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熊猫応援団

 

中国のボーイズグループ熊猫堂ProducePandasは7月28日にデビュー5周年を迎えました。おめでとうございます。花火
現在、5周年イベントのため来日中です。

 

6月に公開されたインタビュー動画があるのですが、示唆に富んでいて、5周年の話題にちょうどいいと思うので取り上げてみます。

 

YoungArtist_Lab 

 

6月13日、「YoungArtist_Lab」というアカウントが熊猫堂のインタビュー動画を公開しました。これは同アカウントが主催したライブイベントに出演するにあたり公開されたものです。

 

bilibili YoungArtist_Lab(デスクトップ表示で)

bilibiliの投稿

 

  熊猫堂インタビュー

 

まず、動画のタイトルと説明文が、熊猫堂のこの5年を上手くまとめていると思います。

熊猫堂:出道5年,荆棘中搭建舞台

(熊猫堂:デビュー5年,茨の中でステージを築く)

这也叫男团?争议从第一次登台就未曾停止。追梦很难,坚持更不简单。以梦为马,不负韶华。一路逆行,直至站上下一个,再下一个舞台。每一天,努力都在结成甘甜的果实,响应的回声不仅只来自于起点,甚至从世界各地汇集。

(これもボーイズグループと言えるのか? 初めて舞台に立った時から論争は絶えたことがない。夢を追うのは難しく、続けるのはもっと大変だ。“夢を馬として駆け、青春を無駄にしない” (以夢為馬 不負韶華) 。逆境の中を次のステージまた次のステージへと進む。努力は日々甘い実を結んでいて、反響は足元からだけでなく世界各地から集まっている)

 

  熊猫堂の代名詞

 

以下、インタビューの一部を勝手に要約してみます。翻訳ではありません。

 

▶Q1.「全アジア唯一のプラスサイズボーイズグループ」や「XXXXLサイズのボーイズグループ」といった代名詞についてどう思う?[00:45]

 

🌵卡斯:「唱跳」(ダンスボーカル)の文字が足りない。「全アジア唯一、プラスサイズの“ダンスボーカル”グループ」

 

🐷陳鼎鼎:そう言わないと雑技団や声楽グループと勘違いされるかもしれないから。

 

▶Q1-2.「フィジカルアルバムが日本のオリコンチャート入り」という売り文句についてはどう思う?[1:00]

 

🐷陳鼎鼎:

熊猫堂はデビューして今年で5年になる。これまでソロ作品も含めて休まず音楽作品を出してきた。それが海外でも気に入ってもらえるなら光栄だし、中国の文化や音楽を海外に届けられるなら、ますますいいことだと思う。

 

🐳七哈:

日本のランキングだけでなくいろんな国に進出したい。

 

  日本での活躍

 

▶Q2. 日本市場への進出を決めたのはいつ頃?[1:20]

 

🐷陳鼎鼎:

最初は歌やダンスのカバーが海外のファンの目に留まり、徐々にフォロワーが増えていった。私たちも海外に進出し、2年前に日本でのコンサートを試みたところ、予想以上に良い反響があった。

(中略)

今は国内のライブも北京だけでなく、全国ツアーやソロライブもやっている。海外からわざわざ来てくれるファンもいて感動している。

 

  舞台について

 

▶Q3.「中国のアイドルは冷凍餃子のようだ」と言う人がいる。「鍋に相当する舞台がなく、冷凍庫の中で痛んでいくだけだ」と。それについてどう思う?[2:00]

 

🐷陳鼎鼎:

国内の芸能界の状況としては、確かに舞台の数は少ない。でも、国内のアイドルに実力がないとは思わない。みんなに見てもらえる機会がないだけだと思う。

 

みんな舞台を獲得するまでの過程を大切にしているし、諦めず続けてきたことを愛している。私は彼らがが努力して自分の業界で輝き続けられると信じている。

 

▶Q4. デビューして5年。舞台というものをどう考えている?[2:30]

 

🐷陳鼎鼎:

