本日は、財産分与における非上場株式の評価方式について解説します。
非上場株式は、一般的な財産とは異なり、その価値を評価するのが難しいとされています。
しかし、離婚や相続などの際には、その価値を正確に把握することが必要となります。
まず、非上場株式とは何かを理解するために、上場株式との違いを説明します。
上場株式は、証券取引所に上場され、市場価格が公開されている株式です。
一方、非上場株式は、証券取引所に上場されていないため、市場価格が存在しません。
非上場株式の評価は、その企業の財務状況や業績、将来性などを考慮に入れて行われます。
具体的な評価方法としては、以下の3つが主に用いられます。
収益割引法(DCF法): 企業の将来のキャッシュフローを現在価値に割り引いて評価します。将来の収益性を重視する方法です。
株価純資産倍率(PBR)法: 企業の純資産(資産の総額から負債を引いたもの)に対する株価の倍率で評価します。
企業の資産価値を重視する方法です。
一般的にはこの株価純資産倍率法を用いる傾向が強いです(東京地判H22.12.27)。
営業利益倍率(PER)法: 企業の一株当たりの利益(EPS)に対する株価の倍率で評価します。
企業の利益性を重視する方法です。
これらの評価方法は、それぞれの企業の特性や状況により適切な方法が選ばれます。
また、評価は専門的な知識を必要とするため、専門家に依頼することも一般的です。
なお、非上場株式の評価に関しては、民法第903条に「価格の決定が困難な場合には、裁判所が価格を決定する」との規定があります。
この規定に基づき、裁判所は専門家の意見を参考にしながら非上場株式の価格を決定します。
以上が、財産分与における非上場株式の評価方式についての解説です。
非上場株式の評価は複雑で専門的な知識を必要としますが、正確な評価を行うことで公平な財産分与が可能となります。
出典:
・民法(明治29年法律第89号)
・「非上場株式の評価」、日本弁護士連合会、2023年