昨日8月12日は、

35年前に日航機が御巣鷹山に墜落した日だ。


あれから35年。


当時、私は21歳。


その日は、バイト先の大阪のシティホテルのフロントで、バイトとしてフロント業務を行っていた。

 

日航機が墜落したというニュースが流れ、

本当に電話が多かった。


出張や旅行で大阪に向かった人の家族が、無事についているのかどうか、

そんな電話が鳴りやまなかった記憶がある。

 

次々と電話がなり、宿泊予定者がチェックインしていき、電話があったメッセージを伝えたりした。

 

まだ、携帯電話がない時代。

約束した場所に来なかったら、ずっと待っていないと会えない。


そんな時代だった。

 

夜、遅くになっても、ひとりだけまだチェックインしていないお客様がいた。


ご家族の電話が何度もかかってきていた。

 

予約していても、連絡なく、来ないお客様はいつも少なからずあった。


しかしながら、その人は、いつも宿泊頂く常連客。

 

もしかして、墜落事故に巻き込まれたのだろうか?

そんなことも、私を含めたフロント従業員は考えた。

 

夜、12時くらいだったろうか。



静まり返った1階のフロント前。


 

すーっと、自動ドアが開き、


少し千鳥足の酔ったおじさんがこちらに向かってくる。

 



あー!〇〇田さん!

我々、フロント従業員は大騒ぎした。

 

最後のお客様が無事、到着した。

 

日航機が墜落し、ご家族が心配して何度も電話があった旨をお伝えした。



すると、そのお客様は、

「いや、その飛行機で来る予定で予約してたんだが、用事が入って新幹線で来ました」と。



強運に恵まれた人を目の前にし、

運、不運は紙一重だなと思った。


しかし、それならそれで、飲む前に家族に電話すればいいのに。

とは、そのときは頭がまわらなかった。

 

このお客様が飛行機をキャンセルし、別の誰かがあの飛行機に乗ってしまったのだと思うと、

なんともいえない感覚があったように思う。


あれ以来、飛行機嫌いになった私だったが、

ここ数年、出張が増え、飛行機に乗ることが多くなり、恐怖心も消え去った。

要は慣れであろうか。

 

自分が気づかない間に、運、不運、

神様に助けられていることもあるのかもしれない。

 

今、生きていることに感謝だ。

 

合掌。