2014年5月23日(金)に文部科学委員会にて質疑をいたしましたので、私の質疑部分についての衆議院インターネット中継のURLをアップさせていただきます。

ぜひご覧になってくださいませ。


~衆議院インターネット審議中継~

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平成26 年5 月23 日 衆議院文部科学委員会速記録(議事速報)


○小渕委員長 次に、伊東信久君。


○伊東(信)委員 日本維新の会、伊東信久です。本日は、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。私自身、開業医でございまして、椎間板ヘルニアのレーザー治療という、ちょっと先進医療の変わったところをやっております。レーザーというのは医学の分野なんですけれども、そもそもは工学部の分野です。同時に、大阪大学に医学部と工学部が融合した臨床医工学融合教育研究センター、通称MEIというんですけれども、そのMEIの招聘准教授もやっております。現在も籍を置いております。また、昨年まで大阪市立大学の医学部の非常勤講師もしていましたので、現場の先生からヒアリングしてきたわけなんです。医学部にしても工学部にしても理系ですので、どうしてもちょっと理系の意見になってしまうかもしれませんけれども、その点は御容赦いただければ幸いです。今、大阪大学と大阪市立大学の話をしましたけれども、大学の設置というのは、国立、公立、私立と、それぞれの法源が異なっております。そのことは認識しているつもりなんです。今さらなんですけれども、設置基準の違いや概要説明等、そして今回の法案に関しては、学校教育法及び国立大学法人法と書いてありますので、学校教育法の方は公立、私立をカバーすると思うんです。国立大学法人法は国立大学のこととなると思うんです。それぞれのガバナンスの改革議論の経緯について、まずはちょっと、きょうの質疑にも関係してくるので、簡単に説明ください。


○吉田政府参考人 先ほども少し触れましたけれども、大学をめぐる社会的な環境の変化に伴いまして、大学は、みずから自主的、自律的にさまざまな改革を続けていかなければならないという状況が生まれております。その際、大学の学長が、これはリーダーシップをとって大学のさまざまな意思決定をスピーディーに推し進めていくという必要がございます。この点につきましては、国公私、その大学の別を問わず、いずれの大学においても求められている事項だと思います。そういう意味で、今回、学校教育法の改正を行わさせていただいたという状況でございます。


○伊東(信)委員 余りちょっと重箱のところをつつくつもりはないんですけれども、国立大学法人法の一部だけを改正したというか、公立大学まで及ばなかった理由みたいなのはあるのでしょうか。


○吉田政府参考人 学長の選考等につきましては、国立大学法人法だけを今回改正しております。公立大学の学長選考につきましては、学長選考機関が行うということは法定されておりますけれども、その構成員等の具体的な内容につきましては、それぞれのその法人の定款で規定をするということになっておりまして、この点につきましては、設置者である地方公共団体が判断すべき事柄というふうにしております。したがいまして、今回の改正の対象とするには適当ではなかろうということで外しております。また、私立大学の学長選考につきましては、これは、各私学がそれぞれの建学の精神等に基づきまして、最終的な意思決定機関である理事会が任命権者として責任を持って学長を決定する、こういう仕組みになっておりますので、これについても、一律の何か規制を加えるのは適当ではなかろうということで、今回の対象から外しているという次第でございます。


○伊東(信)委員 余り質問の趣意が偏るのはよくないので公立に関してはこのあたりにしますけれども、私自身、神戸大学という国立の大学医学部を出て、大学院の方が市立大学という公立の医学研究科の方なんです。確かに、何かガバナンスが異なるなという意識はございました、どちらがいい悪いというのはこの際は申し上げませんけれども。昨日、我が党の鈴木議員が登壇して皆様に質疑させていただいたわけなんですけれども、日本の教育において、中学校、高校と、日本が誇るべき、今後のリーダーとなるべき人物の教育がだんだんと先細りしていくような感じというのは否めないと思います。やはり、その中で改革がおくれているのは大学におけるガバナンスではないかということで、今回の法案自体を否定すべきものではないんですね。教授会のあり方ということ、大学のガバナンスということを見直そうということはよくわかるのですけれども、ただ、いろいろな法案に関しても、やはりメリット、デメリットというのはあると思うんです。実際、現場から聞いたデメリットというか、今回の法案に関しての危惧されるところをただいまから御指摘はしていきたいわけなんですけれども、いま一度、学長の選考基準と副学長の選考基準及び選考方法、これを御説明いただけますか、いま一度で。