舞台は私たちにとってチャンスだと思っている。できるだけ力のある曲でひとつひとつの舞台を支えていく。それが熊猫堂の取り組んでいることなのだと思う。

 

手の届かない舞台もあるし、立てなかった舞台もあるが、それは関係ない。熊猫堂は今も作品を出し続けていて、私たちのエネルギーや楽しさを伝え、音楽を通してみんなに寄り添っている。
 

舞台に立てるなら立ちたい。でも、立てなかったからといって、私たちに実力がないということではないと思う。芸能界の枠は限られているのに、舞台に立ちたいという人はあまりに多いからだ。そこには色々な要素が絡んでいる。でも、私たちが愛する歌やダンスを続けていくことには影響しない。私たちは作品を送り出し、熊猫堂の楽しさを大衆に届けていく。

 

  作品作りについて

 

▶Q5. 熊猫堂の生存哲学とは?[3:15]

 

🐷陳鼎鼎:

作品が大事だと思っている。
韓国系オーディション番組(青春有你3)に参加した頃、これからは作品で示していくしかないと話し合った。

実際に熊猫堂の曲は多くの人に知られている。たとえば「以夢為馬」は大学入試の時期に受験生に力を届けることを目指したものだ。

 

私たちは「熊猫堂が大好き。熊猫堂の作品はどれもいい」と言われたいわけではない。色眼鏡で「全部いい。全部好き」と言われるのは、私たちにとってはいいことかもしれないが、それは作品が市場で評価されることの意義を失っているかもしれない。

 

それから、今後も創作を続けていけたらと思う。今後の曲にはメンバーも参加し、それぞれの時期に応じて異なるスタイルの作品を作っていく。

 

小劇場では、自分たちで考えた新しいスタイルの公演をしている。舞台劇やコメディ、歌やダンスを組み合わせたものだ。観客に新しい体験を届けたい。会場に来てもらえばリラックスしてもらえるはずだ。最初の公演のテーマは「拯救不开心」(不機嫌を救う)だった。

 

🌵卡斯:

私たちの核になっているのは……例えば海外公演の入国審査で渡航目的を聞かれた時、「私はエンターテイナーだ」と答える。私たちはみんなを楽しませてハッピーにしたい。それで十分だ。

 

  世間の声の変化

 

▶Q6. デビューから今まで、熊猫堂に対する大衆の審美的な評価に変化はあった?[4:30]

 

🐷陳鼎鼎:

番組(青春有你3)終了後に消えていった人も多いが、私たちのように諦めず愛を持って続けている人もいる。論争の的になったり、あれこれ言われたりしても、そういう声には動じなかった。

 

当時、熊猫堂が自信を持って舞台に立つ姿を見て手紙を送ってくれた人がいた。私たちが追っている夢は、多くの人が追いたくても追えなかった夢、逃したチャンスなのかもしれない。熊猫堂は彼らの代わりに夢を追っているようだ。これは本当に光栄なことだと思う。

 

▶Q7. 最初は奇異の目で見ていたけど、後から好きになったというファンはいる?[5:10]

 

🌵卡斯:

オーディション番組に参加していた時は、閉鎖的な環境で収録されていたので外部の声は聞こえなかった。番組を離れた後、周りから「ネット上ではネガティブな評価が多いかもしれない」と言われた。でも、最近になって、番組のファンだった人たちがライブ配信に来てこう言ってくれる。「あなたたちの初舞台が好きだった。最初は遊び半分で出演したと思っていたけど、実際は本当に実力があった」

 

🐷陳鼎鼎:

注目や論争の的になっても私たちには何の影響もない。“不協和音”の声があってもいい。私だって歌う時たまに音を外すしね(笑)

 

  アーティストかアイドルか

 

▶Q8. 「熊猫堂は海外ではインディーズミュージシャンのような位置づけだが、国内ではアイドルのシステムやルールに合わせる必要がある」と評する声がある。これには同意する?[5:40]

 

🐷陳鼎鼎:

アイドルであれインディーズミュージシャンであれ、熊猫堂にとっては対立するものではない。

 

