」
「堂々と覗き込んでおいて、『出直した方がいいかねぇ!?』じゃないだろ~。大丈夫、うちのオーナーはさばけてるから」
え~と… 「彼」の知り合いよねぇ!? どちらさま? どこかのアドバイザーさんならオーナーさんも一緒のはずだし…
「あ、こいつはこの辺の庭の「セ○ム部隊」。セキュリティ―担当だよ。」
「お初にお目にかかります… お邪魔させていただいていいっすかね!? 」
「彼」からの説明に、その人、ニコッと笑って帽子を取って一礼した。その笑顔と仕草がちょっとビックリだった。なんか強烈なオーラを感じるっていうんだろうか。ドラマティックなの… 何気ない仕草なのに。
私に一礼した後は、「彼」に向ってちょっと顔をしかめて見せる。
「セ○ム部隊、はないっしょ。きちんと紹介してくれないと~」
「あ!? 『ア○ソック』の方がよかった? 」
「そうじゃなくって… 」
何者~!? というくらい存在感のある人だ。ハリウッドスターみたいって言うか… 知り合いっぽい会話をしているけど「彼」とは役者が違うって感じ。ちょいちょい、っとじゃれ合うような会話をした後、その人は改めて私の方を振り返った。
「え~と、お困りのことはありませんか? いや、本来、直接お尋ねするんじゃなく、お邪魔にならないように調べて処理するのが本来の職務なんですが… 」
「困りごと、ですか? 」
「収穫するはずの作物が足りないとか、物が置いたはずのところにないとか、飼っている動物が姿を消したとか、そういったトラブルはございません?」
「あ… 特に… 」
「そうですか~、それはよかった。最近聞くんですよね~、バグと称するゴブリンが収穫物をさらったとか、大事なものを隠したとか。」
話しながら、その人、ゆったりとした仕草でテーブルについて、ポテトサラダに手を伸ばした。
「私は、お庭のトラブル全般の処理を担当しております。いわば Guardian とでもいうべき職務についておりまして、悪戯者を叩いて、オーナー様たちの利益を陰ながらお守りするのが仕事なんですよ~。
お近づきになれて光栄です~。あ、こちら、いただいてよろしいっすか? 」
丁重なのかくだけてるのか分からない話しかた。何だか不思議な人だなあ…
ガーディアン、守護者とか、管理者って意味だったと思う。そんな人がいる、そしてそれが、こんな人…ちょっとした驚きだった…
<ツヅク>