負けない作法

帝京大学ラグビー部監督

岩出雅之

帝京大学准教授

森吉弘共著

集英社刊

2015年3月31日第1刷発行 より引用・転載します

 

 

作法1 

自分を知り、自分をつくる

 

「幸せ」とは何か

 

  [作法0]では、

『負けない』作法の大前提となる「5つの基本」と、そこで非常に大切な姿勢が、

「自分を常にニュートラルな状態に置く」ことだと書きました。

  また、人にとってベストな精神状態とは、

マインドが整っていること。つまり、落ち込んでも興奮してもいない、心が落ち着いた状態が一番良い、とも書きました。

 

  ここで大切になるのが、自分にとっての「ニュートラルな状態」とはいったいどんな状態であるのか、「マインドが整っている」とはどんな感じなのかを、自分自身がきちんとわかっていなければならないことです。

  [作法1]では、そもそもの「自分」についてを取り上げ、自分を知り、自分をつくっていく作法を紹介していきます。

 

  さて、まず幸せについて考えてみましょう。

 

  あなたにとって、幸せとは、どんな状態を指しますか?

 

  「おいしいものを食べているとき」

  「風呂に浸かってリラックスしているとき」

  「仕事で良い成績を残したとき」

  「勝利して、仲間とともに喜んでいるとき」

  「人から感謝してもらったとき」

 

  ・・・・・・いろいろあるでしょう。

 

  なぜ、いきなり幸せについて考えるのか。

  それは、どんな人でも、幸せになりたいと願っているからです。すべての人に共通な生きる目的と言ってもいいかもしれません。

  表現の仕方と多少異なっても、社会には、自分やあるいは大切な人の幸せを願う声があふれています。幸せを願いこそすれ、不幸を切望する声などは聞こえてきません。

  ここでは、幸せには段階があることを理解していただけたらと思います。

 

  幸せには段階がある。そう聞かされると、幸せに優劣があるように受け取る人がいるかもしれませんが、そうではありません。

  あるのは段階です。

  幸せには3つの段階があるのです。

 

  第一段階は、授かる幸せ

 第二段階は、できる幸せ

 そして、最終段階が、

 与える幸せ

 

  この段階を順番に踏まないで、一足飛びに、高い位置にある幸せを感じることはできません。言い換えると、第一段階の幸せを感じる前に、最終段階の幸せを感じることはできない、ということになります。

 

  これは、いったいどういうことなのでしょうか。  

 

 

幸せの第一段階「授かる幸せ」 

 

  [作法0]で、人間がよりよく生きていくための基盤を説明しました。

 

  「大切な身体がしっかりと守られ、安心して生活でき、命が保たれているといった、安全が確保されていること。食べる・眠る・排泄するなどの基本的な動作が、身の危険を感じずに行えることが何より大事なのです。」

 

  そしてその環境は、子ども時代は主に親や保護者によって与えられているものであると説明しました。

  つまり、命を与えられて、その命を守るために安心・安全な環境を与えられている、という幸せがあります。

 

  こうした親や保護者への感謝は、生まれてすぐに抱くことはできません。

  成長し、世の中を生きていく中で、曲がりなりにも独り立ちするなどをしたときに初めて、親へ感謝し、「授かる幸せ」をかみしめることができるのです。

 

  私自身も、どこが自分のベースになっているかを振り返れば、家族、生まれ故郷に感謝することになります。

  父母に反発している人であっても、成長していく過程で、反発しているその親のDNAを感じることもあるでしょう。似ている、と。

  どんなに嫌だと思っていても、その親がいなければ、自分は生まれることはなかった。命を授かることはなかったのです。そのことに、今はまだ感謝できなくても、授かったという事実を感じることはできるはずです。

 

