2014年4月22日(火)に憲法審査会にて質疑をいたしましたので、私の質疑部分についての議事速報と動画をアップさせていただきます。


ぜひご覧になってくださいませ。







平成26 年4 月22 日 衆議院憲法審査会速記録(議事速報)




○保利会長 次に、伊東信久君。




○伊東(信)委員 日本維新の会の伊東信久でございます。本日は、どうもありがとうございます。私、伊東信久は、日本維新の会を代表いたしまして、本日意見陳述をしてくださいました四名の参考人の皆さんに質疑をさせていただきます。その際、お時間の関係上、一つの質問に関して全ての参考人の先生にお聞きできない可能性があることを、まずは御容赦いただきたいと思います。それでは、質疑に入らせていただきます。さて、公務員の国民投票運動に関しまして、組織により行われる勧誘活動について、最初は、自公案ではその行為を禁止しておりました。しかし、民主党との交渉の結果、附則に盛り込まれることとなりましたが、その中身については今後検討することになっております。我が党の案では、地方公務員の政治的行為に罰則を科す法案を出しております。組織により行われる勧誘活動の禁止ということを一文入れることによって、今回の法案に関して安心が担保できると思っているんですけれども、日本維新の会の案である、地方公務員の政治的行為に罰則を科すことに関しての御意見を、まず百地参考人に、先ほどからの意見陳述の確認でも結構ですし、追加事項があれば、お答えいただければ幸いです。




○百地参考人 地方公務員法では、政治行為を制限しておりますけれども、罰則がない。私はこれは非常に問題であると思っております。地方公務員法では、政治行為をさまざまに制限しているにもかかわらず、現実には、野放しのような、違法な選挙活動とか政治活動が行われている、これはいろいろなところで報道されているとおりであります。報道は氷山の一角だろうと思っております。私もこの前、名護の選挙にちょっと応援に行ってきましたけれども、もういわば野放し状態で、違法な公務員による選挙活動が行われている。そういう実態を前にしたとき、やはり、この実効性あらしめるためには、きちんと罰則を設ける必要があるのではないかというふうに私は考えております。




○伊東(信)委員 ありがとうございます。地方公務員法では、公務員の政治的行為に関して、国家公務員並みの規制はありませんし、全く罰則も科されておりません。国家公務員の人事院規則でも、国民投票に関する規定もありません。今回の法案で最小限度の法準備がなされるということになると思うんですけれども、地方公務員と国家公務員で、ここでちょっと矛盾というか、ギャップというか、ジレンマがございまして、地方公務員の政治的行為について、先ほどから申しておりますように、国家公務員は、人事院規則で厳しく規定され、罰則が付されている。地方公務員は、禁止されているが罰則はない、あるいは全く自由となっている。しかしながら、国民投票法に関しましては、具体的には、憲法改正案に対する賛否の勧誘という部分では、国民投票を国家公務員法では人事院規則の体系において規定していませんので、これが禁止の対象になっていなく、一方、地方公務員法においては、専ら住民投票を念頭に置いた公の投票、そういう文言があるため、形式的には国民投票運動が地方公務員には禁止されているという逆転現象がございます。それでは、まず、田中参考人にお尋ねしたいんですけれども、公務員の政治的行為の規制に関し、国家公務員と地方公務員の規制は同様に取り扱うべき問題であると我が党は考えているんですが、田中参考人の御意見をお聞かせください。




○田中参考人 恐らく、立場が全然違う側からの議論になるのかもしれません。国家公務員も地方公務員も同じように扱って、そして、政治活動の自由を拡大すべきだというのがむしろ私の主張なんです。ですから、確かに、公務員が、地方であろうと国家であろうと、職務との関係で、職務の公正や中立を害する職務上の政治活動は禁止されるべきです。しかしながら、そうではない、私人としての行為については、これは将来の課題になりますが、むしろ同じように自由化していくべきであるというふうに考えております。




○伊東(信)委員 ありがとうございます。政治の方向に影響を与える意図での特定の政策の主張、また、反対したり、国の機関等で決定した政策の実施の妨害、こういったものが国家公務員法、人事院規則の方では禁止をされて罰則も科されている。これが地方公務員の方では全く何にも規制されていない、自由であるということに対して、我々日本維新の会は、地方公務員の政治的中立の確保のために、地方公務員法の一部改正について提出をさせていただいているわけなんですけれども、先ほど田中参考人にお聞きしたことと同様の質問になるんですけれども、国家公務員と地方公務員の規制は同様に取り扱うべきであるという我が維新の会の考えに関して、百地参考人から意見をお伺いしたいと思います。




○百地参考人 先ほど一つの私の意見を申し上げましたけれども、それに補足して、きょうの最初の参考人意見の中でも述べましたけれども、確かに、国家公務員と地方公務員では職務の性質も違うところがあるし、あるいは範囲も違ってきます。しかしながら、他方で、最高裁の昭和四十九年の猿払事件判決は、これは特に、国家公務員、地方公務員ということを、事件は確かに国家公務員でしたけれども、しかし、一般論として、行政の政治的中立性と国民の信頼の確保ということを言っているというふうに私は理解できると思います。したがって、地方公務員についても国家公務員についても、同じように、行政の中立性を維持し、国民の信頼を確保するという立場に立って考えていけば、現在、国家公務員のみがきちんと罰則を設け、詳細に制約される行為を規定しているのに対して、地方公務員法は非常に大ざっぱであるし罰則もない、したがってこれではバランスを欠いているのではないか、同じように、もうちょっと詳細に定め、罰則を定めるべきである、これが最高裁の立場であろうというふうに考えます。