○下村国務大臣 大学の学長は、大学の最終的な意思決定権者でありまして、すぐれた大学運営の手腕が求められます。また、副学長におきましても、今回の法改正によりまして、学長の指示を受け校務を処理することが可能になるなど、学長の補佐役として、これまで以上に重要な役割を担うことが期待をされます。大学の学長選考については、国立大学法人については学外の有識者を含めた学長選考会議が、また、公立大学法人につきましては学外有識者を含めた学長選考機関が、その権限と責任により適任者を学内外から選考するということが定められております。私立大学におきましては、学校法人の理事会の権限と責任におきまして学長選考委員会を設置する等、さまざまな方法によって学長選考が行われております。なお、副学長の選考方法につきましては、国公私立を通じて法律上の規定はなく、各大学に委ねられておりますが、通常は、学長は理事会によって選考されるというのが私立大学におけるパターンであります。


○伊東(信)委員 ありがとうございます。今、大臣、運営とおっしゃっていただきましたけれども、まさにそのとおりですね。CiRAの山中教授、私の神戸大学医学部、ラグビー部、もしくは大学院の先輩であるわけなんですけれども、山中教授が再三申し上げているのは、名研究者は名経営者になり得るかということで、やはり研究を推し進めていくには、さまざまなCEO的な役割、運営してくれる役割が必要だと言っていますので、そのこと自体は正しいことだと思うんですけれども、そのために、学外も含めた選考ということになると思うんです。では、逆に、例えば株式会社であれば、株価が下がったり決算で赤字が出たりすると、株主総会及び役員会ではたまた解任もあり得るわけなんですけれども、学長、副学長のいわゆる任期中の解任、いわゆる不祥事とかではなくて、運営面でうまくいかなかったときの解任、そういった手続もしくは方法とか規定とかがあるのでしょうか、御説明ください。


○吉田政府参考人 お答えいたします。学長が十分にその成果を上げていない場合、まずは、監事や理事会などが、成果を上げられるよう可能な限りの支援や助言を行うというのがまずありきだと思いますけれども、それでもなお改善されない場合は、国公私立大学とも、制度上、任期途中での解任も可能な制度となっております。国立大学法人につきましては、文部科学大臣が、国立大学法人の業務の実績が悪化した場合であって、学長に引き続き職務を行わせることが適当でないと認めるときには、学長選考会議の申し出を受けて解任することができるということが、国立大学法人法の中で規定をされてございます。また、公立大学法人についても、同様に、設立団体である地方公共団体の長または理事長が、公立大学の業務の実績が悪化した場合であって、学長に引き続き職務を行わせることが適当でないと認めるときには、選考機関の申し出により解任することができるということが、これは地方独立行政法人法でございますけれども、そこに規定をしてございます。また、私立大学につきましては、学校法人の意思決定機関である理事会の権限として、学校法人が定める手続等に沿って学長を解任することができるということとされております。


○伊東(信)委員 ありがとうございます。であるのならば、大学改革をする上で、そういったいわゆる業績とかを評価するのは、もう学長、副学長だけでなく、昨日の我が党の鈴木議員の質疑にもございましたけれども、教授会というか、教授自体、プロフェッサー自体もきちっとチェックして、有期雇用にしまして、ある一定程度の業績が上げられないのであればそこで解任もあり得る、そういった競争原理も、維新の会はやはり競争原理というのが党是でございますし、イノベーション、改革というのが党是でございますので、そういった教授会のあり方、教授の身分保障をしないということも大事だと思うんです。そのあたりを改めて御答弁ください。