  人は、誰かからさまざまなものを授かり、多くのサポートを得て、こうして生きていられるのです。

  そこに、幸せを感じられるかはどうかは、その人の生き方、または時期やタイミングによるでしょう。今、幸せを感じられなくても、未来永劫、永遠に感じられないということにはならない。生きていく中では、常に誰かからのサポートを得ていくことになります。今、感じることができなくても、この先さまざまな人との関わりの中で、いつかは「授かる幸せ」を感じることができると私は信じています。

 

  自分が生きているということ、命を脅かされずに安心・安全が得られているということ。このベースとなる「授かる幸せ」を感じられることが、第一段階です。

  つまり、自分自身に、自分の命に、幸せを感じられるかどうかが大切なのです。

 

 

幸せの第二段階「できる幸せ」 

 

  多くの人は、親の保護のもとから、いずれは飛び立つことになります。具体的には、成長とともに、さまざまな挑戦が始まります

  たとえば、進級や進学もそうでしょう。新しい友達との出会い、初めての体験、楽しいこと、うれしいことだけではなく、悔しいことや辛い経験も重ねていきます。

  そこには、精神的、肉体的な成長も伴います。社会環境の変化も影響を与えます。それが良いか悪いかはともかくも、たとえば、子どもの頃からスマートフォンやタブレットPC、あるいは音楽や絵画に親しんできた人と、そうでない人との間には、大きな違いが生まれるはずです。

 

  そうこうするうちに、できることへの欲求が生まれます。

  たとえば、仲間ができれば、その仲間に「認められたい」という欲求が生まれます。

  あるいは、「この学校に入りたい」「このチームに入りたい」「勝ちたい」「目立ちたい」などという欲求も生まれるでしょう。

  学校でも地域でもいい、社会の中で、自分以外の人間から評価されることを求めるようになります。

 

  そこには、達成感があり、一方で、失敗や挫折感があります

  どちらか一つだけということはありません。

  そうした揺れ動く中で、「できる幸せ」を感じながら、人は生きているのです。

 

  挫折感から自暴自棄になってしまう人もいるでしょう。まだ未熟なころには、良い指導者に巡り合えるかどうかということも大切な要因の一つです。なぜなら、失敗や挫折は、それだけでは完結しないからです。必ず次につながる、いえ、つないでいかなければならないものだと、私は考えています。

  しかし、未熟なうちは、そこがうまくできない。良い指導者とは、失敗や挫折をどのように「できる幸せ」へ結びつけられるのか、それを導くものだと思います。

  でも、出会いばかりは運不運もある。だから、私は監督として、出会った選手には幸せをうまく感じることができるようなアプローチを常に心がけています。

 

 

自己実現こそ「できる幸せ」の究極の形

 

  トップアスリートが、選手としての自分のキャリアの終盤に、パフォーマンスは落ちてきても、「自分の最高に挑戦したい」「今できることに挑戦したい」と発言することがあります。そこには、勝ち負けや表彰台に上ることへの欲求は、存在していないかのように見えます。

  また、プロスキーヤーの三浦雄一郎さんは、70歳を超えてもエベレスト登山に挑戦し続け、80歳でも3度目の登頂を果たしました。

 

   彼らはなぜ、勝ち負けを意識していないのでしょうか。

  彼らはなぜ、自分自身に挑戦し続けるのでしょうか。

 

  これこそが、「できる幸せ」の究極の形だと思います。

  社会の中でこうありたいと願う欲求は、自分の周囲との関係の中に発生します。「認められたい」「所属したい」「勝ちたい」など。

  しかし、その先には、周囲との関係ではなく、純粋に自分の可能性への挑戦がある。これこそが自己実現ではないかと私は考えています。

 

  それは、「できる幸せ」を存分に感じた先で、ようやく到達できるものだと思います。周囲との関係の中で、「できる幸せ」を追求し切った後に、見えてくる幸せの次の段階。「自分の可能性への挑戦」などと、まだまだ「できる幸せ」を追求し切っていない若者が口にするものではありません自分の可能性への挑戦とは、高次元の自己実現を目指すものだからです。

