2014年4月8日(火)に科学技術特別委員会にて質疑をいたしましたので、私の質疑部分についての議事速報と動画をアップさせていただきます。


ぜひご覧になってくださいませ。







平成26 4 8 日 衆議院科学技術特別委員会速記録(議事速報)








○竹本委員長 次に、伊東信久君。







○伊東(信)委員 日本維新の会の伊東信久でございます。山本大臣におかれましては、内閣委員会のときに引き続き、同じように科学技術・イノベーションに関する御質問をさせていただくわけですけれども、内閣委員会のときと若干オーバーラップというか、かぶる部分もあるんです。今般、きょうも野依所長が来られましたけれども、STAP細胞のことが話題に出ております。私もSTAP細胞に関することというか、STAP細胞を中心に今回質疑をさせていただきます。まずは、ここの委員会は科学技術・イノベーション推進なんですね。ですので、STAP細胞の発見を擁護するような立場をとった質疑になろうかと思いますけれども、そこは、各御意見、現在の調査結果がございますから、まずは事実を検証していきたいと思っております。さて、科学技術の発展に関しまして、国の方針として、いわゆる新しい産業として科学技術を推進しなくてはいけないということは共通の認識だと思いますけれども、さかのぼれば、科学技術基本計画というのが一九九六年に、科学技術の政策にまとまった予算を出そうという礎となっております。そこから五年後、二〇〇一年の第二期においては、いわゆる医療分野、生命科学分野に重点配分されていったわけなんです。九六年に始まって、二〇〇一年との比較でもよろしいですけれども、今に至るまでの予算額、本年度に関する科学技術に関する予算額の推移というのを、省庁間にまたがると思いますけれども、お聞かせください。







○倉持政府参考人 委員御指摘のとおり、我が国では、議員立法でつくっていただいた科学技術基本法に基づきまして、一九九六年以来、五年を計画期間とする科学技術基本計画というものを順次定めてまいりまして、その中で、政府研究開発投資の総額の目標というものを掲げ、科学技術関係予算の確保に努めてきているところでございます。いわば第一期の科学技術基本計画の初年度であります一九九六年度の科学技術関係予算額と本年度の予算額とを比較いたしますと、一九九六年度には二兆八千百五億円でございました。これに対しまして本年度は三兆六千二百六十四億円となっておりまして、約三割増加していることになっております。また、各計画期間の予算総額の推移につきましては、第一期の基本計画の目標が約十七兆円ということでございましたけれども、実績として十七・六兆円でございます。第二期の目標は約二十四兆円でございましたけれども、実績は二十一・一兆円でございます。第三期の目標は約二十五億円とされておりましたけれども、実績は二十一・七兆円ということでございます。さらに、二〇一一年度から二〇一五年度までを対象とする現行の第四期計画でございますけれども、これにつきましては、やはり目標として約二十五兆円というものを掲げてございます。計画期間の四年目に当たります本年度、ここまでの実績を総計しますと、約十八・一兆円という状況にございます。







○伊東(信)委員 恐らく、今回も予算が遂行されないのではないかなと思うんですけれども、実際に科学技術の見積もりというのは、大体、他の職業と違って難しいわけなんですけれども、ただ、実際に現場を聞いてみますと、まだまだ科学技術に対する予算も少ないかと思います。実際、今度できるNIHも、アメリカの場合、NIHだけで三兆円というところで、科学技術全体で三兆円というのは決して多くは思わないんですけれども、一期、二期で決められた予算が遂行できない原因というのは何かあったのでしょうか。







○倉持政府参考人 科学技術基本計画におきましては、長期的な投資の目標といたしまして、GDPの一%程度はやはり科学技術に回したい、そういう考え方に基づきまして先ほどの数字というのが掲げられているところでございます。委員御案内のとおり、なかなか日本の経済状況は、この間厳しいものもございまして、その中で、もちろん計画としてその目標を掲げているわけでございますから、私どもとしては全力を挙げて予算確保に努めているわけでございますけれども、残念ながらそこに届いていなかった、そういう状況にございます。







○伊東(信)委員 恐らく詳細に関しては、いろいろな細かい状況があったのかとは思います。もちろん、今の御答弁のように、日本の経済の状況というのも考慮しなければいけないわけでございますけれども、これを投資と見るかですよね。科学技術を投資と見るかというのは、いわゆる哲学も入りまして、なかなか難しいところでございますけれども、大臣が所信で、我が国が直面する課題を乗り越えるための切り札と、この科学技術・イノベーションをおっしゃっていただきました。この科学技術・イノベーション政策の推進において、大臣は司令塔としてリーダーシップをとっていただきたいんですけれども、その具体的な司令塔機能というのはございますでしょうか。







