引き続き B. Wiweko, M. Maidarti et al Anti-mullerian hormone as a diagnostic and prognostic tool for PCOS patients. J Assist Repord Genet 2014 31: 1311-1316 を読んでいきます。


<討論 1/2>

この研究では、PCOS患者の平均年齢はPCOSでない患者より有意に若かった。

これは、RousseauらとJohnstoneらの、PCO(超音波所見での卵巣形態としての多嚢胞性卵巣)の割合は年齢とともに減少するという報告と一致している。


正常女性で起こる年齢とともに前胞状卵胞が減少するという変化が、PCOSにも当てはまると考えられる。

Murphyらは、平均年齢30歳のPCOSと診断された患者の半数は、8年後にはもはやその表現型を呈さないことを報告している。


PCOS群のBMIは対照群と同程度だった。Limらは、肥満型のPCOSは、コーカソイドの女性と比較してアジアの女性では少ないと報告している。

しかし、肥満の臨床的評価と管理はPCOSの女性にとって依然として重要であり、各々の患者に対して評価なされなければならない。


我々は、PCOSの女性ではAMHが対照群に比較して有意に高値であることを明らかにした。AMH≧4.45 ng/mlの患者は、AMHが低い患者と比較してPCOSである確率が9.35倍高い。

このような知見はいくつもの研究で報告されてきている。


AMHの上昇は、多嚢胞性卵巣からの産生増加に依る。

Pellatらは多嚢胞性卵巣の顆粒膜細胞からは75倍高いAMH産生がみとめられることを報告した。

この発見は、Catteau-Jonardらの顆粒膜細胞でのAMHのmRNA発現増加の報告に支持される。


PCOS患者での血清AMH高値は、卵胞形成の阻害によって引き起こされ、結果的に小卵胞の蓄積につながる。


前胞状卵胞の首席卵胞への発育休止は、AMHによるアロマターゼ活性の抑制と、卵胞のFSH感受性の低下によって起こる。


FSHはPCOS患者で有意に低かった。

Pellatらの報告によれば、FSHは顆粒膜細胞のAMH産生とmRNAの発現に影響しないが、PCOS患者にFSHを投与するとAMHが最大30%低下する。

この理由はまだわかっていない。


LHはPCOS患者で有意に高かった。

Pignyらは、AMHの非常に高いPCOS患者でLHが上昇していることから、AMHとLHは明らかに関係していると提唱している。


今のところ、、PCOS患者のAMH高値の原因については結論が出ていないが、アンドロゲン過多が一つの仮説として挙げられる。


Pellattらはアンドロゲン過多のあるPCOSでAMHが上昇していることから、AMHとアンドロゲン高値が関係いていると提言している。

Lavenらは、血清AMHとテストステロン、LH、超音波所見での卵胞の数、卵巣容積が関連していると提言している。