中国のボーイズグループ熊猫堂ProducePandasは、4月11日から14日にかけてタイのバンコクでライブやイベントを行いました。

 

タイの主催者の叉包(Daniel)さんが長文のブログを投稿し舞台裏を語っています。これが非常に面白かったので、具体的なエピソード部分を勝手に抜粋、勝手に要約してみます。結果的に原文の半分くらいしか拾っていません。

 

タイ公演の主催者の投稿

 

写在熊猫堂2025曼谷演唱会之后 [2025/04/17 bilibili 叉小包]
2025年04月17日 19:31

  • 私は2023年に上海からバンコクに移住した。この2年間、バンコクで熊猫堂のライブを開くことを目標に人脈を築くなど努力してきた。
  • 今回のライブまでには紆余曲折があった。一度は決まりかけた話が契約直前になってビジネス上の条件をめぐり衝突し、中止になったこともあった。今回も多くの不測の事態や大地震にも見舞われた。
  • バンコクでのイベントはすべて無事に終わったが、この短い1週間の背後には2年に及ぶ計画と2カ月の慌ただしい準備期間があった。その裏話を少しだけシェアしたい。

 

▶政府の公認を取り付ける

  • 当初は2024年9月末にバンコクでコンサートを行おうとしていたが中止になった。関連企画も宙に浮いたが、いつかまた実現することを願っている。
  • ミャンマーの特殊詐欺グループによる誘拐事件が起き、2025年の初めには中国のSNSでタイ旅行の安全性を疑問視する声が広まった。この空気感は私たちの計画にも影響した。2024年12月には少し形になっていた協力関係も、2025年の春節(1月29日)過ぎまで延期となった。
  • その間、私たちは「BEAR CRAFT」というブランドを立ち上げ、人脈を使ってタイ国政府観光庁に接触した。最終的に公式イベントとして招待され、そのおかげで観光庁のキャンペーン「Amazing Thailand」の公式ロゴを使用でき、熊猫堂のビジネスビザも申請できた。
  • 政府の関連部門とのやりとりには多くの時間と労力を取られたが、公認を得ることで、今回のイベントが安全なものだとメンバーやファンに安心してもらいたかった。実際に、出演者やスタッフ、ファンには安全で楽しいソンクラーンを過ごしてもらえた。私たちの努力が報われたと感じている。
  • しかし、政府の関連部門との調整のため、コンサートの発表が遅れてしまった。すでにソンクラーン旅行を計画していた中国や日本のファンが予定変更を迫られたり、参加を断念せざるを得なかったことを申し訳なく思っている。コンサート後のイベントも同じように細部の調整が必要で発表が遅れてしまった。

 

▶ミャンマー大地震発生

  • 3月28日、タイ時間の午後1時30分頃、ミャンマーで発生した大地震がバンコクにも及んだ。
  • 私は自宅で大きな揺れを感じ、着の身着のままスマホも持たずに20階以上の階段を駆け下りた。これほどの地震は経験したことがなかった。
  • 一番被害が大きかったのはグッズ担当のKenだった。彼のアパートには大きな亀裂が入り、廊下の天井は剥がれ落ち、全住人は1週間の立ち入りを禁じられた。彼は友人たちの家のソファを転々とするはめになり、グッズやポップアップストアの準備が大幅に遅れた。結果、会場でも様々な問題が発生したことをお詫びしたい。

 

▶言葉の壁

  • 大きな挑戦のひとつは言語だった。チケット購入者の半分はタイのファン。残りは中国、日本、シンガポール、マレーシア、アメリカ、ベトナム、オランダ、インドネシア、フィリピン、そして香港・台湾地域と、予想以上に国際的だった。
  • 私たちは宣伝や通知などを英語、中国語、タイ語、日本語の4言語で行うよう努めた。しかし、現場での4カ国語同時通訳は時間の制約や経験不足もあり難しく、コンサートは中国語とタイ語のみ、ワークショップは中国語と英語で行った。
  • 今後はより良い多言語サービスを提供したい。(DINGLISHの通訳はまだ見つかっていないため情報求む)