○山本国務大臣 率直に申し上げますと、司令塔機能強化の道のりは道半ばだというふうに思っています。三・六兆円の科学技術関係予算、これに対して内閣府、総合科学技術会議がどうやって影響力を持っていくのかということでいうと、一つは、各省の予算編成プロセスにいかに影響を与えるかということだと思います。それは、新たにつくった予算戦略会議、私のもとに各省の局長クラスに集まっていただく会議も活用しながら、アクションプランを進化させていく、政策決定プロセスに影響を与えていくというやり方が一つ。もう一つは、きょう議論がありましたけれども、SIPとImPACT、総合科学技術会議が中心になって目ききができる予算の枠をつくる、その予算の枠をつくることによって関係各省を巻き込んでいく。大きくいうと、この二つのプロセスで今司令塔機能強化をやってまいりまして、今回の理研の問題にも関係がありますが、特定国立研究開発法人が創設された場合には、さらにそこで総合科学技術会議がいろいろな役割を果たすことになるということもあって、いろいろな意味で司令塔機能強化の流れは進んでいると思うんですけれども、道半ばだと思います。もう一つは、政治的に言うと、総理のバックアップがあるということで、民主党政権下では残念ながら、決して科学技術・イノベーションに関心が低かったとは思いませんけれども、総合科学技術会議は恐らく一年に三回ぐらいしかできなかった。安倍内閣はこの過去一年で十二回ぐらいやっていますので、そういういろいろなもろもろの手段で、今、司令塔機能強化を図っているところです。







○伊東(信)委員 ありがとうございます。先ほどの我が党の高橋議員の質疑でもあったんですけれども、今大臣の御答弁にもありました、いわゆる目ききのところですね。ImPACTなどはそういった趣旨があるとは思うんですけれども、いかに今後ブレークしていくか、ブレークスルーを起こすかという科学技術を発掘していかなければいけない。我が党の高橋議員が、○○先生は有名になってから予算がおりたのではないですかと、それは厳しい御意見。だけれども、おりないより、やはりおりた方がいいということなんですね。ただ、問題は、必ずしも、いわゆるコントロールをしていく上で、ガバナンスをしていく上で、ポジティブなことばかりではないということです。今回話題になっているSTAP細胞の論文をこちらに用意しました。これはネイチャーの最初の一ページなんですね。どなたかわかる方で構わないんですけれども、これのどこが問題なのでしょうか。







○倉持政府参考人 御説明申し上げます。大変恐縮です。私はこの英語の論文を今直接見ましたので、この論文のここということは申し上げられませんけれども、今般、理研の方で不正ということで調査委員会を立てて報告が出た部分につきましては、データの扱い等につきまして、あるいはその実験方法の記述の部分について引用がないとか、六カ所、六件の疑問点が示されました。それにつきまして、調査委員会としてその事実関係を確認して、その結果、二件についてはやはり改ざん、捏造の不正があったと認定されたというふうに理解しております。







○伊東(信)委員 ありがとうございます。この論文の中の、このページではないところの、後のページのいわゆる画像処理に関して、私は余り使いたくないですけれども、改ざん、捏造があったということなんですけれども、では、STAP細胞自体の存在に対しての改ざん、捏造があったのでしょうか。もしくは、STAP細胞は存在するのでしょうか。お答えできる方で構わないです。







○倉持政府参考人 お答え申し上げます。ここにつきましては、まだ、ある、ないという論拠というものがはっきりしていないということで、先ほど理事長からもお話があったかと思いますけれども、理化学研究所として、そこの再現試験というものをきっちりやっていきますし、それに対して、情報をできる限り公開して、広く第三者にも参加いただけるような、それの支援をしていく取り組みを進めるというふうに理解しております。







