皮肉に満ちた、毒々しい筆致ながら引き込まれてしまう
ウェルベックの文体が
私は嫌いではありません。
「素粒子」も「ある島の可能性」も面白かった。
ですが、今年はじめに出版されたこの作品では
ますますその筆が冴えわたっていて、凄味を感じます。
フランスにイスラム政権が誕生する、というストーリーの小説です。
シャルリー・エブド事件のその日に、この本は出版されました。
あらすじは、敢えて書かないことにしましょう。
服従とは、誰が誰に服従するのか。人間は、自分自身の主人たり得るのか。
ウェルベックの嗅覚の鋭さに、今更ながら驚かされます。