○伊東(信)委員 ありがとうございます。よく理解させていただきました。それでは、時間の関係上、次の質問に移らせていただきたいと思うんですけれども、憲法教育についてです。憲法教育そのものの重要性というのは共通の認識だと思うんですけれども、まずは、お二人、高橋参考人と斎木参考人にお聞きしたいんですけれども、高橋参考人、最初の意見陳述で、欧州各国での選挙権は十八歳から十六歳になっていると。この憲法教育なんですけれども、学校教育でないところのサポートのお話もされていたわけなんですけれども、日本国憲法制定の過程を学習指導要領に加えて、また、憲法教育について学習指導要領で定めています。学校教育においてももっと具体的に充実を図っていく必要性もあるのではないかと思っておるのですけれども、そのあたりに関して御意見はいかがでしょうか。




○高橋参考人 これは私の私見になってしまうかもしれませんけれども、先ほどから言われているように、ヨーロッパでアクティブシチズンという言われ方をしますけれども、市民として、例えば社会的なことであったりとか、さまざまな地域の活動であったりとか、それは政治的な活動も含めてですけれども、そういった行動がとれるような市民に育成していくことというのが非常に私は政治教育において重要なのではないかというふうに思っています。そういった中で、例えば法律について考えるだとか、地域においても条例について考えるということでいえば、日本の法体系というのは、例えば、憲法のもとにしか法律はつくれないですし、憲法と法律のもとにしか条例はつくれないということになっていますので、そういったものを認識するということは重要だと思います。ただ、そういった体系的な問題と、一方で、自分の実生活にかかわっている問題からこういったことを学ぶということも重要だと思いますので、そのあたりは、育成する力について、全体を見ながらウエートをかけていくのかなというふうに認識をしています。以上でございます。




○伊東(信)委員 ありがとうございます。同様の質問になるんですけれども、斎木参考人にお聞きしたいんですけれども、斎木参考人は、十八歳の選挙権というのは、そのものは権利であるとともに責任でもあるということですね。若者の政治的判断能力を育むと。やはりそこに憲法教育という概念が入っていました。先ほどの、前の答弁の中にも、先生に押しつけず、文科省のサポートとかNPOのサポートとあるんですけれども、憲法教育について、もっと充実を図っていこうと思えば、さらに具体的な何か御意見がございましたらお聞きしたいんです。




○斎木参考人 憲法教育ということについて考えますと、やはり憲法改正というと、どうしても九条のことばかりが取り上げられがちな部分もあると思うんですけれども、新しい人権にしっかり対応していくという意味でもやはり憲法の改正というのはすごく大切なことだと、個人的な意見になるんですけれども、私は思っております。やはり、プライバシー権とか環境権とかそういった権利、当時は考えられなかった、一九四五年とかそのあたりには考えられないような新しい権利というのが実際に出てきているわけですよね。そのことをディスカッションしたりとかワークショップで考えたりするということは、どっちかというと余り思想によるものではなくて、身近なプライバシーのことをどう考えるとか、身近な環境権のことをどう考えるかということは、非常に先生としてもやりやすいでしょうし、逆に、受ける学生の立場からしても、自分たちの身近なことなので考えやすい。そういうところからまず憲法教育で始めていけば、そこまで思想が偏るとかということにはならないんじゃないかなというふうに思うので、そういうことを、ワークショップとかディスカッションとかをやってみたらいいんじゃないかなというふうに思います。




○伊東(信)委員 ありがとうございます。年齢の引き下げということになるんですけれども、やや法的な、テクニカルなことにもなると思うんですけれども、民法の成年年齢を引き下げずに公職選挙法の選挙年齢を引き下げるということに関しては可能かどうか、それに関しての御意見を、法曹界の立場として、田中参考人にお聞きします。




○田中参考人 先ほどもお話しさせていただいたんですが、民法の成人年齢と公職選挙法あるいは国民投票法の投票年齢とはやはり趣旨が違います。したがって、その二つを切り分けることはあり得て、将来的にそれを続けるのがいいとは私は思わないんですが、ある時期、選挙年齢だけが十八歳、民法の成人が二十歳で仮にあったとしても、憲法十五条に抵触するものではない、こう考えております。




○伊東(信)委員 ありがとうございます。それでは、法学者の立場、そして先生の御意見として、百地参考人に、民法の年齢を引き下げずに公職選挙法の選挙年齢を引き下げることは可能か、それと御意見をお伺いします。


○百地参考人 この問題につきましては、確かに、それぞれ法律、民法にしても公職選挙法にしても、趣旨が違うのはおっしゃるとおりでありますが、しかし、そのベースになっていたのが、民法の成年というものを前提として選挙権が付与されたという、そこがスタートになっていることは間違いありません。また、最近の世界の国々の動向はよくわかりませんが、従来はそういう考え方が一般的であったろうというふうに私は考えております。そこで、これを分ける場合、私は、憲法違反かどうかという議論ではなくて、むしろ政策の問題だと思っておりまして、分けることは法理論としては可能だろうとは思います。しかし、望ましくはないと思いますし、慎重であるべきだというのが私の考え方であります。




○伊東(信)委員 ありがとうございました。ただいま時間となりましたので、以上で終わりたいと思いますけれども、各参考人の先生方、貴重な御意見、ありがとうございました。