思わぬ面白い本だった。
『腕一本 巴里の横顔 藤田嗣治』
数年前「レオナール・フジタ」展に誘われて、
どういう人かもあまり知らずに観に行った。
(私は「あんまり知らない」ことが多いです。)
とっても面白かった。
おかっぱ頭でちょび髭の日本人とパリの取り合わせも妙で面白かった。
予備知識もなくまっさらな頭で鑑賞するのと、
背景を知った上で観るのとでは
作品の印象はまったく違う。
芸術家は時代によって作風がガラリと変化してて、
(それが芸術家たる感じはする)
突拍子もないように感じたりする。
あの作品とこの作品の間に何が??と。
だから
もっと突拍子もない話が出てくるかと思って読んだら、
文章を読む限りとても普通の人だった。
親近感が沸いてしまった。
明治生まれのフジタ氏の日記を今読んでも、
あまり違和感がない。
率直でスパッとしていて気持ちがいい。
「中国の料理は世界一である。それにもかかわらず日本人は、北京や新京でやれ鮪の刺身がどうだとか、松茸だ、鮎だ、と日本の味を忘れかねてそれ等を移入し、新鮮でないものに舌鼓をうっているが、私にいわせれば、そんな無駄をせずに、満州や中国で本腰を入れて仕事をする日本人は、中国のものを食べ、中国人及び満州人の生活に入ってゆかなければ嘘だと思う。」
今、中国の人たちが美味しそうに鮪を食べる姿を見て
彼はどう思うだろう。
そしてフジタさんの語る巴里ーの女性はとっても魅力的だった。
フランス生活の楽しさも超贔屓に書かれていて
(極貧時代もあったようだけど)
まんまと行きたくなりました。
自分の知らないところが
「ここってほんとに魅力的な土地なんですよ」
と書かれている本がいい◎