○吉田政府参考人 大学の活力を維持していくためには、やはり新陳代謝といいましょうか、新しい血が大学の中に入ってくるということが大変重要でございます。そのために、大学の人事給与システムの見直しといったものは非常に重要な課題である、こう思います。私どもの方では、今、特に国立大学につきましては、年俸制の導入というのを促進をするということで、その取り組みを各大学に求めているところでございます。そのような人事給与システムの改善を通じて人材の流動性を高め、その中で若手あるいは女性の研究者がポストが得られるような環境づくり、それをさらに進めてまいりたいと思っております。


○伊東(信)委員 今、給与制の中で年俸制ということもおっしゃっていただきました。経済において、雇用の面においても年俸制というのは、少し前から議論している、もしくは導入している企業もあるわけなんですけれども、私どもの医療法人も、管理者は年俸制にしているわけなんです。ただ、いろいろな学部のプロフェッサー、教授がいてるわけなんですけれども、医学部の中でも、大きく分けると内科系と外科系があるわけなんです。外科系の医学部教員というのは、医療職としては雇用されていないわけです。このことは、現実、厚生労働省に厚生労働委員会でお話しするようなことも必要なんでしょうけれども、国公立病院の医師は医療職で、高給が比較的保証されているんですけれども、大学はやはり教員職でございますので、現場からしたら、ちょっと賃金が安いなと思っておられるみたいです。医師としての賃金が払われていませんので、外科系は、難関な手術、その中でも、朝の八時から夜の八時まで十二時間超えて、そのまま深夜に及ぶような難関な手術を週に何件しても給料には反映されないわけです。ではどうするかというと、そういった難しい手術の翌日に、民間で、外来といいまして診察のアルバイトをしたり、そういった医師免許を使ったアルバイトというのは医学部の内規の中で認められておりますので、全国の医学部教員の、低賃金とは言いませんけれども、思ったような給料がいただけない、そういうことを解消する暗黙の、抜け穴とまでは言いませんけれども、そういった方法となっています。それはまた別の改革になるとは思うんですけれども、問題は、このような状態でどこどこにアルバイトに行っていいかというのはその医学部の内規でございまして、そのまま学長が決裁権を持つ場合が多いわけです。その場合、やはり学長の人格次第では、申しわけないことに、そのことを使ってガバナンスしようとする問題も多々散見されました。つまり、この医学部発の問題というのは、教授会だけじゃなくて、その教授会をガバナンスする学長まで及んでしまうわけです。これが医学部の外科系教授を疲弊させてしまう、日本が誇る日本の外科系の技術を疲弊させるガバナンスになってしまっているのではないかと思うんですけれども、そのあたりの御認識というのはおありでしょうか。


○吉田政府参考人 お答えいたします。まず、前段の方の、医学部の教員の給与の話でございますけれども、国公立大学法人の多くで医学部の教員の給与体系は、他の学部の教員と同等の給与体系となっております。御指摘のように、いわゆる医師として国立病院ですとかそういうところに勤務をされている方よりも、平均的に低いということは事実でございます。また、国立大学等の医学部におきましては、医員という立場で、いわゆる非常勤の医師ということでございますけれども、大学病院で診療に従事してやられる方もございます。これはまた、教員とは異なる給与体系というようなことになっております。教員や医員とも、民間の病院で兼業を行っているという事実のあるのもそのとおりでございます。ただ、その理由としては、処遇面という問題もございましょうけれども、地域の医療機関からの要請に応えるとか、あるいはみずからの研究活動に必要な症例を確保するとか、そういった別の目的に立って兼業を行うというような場合もございます。国公立大学法人の職員の給与体系につきましては、各法人で決定をするということが可能でございます。病院勤務医の処遇改善のために、大学によりましては、医師の勤務実態に応じて独自の手当を措置しているところもございます。例えば診療従事等教員特別手当とかというような名称で、そういった特別の手当をつくっているところもございます。文科省としては、各大学におきまして、大学教員や医員の処遇について、病院での勤務実態に合わせた工夫がなされるのが望ましいというふうに思っております。最後の方の、兼業といいましょうか、そういった際に学長とか何とかの意向によりましてということですが、そこのところはきちっとその大学の中でルールをつくっていただく。そのためにも、学長がリーダーシップをとって、そのようなことについてもきちっとルールづくりに参画をしていただくということが重要ではなかろうかと思います。


