パルシネマしんこうえんは神戸にある小さな町の映画館。今流行りのシネマコンプレックスやら4DXとは無縁の小さな映画館。お洒落なコーヒーやらチュロスやら売っていない小さな映画館。
「名画をあなたに」という昭和なキャッチコピーに胸キュン❤️
2本立てで1300円というのもありがたい。そして大きな劇場ではあまり上映しないような映画が観られるのもうれしい。
映画だけじゃなくて、映画にまつわるイベントも催したりと、館長の映画愛がうかがえる。
映画といえば淀川長治、彼は神戸出身。
エジソンの発明した映画鑑賞装置キネトスコープが初めて日本で見られたのは神戸。
神戸と映画は深い縁で結ばれている。そんな神戸にある小さな町の映画館がパルシネマしんこうえんなのだ。
今回観たのはこの2作品。
1本目は中国の映画「こんにちは、私のお母さん」
2本目は邦画「とんび」
映画の内容にはあまり触れずにおくが、どちらも親の愛が溢れる映画だった。親の愛は尽きることのない泉のように子どもに注がれる。植物を育む慈雨のように降り注ぐ。とはいえ、親も人間、時には戸惑い、後悔しながらぎこちなく注がれる愛もある。
ふと自分を振り返る。僕は両親から十分すぎるほどの愛を注がれて育った。父は言った。「のぶが小さい時出かける時は絶対に手を離さんかった」と。僕が保育園に行きたがらない時、いろんなとこに旅行に連れて行ってくれた。そうすればみんなと話をするきっかけが作れるからと。でもその時には自分にどれだけ愛を注がれてきたか全くわからない。今になってようやくわかる。今になって涙が溢れてくる。自分の鈍さに嫌気がさす。
あの頃の親の愛をもう一度思い起こしたい時、ぜひこの作品たちを観てほしい。
映画を観ていてあの曲を思い出した。
聴くたびにいろんな情景を思い出す。頑是ないあの頃を思い出す。
また、ある唐詩を思い出した。
遊子吟
慈母手中線(慈母手中の線)
遊子身上衣(遊ぶ子身上の衣)
臨行密密縫(行に臨んで密密に縫い)
意恐遅遅帰(意は恐る遅遅として帰らんことを)
誰言寸草心(誰か言う寸草の心)
報得三春暉(三春の暉に報い得んことを)
現代語訳:
慈悲深い母は、旅立つ息子のために糸を手にして着物を縫ってくれた。出発が近づくと、一針一針ていねいに縫いながらも、心の中では、息子がいつになったら帰ってくるのかと案じていたに違いない。子のちっぽけな心では、あたたかい春の日差しのように育ててくれた母の恩には、とうてい報いることはできない。だれが報えるなどと言うのか。
孟郊の詩。昔から親の愛がいかに深いものであるか、温かいものであるか、それに報いるにはどうすればいいのか、人はずっと思い続けてきたのだ。
そういえば、ずっと昔に中国の散文を翻訳した。
朱自清という作家の「背影」という散文。不器用な父親の愛情表現が胸に詰まる。
https://ameblo.jp/nobu-12-21/entry-12510204230.html
おとうちゃん
おかあちゃん
たくさんの愛を注いでくれて
ほんまにありがとう