ずいぶん遠くに一人で来たものだ。
今も昔も時々こう思うことがある。
30年以上前だから、中国でSLがガンガン走っていた時代に留学し、時々一人で旅に出た。
大混乱の列車の駅、公衆電話に長蛇の列、中国人と外国人が使う紙幣が違う、切符を買うのに3日かかる…
そんな時に、ふと思い浮かぶ歌があった。
一つは歌謡曲。
海援隊、というグループがいた。
武田鉄矢と言えば知っている人が多いと思うけど、あの人は元々歌手でね。
海援隊の歌には結構いい曲が多くて。
殆どは武田鉄矢が作詞してる。
「人として」とか「贈る言葉」なんかは三年B組金八先生の主題歌だったかな。すごく流行った。いい曲だしね。
その中に「思えば遠くへきたもんだ」という歌があって。
つい口ずさんだものだ。
「思えば遠くへきたもんだ 故郷は慣れて何百里」
この「何百里」がいいよね。
さすが武田鉄矢、という感じ。
最近は俳優業が忙しいみたいだけど、また歌を聞きたいね。
他に浮かんだのが和歌。
特に百人一首の歌が浮かんだ。
あまのはら ふりさけみれば かすがなる みかさのやまに いでしつきかも
天才阿倍仲麻呂の歌ですね。
長安で官吏として過ごし、結局日本に帰れなかった、天才であり秀才。
帰りたい、という思いが切実に伝わる。
と同時に自分はいま中国で留学中、という心境が重なって、時々妙に思い浮かびました。
最近はよく浮かぶ歌に、同じく百人一首の
もろともに あはれとおもへ やまざくらはなよりほかに しるひともなし
があります。
色々あって昔の同僚と交流することもすっかり減りました。
家族は日本で元気にしているようだけど、会って話をする機会はすっかり減りました。
学生時代の友人とはもうすっかり音信不通です。
もう山桜も終わった季節ですが、散り忘れて一つ二つ残った桜を見ると、思うところがありますね。