 

▶スポンサー

  • 参加者にバンコクでの滞在をより楽しんでもらえるよう、複数のスポンサー特典を提供した(レストランやマッサージ店、美容サロンのクーポン。地元飲食チェーンによるワークショップ用のドリンク提供。地元ブランドによるパタヤ旅行用アロハシャツの提供)。来年はもっとスポンサーを集め、より多くのサービスや特典をファンの皆さんに提供したい。

 

▶会場でのトラブル

  • 会場を使える時間は24時間しかなかったのだが、設営のために会場入りしたところ、空調に問題があることが発覚し、会場変更を即決しなければならなかった。
  • 新しい会場にも問題があった。ここには必要な機材が足りなかったため、高額なLEDスクリーンや、照明、コンソールなどを追加でレンタルすることになり、経費が大幅に増加した。
  • さらに、新しい会場の空調は連続で8時間しか使えなかったため、リハーサルは当日の午後にしか行えなかった。
  • 舞台監督からは赤字になるかもしれないと言われたが、熊猫堂を毎年バンコクに呼びたいと思うなら、舞台演出を最高のものにしなければならないという結論に達した。

 

▶パタヤ市長の参加

  • パタヤでの一日体験企画が決まった後、驚きのニュースが届いた。パタヤ市長が直接、熊猫堂を歓迎してくれるというのだ。4月14日はソンクラーンの祝日中だったため市役所は使えず、市長も休暇中だったが、プライベートの時間を割いて会場まで足を運んでくれた。
  • 4月14日は家族で過ごす「家族の日」でもあった。市長は年長者として熊猫堂にソンクラーンの伝統的な礼拝の仕方を教えてくれた。ソンクラーンは単なる街頭での水鉄砲バトルだけでなく、祝福に満ちたひと時もあるのだ。
  • (その他、協力者への謝辞)

 

▶熊猫堂スタッフとの友情

  • 熊猫堂スタッフの拍拍と悪魔とは知り合って10年以上になる。彼らは音楽の夢を追い、余暇を使って熊猫団PandaBrosとして活動し、最終的にはキャリアを捨てて新しい音楽業界に飛び込み、熊猫堂をゼロから作り上げた。熊猫堂のメンバーもまた同じような選択をした。
  • この小さな音楽の夢の種はこんなにも大きく広がり、世界各地で、夢が発する声を必要とする人たちを励ましている。私はバンコク公演の準備期間は1週間でも2カ月でも2年でもなく、10年以上にわたる友情によるものだと思っている。

 

▶最後に

  • (関係者への謝辞)
  • 私たちは毎年のソンクラーン期間に熊猫堂やファンの皆さんと会えるよう願っている。
  • 「这缘分不可思议,我们在一起。」
    (この不思議な縁、君と一緒にいる)※「漸近自由」のラストの歌詞

 

パンダ

 

この投稿をシェアした悪魔のコメント
bilibili

  • 叉包(Daniel)がタイに移住してすぐ、「タイでコンサートする?」と言ってきて、そこから長い道のりが始まった。
  • 最初の提携先は契約前に急に条件を変更してきたので、私たちは諦めるしかなく、2024年に開催するはずが半年以上遅れた。
  • 2024年の国慶節(10月1日)の頃、今のチームの中心メンバーであるAimと出会い意気投合し、協力が決まった。

 

拍拍の投稿

 

叉包さんの投稿の直前に、拍拍さんも文章を投稿していました。ふたつの投稿に直接の関係はないと思うのですが、なんとなく繋がりも感じたので、こちらも勝手に要約します。

 