○伊東(信)委員 ありがとうございます。私は知っているぞという、そういうことが言いたいわけじゃなくて、若干、本当に意地悪な御質問で、菱山審議官、倉持統括官をいじめたいわけじゃないんですね。だけれども、今お答えいただいた、あるかないかわからないというお答えというのは、すばらしいと思います。厚生労働委員会で田村大臣も、真実はわからないんですとおっしゃったんですね。では、真実はどこにあるかというのは、真実はどこかにあるわけなんですね。ただ、現在わかっていることは、この論文がパブリッシュされたということですね。ネイチャーという雑誌にパブリッシュされたということです。科学的に言いますと、科学者の中というか我々の中で、もっと言うとiPS細胞研究所の先端を行っている方のお話を聞くと、パブリッシュされている時点で存在しているんです。パブリッシュされたということは、世界各国の再生医療にかかわるいわゆるレフェリーがいるんですね。レフェリーが何回も何回もやりとりして、あると認めたからパブリッシュされたんです。これは一つの事実なんですね。この事実を否定しようと思ったら、これに関する否定論文を出さなければ、STAP細胞は存在しないとならないんですね。例えば、香港で最近、STAP細胞の存在が疑わしいというような声明を出しました。だけれども、これは、日本じゃない海外の研究機関が単にこの数カ月の間にその実験に成功しなかった、もしくはこの論文自体の理解をしなかった、この論文自体を受け入れなかったというだけのことなんです。だから、単なるそこの研究機関の方針なだけなんですね。ただ、このSTAP細胞に関して皆さんにぜひともわかっていただきたいのは、iPS細胞との比較文書を出していますけれども、iPS細胞は、この四つの遺伝子を我々の体の細胞の遺伝子の中に導入することによって、いわゆる受精卵と同じような細胞に戻す。つまり、どんな臓器にもなり得るような細胞をつくれるということなんですね。それに比べて、STAP細胞は、まだ動物実験の段階です。ネズミの体細胞に刺激を与えることによって、ここにコップを描いていますけれども、これは、ビールみたいに見えますけれどもオレンジジュースなんですね、弱酸性なんです。弱酸性のところに長時間浸すことによって、同じように初期化が起こったということなんです。さて、これが今みたいな説明になると、本当かいやというような疑念が生じるのは間違いないです。ただし、このネイチャーのレフェリーは、それを認めてパブリッシュされたんです。その時点で、それはあるとされるんですね。これが科学のいわゆるルールでございます。さて、この背景にあるのは、生命の、つまり細胞の不思議さで、イモリやトカゲとかが再生機能を持っているように、もともと生物には、そういうような、もととなるような、卵になるような細胞があるんじゃないか、いろいろな臓器になる細胞があるんじゃないかということですね。実際、幹細胞というのがあるんですね。年末に出された再生医療の推進法案、厚労省から出ました推進法案というのは、それをiPS細胞と、今僕が申し上げた、もともと人間にある幹細胞と、それと単なる体細胞をふやす、この三つに分類して、それぞれに危険度を分けよう、それぞれに認定にするのか届け出にするのか、そういったことでございます。このiPS細胞、STAP細胞というのは、もととなる幹細胞を人工的につくる方法論なんですけれども、この細胞というのは単なる材料でしかないんですね。人間の体を車に例えると、iPS細胞は臓器になる。我々、科学技術特別委員会で去年視察に行った高橋政代先生、やっと網膜という、眼球の中の一部のそのまた臓器ができたところなんですね。まだまだ本当に、申しわけないですけれども、ハンドルをつくったりとか、エンジンは最後までできていないんです。エンジンのギアができている状態なんです。だから、こんな状態で足の引っ張り合いをしている場合ではないんですね。ここには本当にいろいろな問題があったと思います。理化学研究所が、もしかして、推測ですよ、そのまま突っ走るのに何かしら、人間というのは、足を引っ張ったりとかジェラシーがあったりしたのかもしれないし、内部でリークがあったのかもしれません。しかし、なぜこのSTAP細胞がパブリッシュされた時点でこのようなバッシングを受けたか。それは、一つは、やはりマスコミが悪いと思います。小保方先生のキャラクターでSTAP細胞が出たときに、非常にもてはやされました。しかし、何カ月かして、この論文のいろいろなミスが見つかったときに、今度は逆にバッシングが起こりました。もちろん、私自身も学位を持っていますし、大阪大学の招聘准教授でありますから、この論文の書き方に関して、これを擁護する気持ちはありませんけれども、ただ、このSTAP論文について、オール・ジャパンで守っていかなければ、これも日本が誇る財産なんですね。この財産を、正しいのであるか間違っているのであるかというよりも、あるのかないのかは検証です。先ほど野依先生が帰られるときに、私、一言お聞きしました。STAP細胞の質疑をします、でも、これはサイエンスですよねと言ったら、そうなんです、これからは検証が大事なんですと。つまり、検証していくことが次への過程なんですね。この論文を取り下げるとかそういった問題ではないし、不正がどうのとかの問題じゃないです。検証していくことが大事なんです。だから、野依先生は、みずからの自浄機関にプラスアルファして、検証を科学的にやっていこう、プラス的にやっていこうということなんですけれども、今の現状では、とてもじゃないけれども、科学技術・イノベーションを日本の中での切り札とはできません。先ほど大臣が、各省庁間でいろいろな壁を取り払わなければいけないし、司令塔となるには、まず安倍首相がバックアップをしてとおっしゃっていただきましたけれども、今回、プロジェクトマネジャーとかプロジェクトディレクターというのは、いわゆる研究の方向性を決める、そういった機関です。私のこの資料の中に、ラグビーとアメリカンフットボールの写真を載っけています。これは、山中先生が衆議院の表彰のときに講演でおっしゃっていた話、もしくはラスカー賞をとられたときに引用されたお話なんですけれども、科学者はあくまでも科学者なんです、それを製品化したりとか商品化したりすると、それは、CEOという、いわゆる経済的な部分がいるから、全く別分野、ラグビーとアメリカンフットボールぐらいの違いがあるんだよと。だからこそ、誰か、オーガナイザー、マネジメントする人が出てほしいということなんです。ただ、このプロジェクトマネジャーとかプロジェクトディレクターをつくるだけでは、いわゆる司令塔機能はないと言っても過言じゃないと思います。社会的、倫理的、広報的な、もう一つ科学を支える機関というのが、政府がやらなければいけないと思うんですけれども、そのあたりはいかがでしょうか。







