先日の東京セミナーに参加してくれた皆さんありがとうございました。
おかげ様で、私も有意義な時間を過ごさせて頂きました。
今回のセミナーでは、坪井先生からはJAK阻害薬についての情報を薬価も含めてみっちりとお話いただき、
藤間先生からは「見た目と、気持ちと、人付き合い」というとても興味深い内容をご講演いただき、
鎌塚先生の眉のワークショップでは、とにかく自然な眉を書く方法を伝授していただきました。
私は今回のセミナーで改めて、
心のケアの必要性と
ハゲ・ヅラという言葉による心理的負担の問題解決が必要だと思いました。
講演の後は、質疑応答の時間があるのですが、実は、何も質問が出なかったときのために、予め質問をいくつか用意してあるのですが、
今回はその必要がないくらい、各講演で質問してくださる方がいらっしゃいました。
例えば、今の皮膚科での治療で治る可能性が無くはない一方で、脱毛してしまったことの心理的負担があまりにも大きく、
その割に、病院では心のケアが全くされていないことを指摘する声や、
症状が見た目に出る疾患なので就職で差別されやすい、
障害枠にする手筈はないか、
メディアなどで見た目で笑いを取るのを見かけるが、
無くしていくにはどうしたらいいかなどの声があがりました。
国立がん研究センター中央病院アピアランス支援センター長の藤間先生からは、がんと脱毛症を比較しご講演いただきました。
例えば、がんは治療後いつ脱毛が始まるかがわかるそうで、ウィッグや心の準備が出来ること、
また、発症年齢も高く、アイデンティティが確立した後の発症であることが多いこと、
その一方で、私達の場合は、前触れなく脱毛が始まってしまうことや、
アイデンティティが確立していない幼少期や見た目でのコミュニケーションが重要な思春期のときに発症するケースも多いこと、
脱毛していく様子は、自分が自分でなくなっていくようで、その姿は本人はもとより家族にとっても、心理的負担が大きいこと。
また、アイデンティティが確立していない子供は環境によって、その後の成長に影響を及ぼしてしまうことなどをお話していただきました。
また、病気になったのは自分のせいではない、
悩みは一人で抱え込まない、
嫌なことを言われたときは我慢せず
「泣いちゃうかも」
「その言葉傷ついた」
と、言っていいとも言われました。
先生の講演によって、脱毛症特有の大変さを浮彫にしてもらえた喜びと、
また、専門の先生に
「悩みは一人で抱え込まない・我慢しない」
と、言われたことで、私は大いに勇気付けられました。
坪井先生のお話からは、100人に一人は円形脱毛症を発症すること、
軽快する人もいるが、重症化してしまった人の内、約3分の1の人が治る可能性が低いことが改めて浮き彫りになりました。
こうして数字にすると、結構な数の人が円形脱毛症を経験していることがわかります。
そして、円形脱毛症を経験したことがある人は、ハゲ・ヅラ、という言葉は良く思っていないと思いますし、
見た目をネタにしたメディアは遠ざけるのではないかと、個人的には思っています。
今の社会、他の問題を見ていると、私達の問題を知って欲しい、を、あまりに押し出し過ぎても、
SNSで叩かれてしまい、
声をあげた当事者が潰れてしまう傾向があるように思います。
ですので、「ハゲという言葉を使わないで」という声をあげるにしても、
時期や場所を選んだり、当事者や家族だけでなく、
脱毛症に関わる分野(医師や見た目に関する仕事や研究をしている方など)で活躍している方々のチカラも借りながら、
私達の病気の大変さを具体的に知ってもらうことで、
ハゲ・ヅラという言葉が、徐々にフェードアウトしていくといいなと個人的には思っています。
つまり、これだけ多くの人が円形脱毛症で悩んだ経験があること、
重症化すると治しづらく、本人・家族にとっても金銭的・心理的負担も大きいこと、
特に幼い頃発症した場合は、
その環境(家族や学校・メディアなど)によって、アイデンティティを確立していくための成長段階に大きな影響を及ぼしてしまうこと、
だから、ハゲという言葉を含む、見た目によるいじりが嫌なんです、ということを、
ここでなら声をあげられる(学校や職場などでも)という場所で言い続けていくことが大事なんだと私は思います。
私には、8歳の子供がおり、20歳の甥がいるのですが、
たった12年でも育児事情は随分変わっているようで、よく、妹に羨ましがられます。
私が育児しながら仕事が出来るのは、ひとえに男女平等を声に出してくれた先輩女性の方々のおかげだと思っています。
このように、言い続けていくことで、
私達の問題もいい方向に向かっていくと思います。
これからも一緒に考えていきましょう!!