梅もしぼむか桜つぼむか、花風が温もってほこほことする。
春の空を吹く風の甘い香りに付き添って
花粉も今が盛りと舞い上がる。
噂が絶えない訳でもなかろうにくしゃみばかり繰り返す。

4日前の金曜、暖かな小雨に混じって吹き荒んだ突風。
春の嵐がとても好きだ。
何かが始まる気がするから。



家を出てから5分と待たずに傘が原型を失った。
苦笑いを浮かべながら、やれやれと
ぐしゃぐしゃになった傘を持ち帰って、
お気に入りの黄緑の傘に持ち替えた。
傘を差さずとも、肩はさほど濡れない。

風を思い切り浴びて、
傘は閉じたまま肩を濡らしながら歩いた。



コンビニエンスストアに寄ると
扉のガラスが段ボールとガムテープでぐるぐるに覆われて居た。
会計の時に若い女性の店員に
「突風で何か飛ばされて来たんですか」と問うと
「いえ、強風で突然割れたんです。
 危ないので近付かないで下さいね」と云ってくれた。
コンビニエンスストアの出入り口は一つ。
扉に近付かないのはなかなかどうして難しい。

触らないようにして店内を出て、外から見たら
若い女性特有の、右肩上がりに癖の在る字体で
「窓が割れてます、危険なのでふれないで下さい 店主」
と張り紙がされて居た。
店主不在であろう時間にも店主の意思は継がれる。

よもやコンビニエンスストアの店主が
ギャルと云うこともなかろう。
だとしたらシュールなのに、と思い馳せて少し笑った。



オープンして数ヶ月と経たない新店に打撃を与えながら
春の嵐は何処かを目指して吹き荒む。
それを浴びながら、何か始まりそうな気ばかりが高鳴る。




1夜明けて2夜明けて、3夜明けて。
気付けば春も当たり前になってしまった。

冬が終わる予感と、春が始まる予感。
梅がしぼんで、桜がつぼむ。
何かが終わる予感と、何かが始まる予感。

冬に果敢に挑んだ美しい男性の収録も遂に終わる。
始まるものは未知数だからワクワクする。






開花予想が発表された。
花見の盛りは舞台稽古の最中やも知れない。



すでに
「観劇予定です」のコメントも頂いておりますが、

4月9日~12日
Be Withプロデュース公演
「THE BUTTERFLY EFFECT―バタフライ・エフェクト」
に出演致します。
(Be Withさんのサイトの方で詳細が確認出来ます。)


皆様のご来場を心よりお待ちして居ります。
どうぞ宜しく御願い致します。