○倉持政府参考人 プロジェクトをサポートする、本当に今、研究開発を進めるに当たりまして、ただ実験室で研究をしていればいいというものではございません。知財戦略あるいはいろいろなことがございますので、今までのFIRSTの例でも、そういったところの重要性というのは、我々痛感しているところでございます。今回、ImPACTなりSIPなり、そういったもので、全体の指揮官というのはプログラムマネジャーであったりプログラムディレクターであったりするわけでございますけれども、その方のもとにしっかりと、専門的知識を持った方をサポートする体制を組んでいくことが非常に重要だというふうに認識しております。







○伊東(信)委員 ありがとうございます。先週の内閣委員会での山中先生の参考人としての答弁、七ページに書いてありますけれども、段落二の、しかしから、科学者の独立ということなんですけれども、この独立というのは非常に注意しなければならない点があります、独立させてほったらかしにするのは非常に危険であります、私もそうでありましたが、三十代の研究者というのは、実験の方法については一生懸命それまでやってきて上手になっていると思うんですけれども、それ以外のさまざまな点についてはまだまだ未熟な人間でありますということです。この科学技術・イノベーションを発展させる上で、まだまだ問題がございます。このイラストにありますように、基礎研究であるところは文部科学省、そして、これを人間に応用しようと思えば、医療、臨床が厚生労働省、そして、これを製品化しようと思ったら経済産業省が必要となってきますけれども、省庁間の橋渡しがなければ、この死の谷を越えることはできません。これが本当の科学技術・イノベーション政策だと思っております。まず、医学と工学の連携、先ほど野依先生が言いました。社会に何が必要なのかを研究者はヒアリングする必要がある。しかし、科学者は今の体制ではできません。ですので、その体制をつくること。そして、小保方先生も野依先生も研究者です。マスコミ対策なんかできるわけがないです。それは政府なり国なりが守っていく、そういう体制をつくっていかなければいけないんです。これが本当の科学技術・イノベーション政策だと思うんです。もう時間もありませんけれども、最後に山本大臣、御決意を。







○山本国務大臣 伊東先生の御議論、大変参考になりました。やはり研究者としてのお立場からの御見解だと思います。やはり科学者は、例えば経済人とは違うと。さっきラグビーとアメリカンフットボールの写真を見せておっしゃっておりましたけれども、まさに我々がImPACTでしようとしているのはその部分であって、いわゆるImPACTはプログラムマネジャーというものを設ける、ある意味でいうとプロデューサーであるということで、FIRSTは、最先端の研究をしている科学者の方を厳選して、そこに予算をつけるという仕組みだったんです。ImPACTは、まさに今先生おっしゃった死の谷を越える、高い高い研究開発のレベルをいかに産業化していくか、商品化に結びつけていくか、そのためのプログラムマネジャーと思っていますので、今のお言葉をしっかり踏まえて、科学技術・イノベーションのサイクルをしっかりつくってまいりたいと思います。







○伊東(信)委員 ありがとうございました。