三寒四温。
ただ温むだけでは不十分で、
桜の開花にはその寒さもまた必要不可欠なのだ、と昨日読んだ。


全自動でぐるぐると廻る季節に抗うかのように吹く冷えた夜風も
桜の樹を眠りから覚ますのに一役を買って居るのかと思うと、
秋口の冷え始める風よりもずっと好感が持てる。


世の中の多くは因果関係がなるほどうまく連鎖して出来て居て、
様々な気象現象の結果に吹く季節の風も、
いつしか桜が咲くための原因となって居たりする。


きっと今生きて居るどんな日常も、
特別な何かの要因となって連鎖していくのだと思う。



絶賛舞台稽古中のタナカです。



もう今月8日に千秋楽を迎えてしまったのだけれど、
「美しい男性」で大変お世話になった
オクイシュージさんによる「国産第1号」の舞台公演があった。
その作品に、同じくして共演者の阿部翔平君が出演する、
しかも初舞台出演でドキドキして居ると聞き、
これは絶対行かねばと鼻息が荒くなった。


落下の王国の稽古との折り合いの関係もあって
ようやく都合のついた8日の夕方。
千秋楽を観劇すべく下北沢に向かう電車に揺られながら、
初舞台の時のことを思い出して居た。


僕の初舞台は緊張と不安感が120%ずつ渦巻いて
アドレナリンは240%の過剰分泌気味で麻痺状態だった。


舞台稽古初日も一体何を持って行けば良いか分からず、
わざわざマネージャーさんに確認したりして居たし、
全公演直前毎に舞台袖で呪文のように台詞を繰り返した。
ガチガチの僕を励ましてくれたのは、共演者であり、
笑い声や拍手を下さるお客様であることを本当に良く知った。



阿部ちゃんの初舞台には惜しみない拍手を送ろうと思った。




そう思って居たのに、
舞台上での阿部ちゃんは終始落ち着き払って居たように見えて、
なんだか拍子抜けした。
後で聞けば、どうやらやはり緊張の連続だったそうだけれど、
そう見えない辺りがやはり阿部ちゃんなのだな、と思った。
良き友人であり、良きライバルなんだなあと思った。




偶然にも千秋楽のその回を
松尾スズキさん、宮崎吐夢さん、大根監督、
作家の天久聖一さん、ペロリーマンこと羽田謙治さん、
と云う錚々たる美しい男性メンバーが観劇して居て、
観劇後にお誘い頂いたので呑みの席に同席させて貰った。


大根監督が「なんか美しい男性で揃っちゃったな」と云うと
松尾さんが「誰一人美しくないけどね」と云ったので笑った。


タメになる話、くだらない話が乱発して
どの話も興味深くて本当によく笑った。
作品に携わっている間は、僕は割と萎縮する質なので
こうして作品が終わった後に改めて盃を交わして居ると
饒舌になる自分が居ることにも気付いた。


大人で在ることを日々意識しなければと思う一方で、
この人達の中に居ると自分の小ささもまた面白かった。


帰りの電車で台本を開きながら、そんなことを思った。
ほろ酔いなのもあって台本は頭にあまり入らなかったけれど
このやろうとする姿勢が大事なのだ、と自分を騙して
台本を開いたままぼんやりして居た。




昨日さぼっちゃった自分を悔やみつつも翌日稽古に行くと
意外な程台詞がすらすらと入って居たので我ながら驚いた。


もしかしたら、
松尾スズキパワー(敬称略)とか国産第1号パワーなのかも、
などと出鱈目に思ったりしたけれど、
昨晩の帰りの電車の中での駄目元の無駄な足掻きが、
云う程に無駄でなかっただけなのだと思う。



と。
絶賛舞台稽古中のタナカです。



約一ヶ月ぶりのご無沙汰で大変申し訳ないです。
来週の桜の開花予想に聞こえない振りをしながら頑張ります。
月末、皆さんと池袋シアターグリーンでお会い出来るのを
心から楽しみにしてます。


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