私が思うアイドルの基準は、ファンとの間に精神的なつながりがあることだ。ファンは私たちをロールモデルとして見てくれることがある。

私たちはみんなに寄り添い、ファンは作品や舞台から精神的、情緒的な価値を得られる。

 

アイドルとはみんなを慰め、そのアイドルを追うことに意義があると思わせてくれる存在だと思う。感情的な価値を与えてくれて、日常のストレスを和らげてくれる。歌を聴いたり舞台を見たりすると心地よくなれる。それがアイドルの価値だと思う。

 

🌵卡斯:

熊猫堂は二つの立場を両立していると思う。
インディーズミュージシャンとしては、頻繁に新曲やMVを発表し、舞台を探している。インディーズミュージシャンとしてやるべきことをやっている。

 

アイドルとしても、ファンにポジティブなエネルギーや楽しさを届けたいと思っていて、アイドルとしても成立していると思う。
どちらの立場も熊猫堂にふさわしいと思う。

 

  デビュー5周年について

 

▶Q9. デビュー5周年を迎える今の気持ちは?[6:30]

 

🌵卡斯:

昔からよく言われるように「あきらめるのは簡単だが、続けるのは難しい」。私たちも6年間続けられるとは思っていなかった。しかも、このインタビューの収録前にも新しい作品の制作を進めていた。これは中国の芸能界では貴重なことだと思う。

 

たとえ環境がみんなの言うように悪くても、私たちを評価してくれる人が少なくても、それでも今も続けている。熊猫堂は6年続いてきたし、これからも続けていこうと思う。

 

※卡斯が6年と言っているのは訓練生時代も含めた年数か?

 

🐷陳鼎鼎:

私たちは青春という大切な時間を熊猫堂に投じた。今思うとその価値はあったと思う。この先の道がどんなに長くても、 私たちは今を楽み、ひとつひとつの作品をいいものにし、ひとつひとつの舞台をしっかりと踏みしめていく。

 

完了 おしまい

 

蛇足1:中国でのジャンル分け

 

インタビューで最も興味深かったのが、「海外ではインディーズミュージシャンのような扱いなのに、国内ではアイドル枠に適応しないといけない」という意見です。日本でも十分アイドル扱いだと思いますが、なぜこういう意見が出てくるのか、ちょっと考えてみました。

 

熊猫堂はもともと、インタビューの冒頭で卡斯が言っているように、「唱跳男団」(ダンス・ボーカル・ボーイズ・グループ)と自称してきました。熊猫堂がアイドル(偶像)という言葉を使うようになったのは『青春有你3』の少し後でしょうか。

 

中国では(日本に比べて)グループの数もバリエーションも少なく、アイドルグループとして許容される範囲が狭いように感じます。そのなかで熊猫堂がかなり異質な存在なのは間違いありません。かといって、中国には「非アイドルのダンスボーカルグループ」という枠もなく、アイドル以外に当てはまるカテゴリーはなさそうです。

 

また、音楽番組やイベントはジャンルごとに細分化されていることも多く、仮にアイドルというポジションを手放せば、中国での活動の場を失ってしまうかもしれません。たぶんそれが「国内ではアイドルのシステムやルールに適応しないといけない」ということなのだろうと思います。

 

蛇足2:祝5周年

 

この5年間は驚かされることばかりでした。

そもそも熊猫堂のようなグループが中国の芸能事務所からデビューできたことが驚きですが(しかも予想以上にメインストリーム志向だった)、その後の活躍もデビュー時には想像できなかったことばかりです。
 

青春有你3。以夢為馬。数十曲ものオリジナル曲。新人賞。CCTV。NHK。日本での活躍⋯⋯。
(それから『青春有你3』でアイドルファンに叩かれながら、「漸近自由」で同じような層の人々を魅了したことも)

 

確かに熊猫堂は見るからに苦労しているのですが、多くの制約や不利な条件のなかで、世間の予想を打ち破るような成果を残してきました。これからはその実績が次の熊猫堂を支えていってくれることを願っています。