  だからまずは、周囲との関係の中で、「できる幸せ」をしっかりと感じることを大切にしてほしい。「認められたい」「所属したい」「勝ちたい」「目立ちたい」と、どん欲に幸せを求めてください

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[目次]

はじめに 11

勝ち負けは、結果にすぎない 12

帝京大学のチームづくりは「自分づくり」から 14

 

作法0(ゼロ) 常に行う「超基本」・・・17

「作法」とは何か 18

なぜ「作法」が必要なのか 20

[作法0]自分をニュートラルに保つ5つの基本 21

1 環境を整える 23

2 身体のコンディションを整える 26

3 マインドのコンディションを整える 29

4 振り返りをすぐに行う、何度も行う 31

5 丁寧に日常生活を送る 34

[作法0]では、行動の習慣化をめざすのが目標 37

 

作法1 自分を知り、自分をつくる・・・41

「幸せ」とは何か 42

幸せの第一段階「授かる幸せ」 45

幸せの第二段階「できる幸せ」 47

自己実現こそ「できる幸せ」の究極の形 49

幸せの最終段階「与える幸せ」 51

「自分づくり」は「自分を大切にする」ことから 54

余裕ができなければ周囲が見えない 56

どのように「自分づくり」を進めるか 58

自分の強みと弱みを把握するには 61

自分の「ニュートラルな状態」を知る 63

自分を見つめることは難しい 64

感性をくすぐることから始めよう 66

めざすのは「気骨」のある人間 68

「気骨」に必要なもの 70

[作法1]では、余裕を生むことが目標 72

自分づくりの次は、仲間づくり 74

 

岩出雅之×森吉弘 対談1・・・77

「時代が変わっても、人間の本質は変わらない」~現代の若者像とは?

対談の前に---編集部より 78

人は今も昔も変わらない 79

「今の若者は~」という言い方は間違っている 82

「ハングリーであること」は、人間の本質 85

自然に移行できるような環境を設定する 87

人間の本質は変わらない。ただアプローチが違う 90

 

作法2 『負けない』極意・・・93

『負けない』極意とは何か 94

勝ち負けで大切なこととは? 96

『負けない』状態とは何か? 98

勝ったときでも考える 101

「真ん中に立つ」ことの大切さとは 104

悲観と楽観は同じ線上にある 105

悲観的に準備し、楽観的に実践する 107

気迫と集中力があればいい、というわけではない 109

マニュアルに沿って行動しながらも、マニュアルにとらわれない 111

ピンチを楽しむ心境とは 113

「瞬間」を楽しむ 115

見えないことを気にし始めるとプレッシャーになる 117

過去を手放して、未来を見据える 121

心の体力をつける 123

相手を知る 125

相手よりも少し上をめざす 127

気迫をつくるトレーニング 129

感情だけではダメだが、感情がなくてもダメ 132

 

作法3 『負けない』仲間づくり・・・137

社会が求めることは 138

「仲間のため」の落とし穴 140

その行動は、「献身」か「貢献」か 143

勝者の裏にはたくさんの敗者がいる 146

勘違いするリーダーとは 148

しっかりした行動の手本をつくる 150

余裕をつくる 152

隙間を埋める 155

「リスペクト」を捉え直す 158

尊敬のジャージ 161

楽しく、厳しく、そして温かく 163

意識するのは、仲間との付き合い方 165

 

岩出雅之×森吉弘 対談2・・・171

リーダーに求められるのは「マメであること」~リーダーシップとは?

