閑だ。日曜日だし、会社もないし、前回の駐在の時はこういう時は高島屋に行ったり、漫画喫茶に行ったり、それなりに過ごし方があったんだけど、嘉定は何もない。

 

昨日アーチェリーの帰りに少し歩いてみたけど、ショッピングモールみたいなのはあるけど漫画喫茶はない。というか日本食の食材が打っていないから、中華以外の食材が手に入らない。これでは料理ができない。趣味は料理で、日本にいる時は休日にたくさん料理を作ってタッパーに保存、平日の弁当やおかずにしてた。

 

でも今はそんなことできない、コンロが無いし電子レンジもない。上海ではデリバリーが盛んで、単身の若者は料理なんかしないんだと。特に去年一昨年のコロナの頃はデリバリーだけが唯一の外界との接触で、みんな料理をせずにデリバリーだけで暮らしていた、という話も聞く。だからコンロや電子レンジのある単身者向けマンションは、上海の日本人街とかでなければ殆ど無理。嘉定では存在しない物件かな。

 

とにかく暇なので昼ごはんにマックを食べた後、またアーチェリー場に来てしまった。昨日アーチェリー場のあるビルの一階にマックを見つけたんだよね。

 

天気もいいしね。外出には良い時間だ。アーチェリー場は結構込み合ってるな、と思いながらのび太君を探すと、コケティッシュでかわいらしい娘さんが声をかけてきた。「初めてですか?」

 

自分は昨日ここに来た、メガネの男の子に色々教えてもらった、と答えると、それなら今日も遊んでいきますか?と言われたので、アーチェリーをすることにした。娘さんはアルバイトだそうだ。ちょっとメルモちゃんに似てる。あとで聞いたらのび太君は正社員だという事。結構しっかりした会社なのか?

 

「今日はどの料金体系にしますか?」メルモちゃんが確認しに来たけど、こっちは暇つぶしだからなぁ。「とりあえず一時間あそんで、それから料金体系について相談させてもらってもいい?お金はちゃんと払うから」と無理なお願いをしたら、なんか衝立の向こうで相談してる。あの屏風の向こうにはボスがいるのかな?

 

まず1時間、その時点で料金体系決定というイレギュラーなアイディアに同意を得て、私は今日人生三回目のアーチェリー。でも、アーチェリーって所詮は遊びでしょ、と思っていたらビシュッ、バシュッ、という重い音が聞こえてきた。のび太君が矢を打ってる。なんだ?あのカブトムシみたいな鍬形みたいなものは?それにずいぶん奥の方まで矢を放っているようだ。まあいいや、遊び方は人それぞれだし…と思って10mで「ぱふっ、ぱふっ」とアーチャリーで遊んでいた。

 

「それでは授業を始めます」後ろで若い声がしたので何となく振り返ると、隣のエリアで若いお姉さんが海坊主みたいな男の人に声をかけてる。はきはきしたお姉さんだな、なんだかサリーちゃんに雰囲気が似てる。そのサリーちゃんは男の人に個人コーチをしているようですねぇ。たかがアーチェリーに、と思っていたけど、コーチを付けるほどのものなの?

 

サリーちゃんの話をなんとなく聞いてみると中々に合理的だ。曰く右手はまっすぐ、胸をこするように引いてくる。あごの下で位置を決めて肘を真後ろに引く、なぜか。矢は加えられた力の方向、すなわちベクトルに従ってたわむ。矢の先と後が一直線に的に向かっていたとしても、加えられる力が矢の直線方向にまっすぐ加えられない限り、矢は直進しない…。

 

なるほど、と思った私は昨日教わった「ほほの右につける」に加えて、弓の弦の引き方を少し真後ろ方向に意識してみた。そうすると、面白いように真ん中の黄色に当たる。時々周りの赤いところにはみ出すけど、昨日より全然面白い。

 

「お名前は?」その日は結局3時間アーチェリー場にいて、それだけで480元になる計算だった。だからダメもとで月会員になる、と言ったら名前を聞かれたので答えたら、「日本!?」と一瞬反応があったがそれだけ。特に問題なく月会員になれた。ラッキー。又来ます、と言って帰ろうとすると、サリーちゃんがやってきて「ボスが呼んでる」と言った。何何何、何が始まるの?

 

「そう、これからの季節はもう少し涼しくなるはず、でも最近は異常気象だからね。」ボスと二人でベランダのテントで串焼きを肴にお酒を飲んでる。定期会員を歓迎する飲み会だそうだ。まあ、まだ6時前だし空もまだ明るいし、ゆっくり話しながら親睦を深めるのも悪くないな。同じ定期会員なら、愛想のいい従業員に囲まれてた方が楽しく過ごせるし。

 

結局そのあとベランダから屋内に場所を移して、サリーちゃんやのび太君、メルモちゃんや誰やら彼やら6-7人で、10時過ぎまで酒盛りになった。色々な話を聞いたけど、結構ショックだったのはアーチェリーが世界的には結構メジャーで、オリンピック種目にもなっていること。それに付随する情報としては、上海でワールドカップが毎年開催されていて、上海のアーチェリー人口はまあまあ多いこと。でも中国全体でみるとアーチェリーはマイナースポーツで、世界的に圧倒的に強いのは韓国であること。

 

また、このボスはこのアーチェリー場を「アーチェリークラブ」と認識していて、スポーツクラブというよりは社交場みたいな位置づけでいるらしい。アーチェリーの愛好家は一部のアスリート級プレーヤーを除いて、みんな金持ちらしい。とはいえ、年に4回上海市市民体育大会でアーチェリー部門があるから、「金持ちの道楽」では全然なくて、お金をかけながらストイックにスポーツとして向き合っている人ばかりらしい。

 

「アーチェリーってお金がかかるスポーツなんだよ」とはボスの言。曰く、このクラブでは無料の弓や矢を貸し出してるけど、本来は全員自分の弓や矢を持つ必要があるらしく、これが相当高価なものらしい。また、他の国でもそうだと思うけど、という但し書き付きで言うには、基本的にアーチェリー場以外で弓を引いてはいけないルールになっているし、安全管理者や安全指導員がいないときには練習してはいけないらしい。だから、自主練とか難しくて、必ずアーチェリー場で練習することになるけど、これが結構高いお金がかかる、という事だった。

 

この話を聞いて、これから先、趣味として遊びのアーチェリーを続けるか、ちょっと迷った。