○伊東(信)委員 私の質疑の中で誤解を受けたら困りますけれども、医師免許を持っていたら誰でも優遇しなさい、そういう意味ではございません。教授の中でも、再三言われている話なんですけれども、頑張る人と頑張らない人がやはりいてる。そういった競争原理をしっかりと学長が反映してくれるのかどうかということです。学長も、管理者ではありますけれども、オーナーであるわけではございません、特に国立大学の場合は。だから、業績を評価する場合、運営面で、いかに予算を確保するかというようなところもやはり出てはくるとは思うんです。私は理科系なので、科学研究費、そういったところの確保もあるとは思うんですけれども、要は、その大学のパイを大きくするわけです。そのために、教授会としっかりと、こういう提案がある、ああいう提案があるという話し合いをするというのがこれからの学長のあるべき姿ではないのかと思うんです。どうでしょう、株式会社とか会社であれば経費削減ということになってしまうのかもしれないんですけれども、人件費、経費を削っていると、やはりモチベーションなり士気も下がってくると思うんです。教授の立場になると、今度は管理者ではなくて、いわゆる雇用者であるわけなんです。だから、今回の改革によって大学自体の、教授会自体のモチベーションが下がらないように、そういった配慮というのはございますでしょうか。


○吉田政府参考人 お答えします。予算ですとか、そういった必要な財源を確保していく上で、それはもちろん学長がリーダーシップを発揮していただき、さまざまなプロジェクトを企画したり、それを牽引をしたりするということは重要でございますけれども、当然それは学内がそれに協力をして、大学として一体となって取り組む必要がございます。そういう意味では、まさに教員組織が協力関係をつくって、学長と一緒になってそういうプロジェクトなどに取り組んでいくということが大事でございまして、学長も、そういう意味では、学内の協力体制の確立ということについて意を用いていく必要があるだろう、こう思います。


○伊東(信)委員 教授会から選挙によって選ばれる学長も、副学長もそうなんですけれども、各学部に特色がありますので、確かに、経済学部のプロフェッサー、文学部のプロフェッサーが医学部の内情のことをよくわかっているかというと、それはまた難しいと思いますし、逆に、医学部の出身の学長が、教育学部とか文学部とか経営学部とかそういった内情とかをよくわかっているかというと、そうでない面もあるとは思うんです。ところがやはり、各デパートメント、学部によって、特色も、抱えている生徒の人数も違うと思うんです。例えば国立大学の工学部の教授であれば、百人を超すような教授の数がいてるところもあるわけです。実際、百三、四十人いてるところも、関西の国立大学にもございます。そうなると、それぞれのパートにまた分けていかなければいけないんです。例えば、建築、土木とかを一緒にしたりとか、エネルギーとか私のやっているレーザーとか電磁波とかを一緒にして、そしてユニットをつくるわけです、十個か二十個の。その十個か二十個のユニットの中で選考の選考長というのを選んで、教授会自体がいわゆる代議員制度になっているところもあるわけなんです。全ての教授が参加できない。そこと、例えば医学部であれば、臨床十九科が基本なんですが、基本というのはおかしいですね、内科でも二つあるところと三つあるところとかいろいろありますけれども、でも、二十を超えることはそうそう多くは、そんなこともないか、二十から三十ぐらいですね。そういう各学部によって特色があるわけですけれども、それをまた学外から選ぶには、まずそのことを理解するだけで一年ぐらいかかってしまうのでガバナンスがおくれてしまう危惧があると思うんですけれども、学長、副学長のそういったガバナンスというのはどのようにして担保するわけですか。