微博 拍德Young
2025年04月17日 19:21

  • バンコクのゲストハウスの壁に、故プミポン前国王の肖像画があり、そこに彼の名言が書かれていた。
  • “善良な人は他の人を善くすることができる。つまり、善良さは社会の中で善を引き出し、それによって他の人々も善くなっていくということだ。”
  • 私が思うに、これは、人々が社会の中で共通の理想を実現するため、行動を通して積極的な信念を広め、互いに影響し合い、受け入れ合い、手を取り合って前進していくことだとも言えるだろう。
  • 人が様々な状況や試練に直面した時、学術の世界では科学的な対処法が説明され、ビジネスの世界では実戦的な経験や戦略が共有され、家族や友人の間でも様々な処世術のアドバイスが共有される。
  • しかし、積極的な信念には、自己の探求や覚醒、認識、粘り強さがより強く求められる。その過程で、人々の信念のエネルギーは互いを引き寄せ、同じような認識と粘り強さを持つ者同士を巡り会わせる。そして道中の得難い仲間となるのだ。
  • たとえ、それがどんなに険しく困難な道だとしても。

 

🐼

 

全体的に抽象的な話ですが、最後の一文「たとえそれがどんなに険しく困難な道だとしても」(无论/这条路有多崎岖、多难行)は、改行した上に行間も空けてドラマティックに書かれていて、拍拍さんの実感がにじみ出ているようです。

 

もうひとつ注目したい一文があります。

“人们信念的能量相互吸引让自己能遇到同样认知与坚持的人成为路上难得的伙伴”

(人々の信念のエネルギーは互いを引き寄せ、同じような認識と粘り強さを持つ人と巡り会わせ、道中の得難い仲間となる)

 

拍拍さんは昨年末も似たようなことを書いていました。

“对我们的热爱我们一定要认可、坚持、付诸于行动,在追逐热爱的这条路上,我们还能找到思想上和价值观上相知相守的伙伴们” [微博

(自分の中の情熱的な愛を認め、持ち続け、行動に移さなければならない。愛するものを追い求める道の途中では、思想や価値観を理解し支え合う仲間を見つけることもできる)

 

そしてこれは「世界所有的爛漫」のMVで引用されたゲーテの言葉の中国語訳を思い起こします。

“但当我们能无视山海的距离, 与思想和信念上的同类相遇。即使路途遥遥, 也依然能灵魂相伴”

(山や海の距離を無視し、思想や信念を同じくする仲間と出会える時、どんなに道のりが遠くとも、魂は寄り添っていられる)
スクショ

YouTube


熊猫堂は「遇見」の予告投稿でもこの画面を引用していたし[bilibili]、熊猫堂にとって重要な意味を持っているように見えます。

 

そもそも、ゲーテの文章を中国語に訳したのは拍拍さん(ともう一人のスタッフ)でした。しかも「世界所有的爛漫」の歌詞に合わせてかなり意訳されています。もしかしたら、拍拍さんがゲーテの言葉に影響を受けたというよりも、普段から考えていることをあの中国語訳に託したのではないか、という気もしてきました。

 

完了 おしまい

 

熊猫堂5周年イベント

 

7月から8月にかけては、熊猫堂のデビュー5周年を記念するイベントが日本と中国で開催予定です。
bilibiliInstagram ほか

  • 7月14日 5周年記念曲「Jump! Step!」配信
  • 7月26日 東京・新宿 タワーレコード新宿店インストアイベント
  • 7月27日 静岡・伊豆 トコトコ真夏の大冒険!熊猫堂 on イルカステージ HAPPY SHOW TIME
  • 7月28日 東京・上野 ミュージカル「Cheer Up」@飛行船シアター
  • 8月09日 北京 5周年コンサート
  • 8月10日 未発表イベント

 

CDジャーナル

 

音楽雑誌『CD Journal』では、今号も熊猫堂のインタビューが掲載されています。

 

CD Journal 2025年夏号
2025年6月17日発売

CDJournal

【CDJ PUSH】熊猫堂ProducePandas/熊猫堂_崔雲峰 Otter
 今回の熊猫堂は、昨年来日時の写ルンです画像を大公開&バンコク公演、5周年などについて聞いたメール・インタビュー、そしてソロで来日を果たした熊猫堂_崔雲峰 Otterのソロインタビューというデラックス仕様でお送りします。全員プレゼントも熊猫堂、Otterソロの2種類あります。
Amazon

 

CDジャーナルの公式ショップでは、熊猫堂や峰峰のポスター付きで販売中。

 

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