今日の上海・嘉定はずいぶん気温が上がっている。
予報では26度だけど、たぶん28度ぐらいまで行くんじゃなかろうか。
八重桜もずいぶん色あせている。
もう花も終わりだね。
八重桜と言えば真っ先に思い浮かぶのが伊勢大輔の
いにしへの 奈良の都の八重桜
けふ九重に にほいゐるかな
ですよね。百人一首61番目。
九重というのは八重の対象ぐらいに思っていたけど、「宮中」という意味ですよ、と教えてくれた人があった。
そうか、奈良の都はもうずいぶん昔、今は平安の都、という事ですね。
さすが伊勢さん、紫式部の後輩だ。
ところで、中国で春になるとやたらと目につくものがある。
中国は北と南で植生が違うけど、この季節共通して漂うものがある。
これ、柳絮というやつ。
写真ではよくわからないけど、細かい綿がたくさんふわふわ漂うのですよ。
地面に落ちた柳絮はよく観察できる。
柳の綿毛らしい。
本当に雪が降ってるんじゃないかというほどの綿が舞うけれど、北の方はもっとすごい。
緑化政策と同時に砂漠化抑止のため、生育が早くて乾燥に強い、楊の木をとにかくたくさん植えたもんだからこの季節の北京は文字通り「積もる」状態で柳絮が固まる。
ちなみに、柳も楊も「やなぎ」だけど、柳はだらーんとたくさん枝が垂れてる木。楊は枝が垂れてない木。それぐらいの違いです。
南の方は緑化を早急に進めなければならないほど砂漠化が進んでいないから、柳を植林することはないけど、まあ自生してますわね。
山林だとすぐ他の木の枝に引っかかったりして、柳の綿毛が舞うことはあまりないけど、都会だと他に気が少なかったりする関係で柳絮がやたらと舞い飛ぶことになる。
恐らく地方から出てきた人だろう、道行く人が「何これ、何なの!」と言っている。
「タンポポでしょ」「タンポポがこんなにたくさん飛ぶわけない」「でもほかにないし…」
こんな会話。
柳絮だよ、柳の綿毛だよ、と教えてあげようと思ったけど、余計なお世話ですね。やめときます。