○下村国務大臣 先ほど伊東委員が言われていましたが、山中教授の話ですね。これは野球でも、名選手必ずしも名監督ならずという言葉があるように、すぐれた教授であっても、学長や副学長としてすぐれた手腕を発揮できるかどうかはまた別の能力ですから、そういう意味で、今までは教授からそのまま学長に上がってくるというパターンが多かったわけでありますけれども、それでは、グローバル社会の中で日本の大学そのものが相対的に地盤沈下をするという危機感を持っております。その中で、最近、京都大学が学長を、学内外どころか、世界から公募して、世界のトップレベルで最も学長にふさわしい人を、ぜひこれから公募の中で決めたいということを表明されているわけでございまして、もちろんそういうレベルでありますから、大学内部におけるガバナンス的なこともできなかったら意味がないわけで、しかし、それはもちろん学長や副学長が独善的にできるわけではありませんから、既存のいろいろな教授会なりあるいは学部の意見をトータル的にコーディネート、反映しながら、そして、最もそこの大学が将来に向けて教育研究において貢献できるようなことができるかという、そういう視点から学長を選ばなければ、国立大学であっても今後廃校になることもあり得るという、そういう危機感を持ってやっていく必要があると思いますし、そういう学長をどう選ぶかということが、今後、国立大学、もちろん私立大学もそうなんですが、大学側に問われている。そういう中での、今回、法案をお願いしているということであります。


○伊東(信)委員 ありがとうございます。確かにそのとおりでございます。山中先生は非常に謙虚な方なので、自分自身は臨床医に向いていないとかということもおっしゃっていましたけれども、決してそんなこともなかったわけなんですよ。たまたま上司との相性とかいろいろな問題があったわけで、ラグビーをやられているときも、繊細なプレーは余りやられていなかったんですけれども、ただ、スタミナとか持久力とか、基礎体力は非常にありまして、それで今、マラソンを走られて御自身で研究費を獲得する、そういったことをやられているわけなんですけれども。今の大臣がおっしゃったことはリーダーシップ論なんですね。リーダーシップ、つまり、幾ら優秀な人間でも、たくさん集まって合議制でやっていくと、船頭多くして船山に登るではないですけれども、どうしてもうまいこといかないので、リーダーシップを発揮する。そうなる場合、トップダウン形式になるわけなんです。私自身の今回の質疑、どうしても研究費とか、どうも経営の話に終始する傾向には行きたくないので、教育という面で考えて、やはり大学は学生のものであるということで、学生の立場で考えますと、残念ながら、今の大学生を見ていますと、私自身も今は医学部の方のラグビー部の生徒と仲がいいのでよく試合を見に行っているわけなんですけれども、総合大学なのでほかの学部の学生とも交流するわけなんですけれども、三回生ぐらいかな、なかなか言いづらいことだと思うんですけれども、やはり就活に終始していることが多いわけです。これは、四年間の教育において、三回生、四回生のあたりからほとんど就職活動であったりとか、もしくは、昨日の我が党の鈴木議員の質疑にもありましたように、大学が学問を学ぶ場ではなく、ちょっとレジャー化している、モラトリアムの場であると。二極化されていくと、今度は、では学問をどうして学ぶんだというところで、それがボトムアップからなっていくべきなんですけれども、学長のトップダウン、トップダウンばかりでしたら、その辺の現場の状況とか現場の改善点がなかなか議論されづらくなってくると思うんです。そのあたりの御認識というのはございますでしょうか。


○下村国務大臣 それはおっしゃるとおりだと思います。今回の改正は、学長が大学としての最終的な決定権を有することと、それから、教授会が学長に対して意見を述べる関係にあることなど、学長や教授会などの学内組織の役割を明確化するものでありまして、ボトムアップを否定するものではこれはございません。御指摘のとおり、大学の運営においては、トップダウンが必要な部分と、それからボトムアップの必要な部分、そのバランスがやはり重要だというふうに思います。特に大学は、研究者一人一人が主体的、自律的に研究活動を行っていくということは極めて重要でありまして、トータル的なそういうチーム力といいますか組織力、それをどう活性化するかという視点をガバナンスの観点から考えていく必要があると思います。それから、就活の問題でありますが、これは昨年、安倍内閣として、経営者団体に対して就職活動の後ろ倒しをお願いし、三年生のときから就活をしなくても済むように、四年生の八月から各企業においては採用試験を実施するという後ろ倒しについてお願いをいたしました。このことによって大学において少なくとも三年間はきちっと学習時間がとれるようなことと、それから、留学についても今は「トビタテ!留学JAPAN」を進めて、民間ファンドにも協力してもらって行っておりますが、海外にも留学をしやすい、そういう可能性をつくるように政府としても応援していきたいと考えております。


