昼下がり。
時間にルーズなバスを待つにはまだ風も冷たくて、
缶珈琲を握りしめてもまだ足りず小さく足踏みをする。
手持ち無沙汰になんとなく振り返ると
春を待ち切れない柔らかな陽が2月の終わりにゆらりと落ちて居て
それだけで固く閉じ込められた冬の景色が一変する。

1秒に2秒分の仕事が出来ないものかと焦りながらの毎日では
バスを待つ時間を優雅に過ごす余裕が持てないのも当然で、
割と当たり前のように日常に流されて行くらしい。

国道沿いの駐車場には砂利のベッドで猫がじっと往来を伺う。
うららかな金色の掛け布団が薄い茶色の毛に反射して居て、
待てども待てどもやって来ないバスへの苛々が溶かされて行く。
春はバスよりも早くてゆっくりだ。




とそんなこんなで
ぼうっとして居たせいで気付けば2日も過ぎてしまいましたが、
「灰とダイヤモンド」無事千秋楽を迎えました。
御来場頂いた皆様、応援を送って下さった皆様
本当にありがとうございました。
お花やプレゼントもいつも本当に嬉しく思います。

たった3公演のみのゲスト出演、しかも毎回違う結末と云うことで
「毎公演が初日で楽日」と云う不思議な感覚だったのですが、
それを思う度に、
どんな公演もいつもこれくらいの新鮮な気持ちを大切にしなければ
と今までを反省かつ今後の指標として改めて思った次第です。

それにしても、ですよ。
いつも和気藹々と過ごして居る田井さんやMORITAさんと
同じ役で一つの作品に携わると云うのは本当に不思議でした。
特に田井さんは初演のオリジナルキャストでもあるので、
ピザへの愛情が顔合わせの時からよく伝わって来て居て
その辺のプレッシャーたるや、もう。
デュパンを人に渡したくない、サムソンを渡したくないと
僕が感じたあの感覚を田井さんに対してどう応えるべきか、
なんてことで本当にギリギリまで悩んでしまいました。
今にして思えばお恥ずかしいお話です。

3種3様で良い、それが答えなのは
始まる前から分かって居たことなんですよね。
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毎回ながら楽屋では植ちゃんと喋ってばかり居て、
学さん、健ちゃん、鯛造君、成松君と
本当に共演者の皆様には大変ご迷惑をお掛けしてしまいました。
でも出鱈目なハングルで盛り上がったりして楽しかったなぁ。


さて次はいよいよromeo×julietです。
劇場で皆様をお待ちして居ります。

또 만나요!

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