令和5年下半期の芥川賞は九段理江 氏の「東京都同情塔」であった。
主人公は新宿御苑に監獄タワーを建てるプロジェクトを射止めた建築家の沙羅。
なぜ東京の中心に刑務所なのか?
なぜ同情塔なのか?
一通り読んだのだが、私には難解すぎてさっぱり分からなかった。
しかし、答えは選評に書かれてあった。
弱者や少数者の擁護が声高に提唱され、ひいては動物の権利回復までも主張され、世界はどんどん「優しく」なってきている。
その行き着く先は、犯罪者を「同情されるべき人々」と見なし、都心にそびえる塔に集めて優雅な暮らしをさせようという極端な発想であろう。
「うーむ。そうだったのか。」