○伊東(信)委員 ありがとうございます。もちろん学問というのは、実学というかプラクティカルでいかなければいけないので、ある程度の就職ということを意識した学問も全否定するものではないんです。だけれども、一方で日本の大学が、客観的評価かどうかは別として、世界の大学ベスト百の中で二校しか入っていないというこの現実は、やはり、リサーチといいますか研究機関の問題があると思うんですけれども、この問題はやはり大学院の方、グラデュエートスクールの方に関係してくると思うんです。大学を充実させるだけじゃなく、大学院まで充実させるために大学院大学という名前の改革もされていったわけなんですけれども、この新しい国立大学法人法及び学校教育法の一部を改正する法律案において、大学から就職、大学から研究に行く、こういったところに対しての学長のガバナンスなり配慮なりは盛り込まれておるんでしょうか。


○吉田政府参考人 学部生がその大学院に行く、あるいはほかの大学院に転学するというような、学生の移動ですとか、そういったことについて今回の法律改正は直接関係するわけではございません。ただ、例えば、時代の要請に応じて大学院あるいは学部の組織を変更していくですとか、あるいは、留学ですとか学習を進めるためのさまざまな新たな教育プログラムもつくっていくですとか、そういった、大学が前向きにさまざまなことに取り組む際に学長がリーダーシップを発揮しようとした際に、それの阻害になるようなそういった要因はこれは取り除いて、そういった取り組みをより円滑に進められるような、そういった狙いも今回の法改正の結果としては出てこようかと思います。


○伊東(信)委員 実はこの御質問というのは、ちょっと聞きたいことをマスクして質問したんですけれども、教授会の役割の明確化の中で、やはり学位の授与というのが重要な事項で、学長が教授会の意見を聞くことが必要であると認めるものについて学長が決定を行うに当たり意見を述べると。再三質問の中にもありますけれども、学位というのは、大学院へ行っての修士課程、マスターだけじゃなくて、PhDまであるわけなんですけれども、医学部において大学院は、四年間のPhDだけなんです。我々は臨床できたりしますけれども、いわゆる研究者においてPhDのポスドクの問題もありますけれども、そういったガバナンスに関して学長は、学位というのが入っているから、このことがきちっとわかってできるのかということなんです。時間も迫ってきましたので、こういったポスドクとかに関して、もしくは研究者の受け皿として、大臣の中で、全体的な御所見でも構いませんので、最後あれば、お話ししていただきたいんですけれども。


○下村国務大臣 ちょっと質問の趣旨が、何を一番お聞きになりたいのかということがよくわからなかったんですが、一番の危機感としては、このままでは日本の大学は地盤沈下してしまうのではないか。つまり、国内の優秀な高校生も、これから国際バカロレア等によって一気に海外の大学に日本の高校から進学できるという状況の中で、国内の学生だけではなく、いかに海外から優秀な学生、大学院生も含めてですが、日本の大学がとれるかどうか。それから、同時に、学生だけではなく教授も、国立大学が年俸制をこれから相当導入してくると思いますが、海外の優秀な、ノーベル賞受賞者のような学者を日本の大学に呼び込めるかどうかという意味でのガバナンス改革をやはり今この時期にしていかなければ相当潰れてしまうのではないかという危機感を持って、ぜひこれから、知識基盤社会の日本として、大学そのものが世界から期待されるようなそういう大学改革をバックアップしたいということでこの法案をお願いしておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。


○伊東(信)委員 ありがとうございます。よくわからないというのはよく言われることなので大丈夫ですけれども、お答えとしてはそのとおりだと思います。要するに、日本の大学をグローバルスタンダードにしたいということで認識は共通だと思いますので、これできれいに終わりたいと思います。ありがとうございます。