「俺についてこい!」というリーダーは時代遅れ? 172

誰でもリーダーになれる。なる可能性がある 174

リーダーを選ぶ段階から、仲間づくりがスタートする 177

リーダーに必要な、もっとも大切な能力とは? 180

リーダーの新しい形とは何か? 183

 

作法4 長い人生で『負けない』ために・・・185

「自分で考える」ことの大切さ 186

5W1Hを意識して、行動を振り返る 189

「考える→わかる→できる→楽しい」のサイクルを続ける 191

「想像」と「創造」は違う 193

人生を25年区切りで考える 195

プランニングがあるから「過去」に意味が生まれる 197

勝ってもいい、負けてもいい 200

心の逃げ道をつくる 201

守ることは4つだけ 203

”ねんざ”をしないで生きる 206

誠実な人は、最終的に必ず力をつける 208

 

岩出雅之×森吉弘 対談3・・・213

「未来に続くキャリア」はどうつくる? ~本物のキャリアとは?

20代のキャリアは、40代50代のための”支度” 214

うれしさも、悔しさも、エネルギーに変えられる 217

『負けない』ために必要な強さを身につけるには? 219

必要な自分のできること」を探すこと 221

社会で求められる知性は、計画と挑戦から生まれる 225

 

おわりに 229

今回の反省で見えてきたこと 230

この負けが、未来の準備に変わる 233

厳しさだけが、真の強さをつくるわけではない 235

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大丈夫、なんとかなる 
今日一日に出会った全ての人々に感謝 
いい夢を見て下さい 
おやすみなさい


 

 

*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆ *:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆ *:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆ 

ポチッとな→ http://profile.ameba.jp/flatman175/

≪口だけで、描く男。≫

 

 

flatman.『グロブログロググ‐‐タジログ‐‐』

 

脊髄損傷で寝たきり。
首から下がまったく動かない。


 

それでも、
プロの絵描きになることを本気で目指している。


製本職人の祖父の影響で
紙とペンを玩具に幼い頃を過ごす。
言葉より先に絵を描く事を覚えた。
絵を描く事は日常の一部で
欠かす事の出来ない大切な事だった。

幼い頃に父を亡くし、
それ以来、
不安定な精神状態を
落ち着かせるのも絵を描く事だった。

高校生の頃にドロップアウトする。
その間も精神を安定させるために
ただひたすら描き続けた。

しかし、数年後に社会的に復帰してからは
絵に対して真摯に向き合うことが出来なくなった。

描かないままそのうちに
いつか描けるようになるだろう、
またその時に描けばいいと思いながら
大学生活を過ごしていた。

21歳の春、絵と同じくらい自分とって大切で、
生活の中心になっていた
スノーボードの事故で首の骨を骨折し、
脊髄損傷で首から下の体の自由を失う。
いつでも描けるだろうと思っていた絵を描く事が
本当に出来なくなってしまった。

筆を口にくわえて絵を描いている
作家が何人もいるのは知ってはいたが、
もう動く事が出来ないと認る勇気が無く
自分は筆をくわえる事は出来なかった。

寝たきりになってから全く描けないでいたが
最近になって描く事に対する欲求には勝てないと感じ
口だけでPCを操作し描き始めた。

今思う事、『なぜ描ける時に思う存分描かなかったのか。』



 

自己紹介

はじめまして。
flatman.です。
スノーボードによる事故のため、
頚椎部脊髄損傷(C4・C5)
(cervical spinal cord injury)で
首から下の自由を失いました。
病院のベッドで寝たきりです。
それでも口だけでPCを操作し、
絵を描いています。

 

flatman.『グロブログロググ‐‐タジログ‐‐』



CDのジャケットデザインを
やらせていただいたりしています。




 

 

Tシャツ販売しています。
もしよろしければ、
覗いてやってください。




アップ新しいデザインは、
こちらで『SeC』というブランドで
アップしています。

 

 



 

仕事のご依頼を頂けると、とても嬉しいです。
宜しくお願いします。
 

まずはメッセージを頂けると
大変ありがたいです。
   

E-Mail: flatman.art@sj9.so-net.ne.jp
 

 

 

なかなかブログの返信コメントができません。
本当に申し訳ありません。