蒼@西麻布 和食でもフレンチでもない。青でも碧でもない。 | 日本中を食べ尽くす!!ミトミえもん食べ歩きブログ

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以前テレビ出演の際に紹介した『蒼』、今回改めて紹介させていただきます。2020年1月に西麻布にオープン。和なエッセンスを強く感じる内観だが、シェフはフレンチ出身。それだけにソースへのこだわりが強いが、いわゆるフレンチのソースは後半まで登場しない。違う素材の足し算で作り上げるのではなく、料理に使う素材の延長線上にソースを求めているようなイメージ。ちょっとわかりづらいと思うので、スペシャリテの赤座海老を例にご説明していきましょう。



愛知産の伊良湖でとれた「赤座海老」。炭で火を入れていくのだが、単体でも質の良さを伝えるような弾ける食感と柔らかさが共存。かなりの大きさを誇り、これに比例するのか濃厚な旨味と甘味の持ち主。。



そして、ソースの役割を担うのは頭と手で作ったというビスク。なんと6時間もかけて10分の1にまで煮詰めたのだとか。当然濃度が高めで、圧倒的な旨味のソースになっております。このように素材そのものにソースを求める結果、強さを持たせるために”詰める”という手法が目立つよう。塩使いなどは低空飛行ながら、強い味を付加することに成功しております。



メインディッシュである「上田畜産 但馬玄の炭火焼き」も同様で、その肉でとったコンソメをソースにしております。



また、ソースではないが、スペシャリテの1つであるパプリカのムースでも同じ印象。パプリカを焼き色がつかないように、ゆっくりと火を入れて、やはり”詰める”工程を経ております。味わいが凝縮しており、だからこそ味が強い。



これまた少々違うアプローチだが、岩手産 の「松茸」を使ったリゾットでも共通点が見える。リゾットにおける米は、鱧一匹で作ったコンソメで炊いたんだとか。ここに香り豊かな松茸を合わせるという、和食でも定番の鱧松茸をフレンチ風に仕上げているのです。ついでに、お米の蒸気に乗って松茸の香を鼻の奥にまで届けてくれます。ソースを含めて、味を作る上で理にかなった設計なのがユニークですね。



冒頭で、料理の後半にはソースが登場することを匂わせたが、典型的なデミグラスソースを提供しております。しかも、但馬玄で作ったデミグラスソース、マッシュポテト、卵を合わせた料理で、とてもシンプルにソースの味わいだけを確認させます。フレンチシェフの矜恃として、1つはフレンチソースを食べてほしい、そういう気持ちが込められているそうです。



魚にもこだわりが強く、変態漁師と呼ばれる藤本氏の魚が中心。スターターから、神経締めの天然の真鯛を使ったコンソメが務めます。こちらも一切の塩なしで作るが、強い味わいは素材力が強いがゆえなのでしょう。



続く真似鰹の藁焼きも同様で、藤本氏の魚が使われます。日本料理でも定番の藁焼きなのだが、レモングラスの藁で燻っているというの非常に面白い。



和食でもフレンチでもない。青でも碧でもない。峯村シェフのおくる新しい料理をお楽しみください!ご馳走様でした。

その他の料理のラインナップ。

「北海道 真イクラ、冷製フェデリーニ」蛤出汁のパスタに新物のイクラを合わせる。



「伊豆 天城の黒豚」中華風のアプローチで辣油が使われるが、バルサミコ酢を熟成したり、バニラビーンズをかましたり。



「小田原 並木屋からの甘鯛を本日の仕立てにして」秋の味覚である天然きのこ達と甘鯛の共演。



「シャインマスカット」グラニテ



「西洋梨」



「和栗のボロネーズ」



「小菓子」