射場でのび太君がスマホを見ながら素っ頓狂な声を上げた。

 

「日本で夜店が中国人向けに入店無料!」

 

ん?なんだかよくわからない。「夜店って何?」と聞くと、のび太君は一瞬考えて「風俗店」と答えた。

 

周りのメンバーが「それって本当にあってる解釈なのか?」と言うが、のび太君は「多分そうだと思う」と言う。

 

ひとしきり中国語の夜店と日本語の夜店について話をして理解を深める。

 

夜店…漢字は同じだが、日本語の夜店には賑やかなお祭りのイメージ。あるいは人通りの多い屋台。

対して中国語では、赤線街の風俗店のイメージ。

 

全く違いますね。

 

ところで、中国人は日本の風俗店で入場無料なの?

 

のび太君は入場は無料だけどサービスは有料でしょ?との見解。他の射場メンバーの見解は「入るだけならだれでも無料じゃないの?」

 

まぁ、そりゃそうだ。で、射場の会員の一人がさらに質問。日本の風俗店は合法なのか?という疑問だね。ま、中国ではいわゆる風俗店はすべて違法だから、摘発されれば監獄だ。

 

日本の風俗店は法律上1類から3類に分類される。1類は店の従業員が性的嗜好を持った客に対して自らの身体によるサービスを提供するというもの。2類は主に飲食を提供し、享楽のために客自らが遊戯を楽しむもの。3類は麻雀店。それぞれ出店の規制があり、一番制限が緩いのが3類。

 

ここまで説明すると、何人かのメンバーが話に入ってきた。1類はまあわかる。2類は何するの?という事なので「まあ大体女の従業員が客にお酒を注いで、カラオケを一緒に歌ったりするイメージかな。」で納得した様子。3類の議論が一番盛り上がったね。そもそも麻雀店、いわゆる雀荘は風俗店なのか?とか、規制対象にする意味が解らない、とか、根本的な問題として、麻雀は家族で一緒に家でやるゲームで、外の店でやるゲームじゃないだろ、とか。さすが麻雀の本家本元、老いも若きも麻雀には一家言ある。

 

さらにボスが話に入ってきてややこしくなってきそう。

そもそも店があるという事は需要があるという事だ。少なくとも俺の家では年2-3回しか家族麻雀をしない。春節と清明節だな。春節は長いから何回かすることもあるけど。

これに他のメンバーが同意する。要するに全員が麻雀をするけど、全員が同じ時期に麻雀をするから、店を開いても他の時期は開店休業になってしまう。結婚式とかお葬式とかで友人や家族が集まったときに麻雀をすることがあるけど、さすがに毎日結婚式はしない…などなど。

 

ボスの疑問。なぜ日本は麻雀の需要があるのか。この質問に対して私の回答。単純に言えば、ルールが統一されたゲームになっていて、偶然性と思考の両方が関わる面白さがあるからだと思う。

ボスはルールが統一されているという点には同意だという。中国の麻雀は花牌、季節牌はおろか、三元牌、風牌まで入れる地域と入れない地域がある。嘉定では花牌まで入れるけど季節牌は入れない。でも、上海の他の地域では花牌も入れない。四川では三元牌は入れないが、西北では字牌は全部入れない。ここまで使う牌が違うと、もはや同じゲームとは言えない。店を開きたくても、牌を何枚準備しなければいけないのかわからないし、営業のしようがないな。

 

ボスには言わなかったけど、麻雀は中国で発明されて日本に伝わったゲームの中で、囲碁と並んで日本でプロリーグができるほどの人気ゲーム。囲碁は平安の昔から遊ばれているけど、麻雀は人気が出たのは昭和に入ってからなので、歴史的な時間に差があるけど、どちらも高尚なゲームだと思う。