草喰 なかひがし@京都 日本の自然を食べる。季節をきりとる「なかひがし」の草花。 | 日本中を食べ尽くす!!ミトミえもん食べ歩きブログ

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九月十五日は中秋の名月。
満月に近い丸い月。澄んだ夜空に浮かぶ素晴らしい月は人々を魅了します。あいにくの雨の影響で空に月を見ることはできないが、京都の名店『草喰なかひがし』で「月」を愛でることができた。

九月十五日は別名で芋名月とも呼ぶそうだ。秋の収穫を祈ってことだとか。「なかひがし」の冠につく「草喰」たるは最初の器から確認できる。芋名月にちなんだ芋の葉の上に料理が並ぶ。

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銀杏と卵の味噌漬けを月に見立て、網ホオズキに包まれた一品、中東さん得意のダジャレを発揮した初めましての「アジメドジョウ」。この魚は清流にしかいないのだそう。一番のお気に入りはオクラで挟む鮎のテリーヌ。原型をとどめないテリーヌを「Are you(鮎) a sakana?」と笑わせます。添えられたフェンネルからも「草喰」たるを実感。京都にあってこの居心地のよさは中東氏によって作り出される。

季節を意識するのは日本料理の真髄。中秋の名月の次は九月九日の重陽の節句、別名菊の節句を楽しませてくれる。時期的には菊の花はないのだが、器の縁をよく見てほしい。

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料理を全体でとらえるアウトプットに感銘を受けます。器の中身はモロヘイヤと細かくした豆腐の素揚げのお浸し、シャキシャキした食感を作るみずの実で構成される。

京都らしい白味噌の登場。赤味噌も使った合わせ味噌だが、白味噌の風味が全面に。焼き茄子の香ばしさと茗荷の苦味に加えて、スベリヒユという野草が加わります。

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味的なアクセントだけでなく血糖値を下げたり、利尿作用があるのだとか。痛風のミトミえもんにはありがたい限りです。

鮎の塩焼き。うるかとともにいただきますが、この存在感がお酒にもたまりません。いつもは日本酒党だが、本日はワイン好きの方々。鮎にはシャスラを合わせます。

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添えられるのは和歌山産の摘果みかん。スダチのような皮なのだが、皮ごと食べれます。鮎の横には京都の鷹峯唐辛子。辛味がマイルドで、5~6時間煮込つめたトマトの甘味と絶妙に調和します。

向付には地下水で三ヶ月大事に育てた鯉。鯉の煮こごり、鯉の鱗の素揚げなどと命を無駄にしない。九月は夏野菜と冬野菜のはざま。様々な野菜が鯉の周りを華やかに彩ります。挙げればきりがないですが、あえて紹介してみましょう。

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韮の花、茗荷の花、菊の新芽、辛子菜、山葵菜四角豆、赤く熟した実山椒、紅葉した山椒の葉、蕪に人参のまびき、大根のかいわれ、蓮芋、大黒寺納豆、ナスタチウム、マイクロトマトなどなど。デザートでもいただけそうな夏大根のシャーベットはお気に入り。

お椀には対馬の鱧と祇園豆。すっかり京都の豆かと思いきや在来種の祇園とは全く関係ないインゲンなのだとか笑。

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糸柚子と岩茸と白ネギで一緒にいただくのだが、鱧に合わせる梅に衝撃!なんと20年前のつけた梅なのだ。ミトミえもん生まれてないですよ!節のようにかたまった梅の旨味が驚きをもって舌をころがります。

ここまでワイン尽くしでしたが、唯一の日本酒は無濾過の原酒「神楽」。お相手は黒川茸と去年の5月につけこむ鯖のなれずしが務めてくれます。

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ここでまた中東氏のネタ発動。あずきが詰められた蓮根は先行き不透明の日本経済を表現したとか。1つだけ空いてる場所は我らの希望ということか笑い。二枚重ねたサツマイモも満月を意識。サツマイモの葉、京野菜である山科茄子を煮浸し、ハナイグチとともに。

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目の前でじっくり焼かれていた「天然うなぎ」がようやく登場。白醤油のジャムと山葵でいただきます。

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旨味がぎゅうっと詰まった北海道の野生牛も続く。刻んだエゴマのアクセントがたまらない。

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メインのレビューが短文なのは単なる酔いのせいでなく、むしろ野菜やハーブなどへの感動度がより高いためだ。

さらなる感動は最後にも待っていた!
塩と柚子で味をつけた炊きたてから少し蒸らした白飯。これだけでも3合は食えるが、ここにカラスミが乗せられるのだから鬼に金棒。

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「松川」に並ぶ最高級からすみご飯に勝手に認定させていただきます!さらには白飯にめざしと漬物、おこげなど満足するまで米をよそってくれます。

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「草喰なかひがし」
季節を切り取った草があり、京都いや日本の花がある。小さい器のなかで日本の自然を見せてくれるのだ。自然のありがたさと美しさを再確認させてくれる、そんな素敵な時間を提供してくれる店だ。

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